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口が臭い!? 口臭の原因を解説します

 更新日:2023/03/27

こんにちは、千葉県市川市行徳の杉澤デンタルクリニック行徳の杉澤幹雄(日本歯周病学会認定医)と申します。お口のトラブルとして口臭は多くの方が気にされている疾患です。自分ではわかりにくいため、他の方から指摘されることで初めて知ることになることが多いでしょう。そのため、『今、口臭があるのか?』『口臭は治ったのか?』決していい臭いではないため、他の方に確認してもらうのも気が引け、現状が分からず気にしてしまうことも多々あります。今回はその『口臭』について書いていこうと思います。

執筆歯科医師
杉澤 幹雄(日本歯周病学会認定医)

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《自己紹介》
杉澤デンタルクリニック行徳 院長の杉澤幹雄です。歯周病の専門的な治療を行ってきましたので、その知識と経験を活かして、歯の土台となる歯茎や骨からしっかりと健康な状態にしていくことを大切にしています。歯周病をそのままにした状態で、歯だけきれいにしても長持ちしません。まずは歯を支えている土台からきれいにし、いつまでも健康な歯を使い続けられるようにしましょう。

口臭とは?

そもそも口臭は呼吸のうちの呼気(吐いた息)が自分もしくは他人が不快に感じる臭いである状態のことを言います。その臭いの成分はそれぞれの原因によって異なります。また、口臭の発生場所は基本的に肺や鼻腔、口腔から発生します。胃や腸から臭いが上がってきて口臭があるんじゃないの?と勘違いされているからも多いかもしれません。しかし、口腔‐咽頭と胃は食道でつながっていますが、その食道は通常閉鎖されている為、胃や腸の中の臭いが口腔へ上がってくることは逆流性食道炎の方やゲップをしない限り通常ないのです。

口臭の種類とその原因

口臭は大きく分けると下記の3つの口臭に分けられます。

①生理的口臭

もっとも頻繁にあり、誰でも起こり得る口臭が生理的口臭です。その口臭の原因物質は揮発性硫黄化合物であり、口腔内の細菌によって産生されます。この口臭の強弱を左右する因子は唾液です。唾液は抗菌作用があるため、唾液が十分あると口腔内の細菌数の増加は抑制されています。しかし、空腹時や起床時、緊張時は唾液の分泌が減少するため、口腔内の細菌数が増加しそれに伴い口臭原因物質である揮発性硫黄化合物の産生も急上昇します。その原因物質が呼気と一緒に口臭として放出されます。しかし、この口臭は一時的であり、再度唾液の分泌が増えることにより口臭は急激に弱まります。生理的口臭は病的な口臭と比較し、その臭いも弱く一時的であるため、治療の必要はありません。起床時にすぐうがいしたり、空腹時の時間を少なくしたり、水分を多くとったりすることで十分抑制することができる口臭です。

病的口臭

病気が原因で発生する口臭を病的口臭と言います。口腔内の疾患や鼻やのどの病気、呼吸器系の疾患、消化器系疾患、糖尿病、肝臓疾患、ガンなどの疾患が病的口臭の原因となり得る疾患です。病的口臭は生理的口臭と比較し強く長い時間続くため、周りの人にも気づかれやすい特徴があります。

③飲食物・嗜好品による口臭

にんにくやアルコール、たばこなどが原因で生じる口臭です。摂取または嗜好することで誰でも発生しうる口臭です。一度体内に吸収され、血中を通して肺に臭い物質が放出され、呼気として口臭が生じてしまいます。うがいや歯磨きでも臭いが取れないことが多いです。しかし、口臭は一時的であり、自然となくなります。

口臭の原因となる病気

【口腔内の疾患】

病的口臭の90%以上はお口の中の問題と言われています。

〇歯周病

歯周病は病的口臭の中でも多くの原因となる疾患です。歯周病により歯と歯茎の境目のポケットには多くのプラークと歯石が付着しており、口臭の原因物質である硫化水素メチルメルカプタンが多く産生され、強い口臭が生じてしまいます。歯周病も口臭と同じく自分では気が付きにくく、無症状で進行する恐れがあるため、気が付かないまま強い口臭を持続的に出してしまうことも考えられます。歯周病の精密な検査を行い、歯周病が原因で口臭が無いか検査することをお勧め致します。もし歯周病が進行している場合は、歯周病治療を行うことにより、病的口臭は軽減されます。

〇虫歯

虫歯により歯が欠けたり、穴が開いたりします。その部分に溜まった食べかすやプラークを細菌が代謝することにより口臭物質が放出されます。自分で見える部分に穴が開いていたりするとわかりやすいですが、見ない部分に穴が開いていたりすると気が付かないまま口臭が生じてします恐れがあります。レントゲン検査などにより虫歯が無いか検査し、必要に応じて虫歯の治療を行うことにより、虫歯が原因である口臭は劇的に改善されます。

〇舌苔

舌の表面にプラークが溜まり、舌の表面が白または茶色の苔が溜まった状態が続くと、そのプラーク中の細菌により、口臭の原因物質が放出されます。自分で確かめることができ、舌ブラシなどで除去することが可能なため、口臭を改善することが可能です。しかし、磨き過ぎることにも注意が必要です。舌の表面は薄く弱い粘膜の為、ゴシゴシ磨き過ぎると粘膜に傷がつきさらに舌苔が付きやすくなる恐れもあるため、優しく時間をおいて磨くことが推奨されます。

〇詰め物被せ物の不適合や劣化

詰め物が劣化し適合が悪くなると、歯と詰め物の間に隙間が生じでしまいます。その隙間にプラークが溜まることにより、口臭原因物質が生じてしまいます。詰め物の劣化は気が付きにくいことが多いため、歯科医師によるチェックをお勧め致します。適合のよい詰め物に改善することによりプラークの停滞は消失し、口臭も改善されます。

〇根の病気

虫歯が進行し、神経が死んでしまった状態を放置すると、神経が腐ることにより口臭が生じます。比較的強い口臭が発生します。また、根の先端に膿が生じ、その膿が口腔内に排出されることにより口臭が生じることがあります。どちらも、根の中の細菌が原因であるため、根管治療を行い改善すると膿もなくなり、口臭も消失します。歯周病が原因で膿が出ている場合もあるため、原因を突き止め、治療を行う必要があります。

〇ドライマウス

唾液が減少することにより、口腔内が乾燥してしまう疾患です。原因は色々ありますが、唾液が減少することにより口腔内の細菌が増加してしまうため、口臭が発生しやすい状態となってしまいます。

〇口腔がん

舌や頬粘膜に発生したガンより口臭が発生することがあります。口内炎が長く続いたり、違和感が続くようなら、歯科医院にて一度診てもらった方がよいでしょう。

【鼻やのどの疾患】

蓄膿症など副鼻腔への細菌の感染により膿が溜まった状態が続いてしまうと、副鼻腔から口臭の原因物質が発生し、口臭の原因となることがあります。蓄膿症の原因を検査し、治療により炎症が改善することで、蓄膿症による口臭は軽減されます。

【その他の疾患】

糖尿病や肝臓病、呼吸器系疾患、消化器系疾患などが原因で口臭が発生することがあります。その割合は多くはありませんが、その原因をしっかり検査診断し治療を行い改善することで、口臭は軽減されます。

まとめ

口臭は人と接するうえで気を付けておきたいエチケットです。特に他の方と接する機会が多い方は気になると思います。また、自分では気が付きにくい傾向もあるため、口臭の原因をしっかり把握し、病的な口臭になっていないか定期的にそれらの原因となる疾患のチェックをすることが必要です。特に病的口臭の原因となる多くの疾患は歯科医院にて検査することが可能です。歯周病などにより持続的な強い口臭がある方は、歯周病の治療により口臭の改善が見込まれます。またこれから、歯周病などの病的口臭を予防するために、定期的な歯周病の検査やメンテナンスを行い、健康的で衛生的な口腔環境を維持することを強くお勧め致します。

この記事の執筆者

この記事の監修歯科医師