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歯周病と喫煙

こんにちは。埼玉県草加市谷塚にあります、日本歯周病学会専門医で“谷塚藤波歯科医院”院長の藤波弘州です。
2020年に開催される東京オリンピックでは、競技会場の敷地内には喫煙場所を設けず全面禁煙とする方針のようです。それだけでなく、屋内禁煙の飲食店も増えてきています。これは喫煙が体全体に及ぼす悪影響があり、またタバコの煙による受動喫煙という問題もあるからだと考えられます。勿論お口の中にも喫煙による影響はあります。そして、歯周病にも影響を及ぼします。今回は、喫煙と歯周病の関係についてお話ししたいと思います。

執筆歯科医師
藤波 弘州(日本歯周病学会専門医)

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《保有資格》
日本歯周病学会専門医、臨床歯周病学会認定医、研修指導歯科医等。
《自己紹介》
谷塚藤波歯科医院、院長の藤波です。患者さんに喜んでもらえる歯科医療をご提供することで、今までの感謝を還元し、貢献していきたいと考えています。


 

 喫煙率

JT(日本たばこ産業)の「2018年全国たばこ喫煙者率調査」によりますと、成人男性の平均喫煙率は27.8%でした。また成人女性は8.7%でした。20年前のデータでは、成人男性55.2%、成人女性は13.3%であり、10年前のデータでは成人男性39.5%、成人女性は12.9%となっています。データ上でも喫煙者数は徐々に減少傾向にあると言えるでしょう。

 

 タバコの害

タバコの煙の中には数千種類もの化学物質が含まれています。その中の有害物質は約200種類、そして発がん物質は約70種類と言われています。
この有害物質で代表的なものは、①ニコチン ②一酸化炭素 ③タールになります。
1 ニコチン;ニコチンは非常に依存性の高い薬物です。強い血管収縮作用(血管を細くしてしまう)があり、脳や皮膚、そして歯肉の血流を障害してしまいます。
2 一酸化炭素;一酸化炭素は酸素と比較して200倍以上血液中のヘモグロビンaと結合しやすいです。酸素と結合するはずのヘモグロビンが一酸化炭素と結合してしまうため、血液の酸素運搬能が低下してしまい、体の組織の酸素欠乏が起こってしまいます。したがって酸素が必要な細胞の活動が低下してしまいます。
3 タール;タールとは、ヤニのようなものを指します。タバコの煙からガス上成分を除くものです。タールの中には有害物質や発がん性物質が多く含まれています。

 

 受動喫煙

喫煙には能動喫煙受動喫煙があります。能動喫煙は文字どおり、喫煙者本人が煙を吸うことです。受動喫煙とは、タバコを吸った喫煙者が吐き出す煙と副流煙を吸い込むものです。受動喫煙者でも体に対する悪影響が様々な研究から報告されています。

 

 喫煙による歯周組織への影響

これまで述べてきましたが、タバコの煙は体に対する悪影響が示されています。歯周組織への悪影響も勿論認められています。
タバコの煙を吸うと歯肉上皮内の血管収縮により末梢循環血流量が低下します。そして一酸化炭素の影響により酸素飽和度の低下が起きます。これが長期間続くと、歯肉が炎症を起こしていると通常は歯肉からの出血が見られるのですが、喫煙者では出血しにくい歯茎になっていきます。また歯肉の色もメラニン色素の沈着により黒ずんできますし、歯の表面についたタールの影響により、歯の着色と、タールから有害物質などが持続的に歯肉に悪影響を与えます。タバコの煙による歯肉の変化としては①歯肉のメラニン色素沈着②歯肉の線維性肥厚③プロービング時の歯肉出血の低下④歯周ポケットやアタッチメントレベルなどの悪化が挙げられます。
そして歯周病の主な原因となるプラークが歯肉に影響を与えた上で、タバコの煙による影響を受けると、プラークの付着量や歯石量と比較して、歯周病の重症度が上がっていることも多く認められます。
あるデータによると、1日10本以上喫煙すると歯周病になってしまうリスクが5.4倍、10年吸っていると4.3倍にも上昇してしまうとの報告もあります。

 

 歯周治療に対する影響

歯肉の血管収縮、そして酸素飽和度の低下等が認められるため、歯肉の創傷治癒の低下が起こっています。そのため、スケーリング・ルートプレーニングなどの歯周基本治療による歯肉組織の治癒反応の低下も勿論認められます。そして歯周外科治療や歯周組織再生療法に関しても、組織の治癒反応の低下が起こっているため、非喫煙者と同等の良好な結果は得られないことが示されています。
歯周治療だけに限らず、インプラント治療に関しても治療の予後に対する悪影響が認められています。ヘビースモーカーではさらに顕著に認められると言われています。

 

 禁煙の効果

喫煙者に見られる歯肉の反応は、禁煙することによって歯肉の血流量は2週間で回復するとの報告があります。そして歯周治療の効果も、禁煙者では治療の反応性の改善が認められること、歯周組織の状態が早期に回復することも報告されています。

 

 まとめ

今回は歯周病タバコの関係性について説明させて頂きました。タバコとガンの関係や、タバコが種々の病気に関与していることは示されていましたが、タバコの煙が一番最初に触れる歯肉及び口腔粘膜にも悪影響を及ぼします。歯周治療が必要な患者さんが喫煙をされていると、やはり治療の反応が鈍いことを日々実感しています。歯周炎の治療に関しても必要ですが、やはり全身的な影響を考えても、是非禁煙されることをおすすめします。そして喫煙者の方はご自身の自覚が無くても、歯周炎が増悪している可能性があります。是非歯周病学会専門医・認定医が在籍している歯科医院を受診し、早期発見・早期治療介入をされ、お口の健康を維持されることをお勧めいたします。

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