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歯ブラシをすると歯肉から血が出てくる

こんにちは。埼玉県草加市谷塚にある,日本歯周病学会専門医が在籍する歯科医院“谷塚藤波歯科医院”院長の藤波弘州と申します。
歯ブラシを行なっている際に,歯茎から血が出る,という経験をされた方はいらっしゃいますでしょうか?びっくりされると思いますが,強い痛みはないからそのままにされている方もいらっしゃるのではないでしょうか?
今回は,なぜ歯ブラシをすると歯茎から血が出てくることが起こるのか,ということについてお話させて頂きます。


 

 歯ブラシをすると血が出るのはなぜ?

歯ブラシを行なった際に歯茎から血が出てくるのは,歯肉に炎症が起こっているからです。歯肉炎と呼ばれる歯周病の初期状態でも歯肉は炎症を起こしているため,通常のブラッシングでも出血してくることがあります。また,粘膜疾患(腫瘍など)や血液の病気などによっても出血してくることがあります。
ブラッシング圧が強すぎる場合でも歯茎が傷ついてしまうため,歯肉が健康な状態でも出血してくることがあります。
また粘膜疾患(腫瘍など)や血液の病気などによっても出血してくることがあります。
 
 

 

 歯周病とは?

歯周病は大きく分けて,歯肉炎歯周炎に分けられます。歯周病のほとんどは,お口の中の細菌によって引き起こされてしまう感染性炎症性疾患です。また最近では,生活習慣病として捉えられるようになり,歯磨き習慣,食習慣,喫煙,糖尿病といった全身性疾患との関連性も示唆されてきています。
それでは歯肉から出血してくる歯肉炎と歯周炎とはどのような状態なのでしょうか?
 

 

 歯肉炎とは?

歯肉炎とは,主に歯肉の周りに存在する細菌によって発症する歯肉の炎症のことです。お口の中を確認すると,歯肉の腫れ,出血,痛みなどが見られます。ただし,レントゲン写真上や歯肉の検査結果を行なってもアゴの骨は溶けていない状態です。ブラッシングなどの口腔衛生管理をしっかりと行い,主な原因である細菌性プラークを除去,もしくは減少させることで顕著に症状は改善します。
ただし,高血圧などの治療薬による薬物性歯肉増殖症や,ごく稀な疾患ですが遺伝性歯肉線維腫症といったもの,HIV感染に関連して見られる歯肉病変など,プラークが原因ではない歯肉炎もあります。
一般に,歯肉炎を放置してしまうと,炎症がセメント質,歯と骨を繋げている歯根膜,歯槽骨に及んでしまい,歯周炎に進行してしまいます。
 
 

 

 歯周炎とは?

歯周炎は歯肉の炎症が,セメント質,歯根膜,歯槽骨といった歯周組織の深い部位まで及んでしまったものです。細菌性プラークの長期間に及ぶ持続的な刺激が必要になります。
歯周炎が進行していくスピードは比較的ゆっくりで,数年単位で進行していきます。しかし,噛み合わせの問題などが起こってくると,歯周組織の破壊が急速に進行してしまいます。また生体の防御反応にも影響されます。重度糖尿病による歯周組織の抵抗力が低下(白血球の機能低下,創傷治癒遅延)や喫煙といった生活習慣も歯周炎の進行に関わってきます。
歯周炎という疾患は色々な種類があります。


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    慢性歯周炎

歯周病原細菌によって生じる歯肉の炎症,歯を支える骨(歯槽骨)の吸収が見られる慢性炎症性疾患です。35歳以後での発症が多いのが特徴です。症状としては歯周ポケットの形成,歯肉から膿が出る,歯肉からの出血,歯を支えるアゴの骨(歯槽骨)吸収,歯がグラグラしてくることが認められます。ゆっくり進行していきます。


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    侵襲性歯周炎

全身状態は健康ですが,急速に歯を支えるアゴの骨(歯槽骨)や歯肉などの歯周組織破壊,同じ家族内に発病しやすいことが特徴の歯周炎です。プラークの付着量は少ないことが多く,10〜30歳代の患者さんが多く見られます。患者さんによっては特徴的な菌種(Aggregatibacter actinomycetemcomitans)の存在比率が高く,体を守る機能(生体防御機能),免疫応答などの異常が認められることもあります。日本における侵襲性歯周炎の罹患率は,難病センターの平成24年度の報告では0.05%〜0.1%となっています。


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    遺伝疾患に伴う歯周炎

全身的な異常を伴う遺伝疾患の口の中の症状として見られることがあります。進行のスピードは早い歯周炎です。家族性周期性好中球減少症,ダウン症などがあります。
 

 

 歯の周りの組織の膿瘍とは?


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    歯肉膿瘍

歯周ポケットからの細菌感染や,歯肉に対する刺激,歯肉への傷や感染によって,歯肉の中の結合組織と言われる部位にできる膿瘍です。原因となる部位周囲の歯肉に発赤,腫れが見られ,痛みを伴うことが多いです。また,歯周ポケットがなくても出来てしまうことがあります。


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    歯周膿瘍

歯周組織の中に出来た限局性の化膿性炎症により,限られた場所の組織破壊,膿が貯まる状態をいいます。深い歯周ポケットがあること,さらに歯周ポケットの入り口が閉ざされていて限局性の化膿性炎症が歯肉の奥深い部位に存在している場合,咬合性外傷がある場合,糖尿病患者などの感染抵抗性が低い時に発症します。
 
 

 

 まとめ

歯ブラシをする際に出血をする原因としてはやはり歯周病になっている事が多いと思われます。今回の内容は出血の原因を歯周病に着目して説明をさせて頂きましたが,歯周病以外にも出血する原因となり得る病気は存在します。粘膜疾患(腫瘍なども)や血液疾患(白血病など)といった重篤な疾患も挙げられます。
出血をする,ということは粘膜の状態が正常でないことを意味します。たかがちょっと血が出ただけと思わず,歯周病学会専門医,認定医が在籍する歯科医院を受診され,適切な処置を受けられることをお勧めいたします。

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