黄斑円孔の原因と症状・治療方法とは?
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黄斑円孔の原因と症状・治療方法とは? 2017.11.17

年齢を重ねるにつれ、目にも加齢によって引き起こされるさまざまな病気があることはご存知でしょうか。その中の一つに「黄斑円孔(おうはんえんこう)」という病気があります。黄斑円孔とは、簡単にいうと眼底の網膜の中心にある黄斑部に穴が開いてしまう病気です。聞きなれない方も多い黄斑円孔について、Medical DOC編集部がお届けします。

黄斑円孔の特徴

黄斑円孔とはどんな病気?

黄斑円孔とは、眼底の中心にある黄斑部の網膜に穴(孔)があく病気です。穴の大きさは直径0.5ミリメートルに満たない小さなものですが、黄斑部は物を見るための中心部位であることから、視力に大きな影響が現れます。完全に穴が形成されてしまうと、視力が0.1前後(近視などは矯正した状態で)となり、非常に物が見えにくくなってしまいます。

黄斑円孔がおこる原因とは?

眼には、網膜の内側に硝子体という部位があります。透明なゼリーのようなもので、健康な状態では硝子体で眼球内が満たされています。この硝子体は網膜の内側にあり、網膜と面状に張り付いている状態です。この硝子体がひっぱられることにより、網膜の中心に穴が空いてしまうことがあります。これが黄斑円孔です。

硝子体の老化による収縮に網膜が引っ張られることが主な原因とされていますが、加齢により全ての人が発症するわけではなく、詳しい原因はまだわかっていません。

発症しやすい人とは?

黄斑円孔は、突発性、近視性、外傷性、続発性の4種類に分類され、中でも最も発生率が高いのが突発性の黄斑円孔です。突発性に場合、主に加齢により硝子体が網膜から離れる状態(後部硝子体剥離)が起きる60代をピークに、その前後の年齢層の方に多く見られる傾向があります。とくに、硝子体の液化が進みやすい近視の人や女性に多い傾向があります。

近視性の黄斑円孔は、突発性とは異なり強度の近視が原因とされています。強度近視が原因の黄斑円孔は、手術による改善率が低く、また、網膜剥離を合併するケースもあるため、すぐに治療を行う必要があるとされています。

黄斑円孔の進行ステージや症状

ステージ1

硝子体が老化により収縮するとき、硝子体の皮質と網膜の癒着が強すぎる場合、後部硝子体剥離が起こらず、網膜の黄斑部が持続的に引っ張られます。これにより、本来は少しへこんでいる黄斑部の中心が浮き上がってしまいます。これがステージ1と呼ばれる状態です。

浮き上がった網膜の中には嚢胞(のうほう)と呼ばれる袋のような空洞が形成されます。網膜にはまだ穴は開いておらず、この時期の症状としては、視力が0.4~0.6程度に低下し、視野の中心が少し歪んで見えることがあります。人は普段両目で物を見ているため、ステージ1の段階では黄斑円孔であることに気がつかない場合があります。

ステージ2

網膜が引っ張られた状態が続くことにより、嚢胞が大きくなります。これにより、嚢胞の縁が一部破れて弁のようになり、網膜が剥がれかかった状態になります。ステージ2では、視力の低下や物が歪んで見えるといった症状が現れます。

ステージ3

弁のようになっていた嚢胞の上部が完全に分離して嚢胞の「蓋」のようになり、黄斑円孔が完成したばかりの状態がステージ3です。

黄斑円孔周囲の網膜には、引っ張られていたときの名残が残っており、少し浮き上がった状態となっています。この状態では、視力が0.1前後まで低下するだけでなく、視野の真ん中だけが見えなくなる(中心暗点)や、物がつぶれて見える、テレビを見ると人の顔だけが見えないといった症状が現れます。

ステージ4

ステージ3から数ヶ月~数年経過すると硝子体がさらに収縮します。分離した蓋は硝子体皮質にくっついたまま、眼球内の前方まで移動してきます。

黄斑円孔は手術で治療

手術の方法とは?

黄斑円孔は治療方法として局所麻酔で行う「硝子体手術」が有効とされています。

手術では、後部の硝子体を切除し、黄斑の周りに付着している薄い膜を取り除きます。この膜を取り除くことで術後の再発を防ぎます。最後に眼球内部に膨張性のガスを注入します。

術後は、ガスの膨張する圧力によって円孔周囲の網膜を抑えつけ、円孔が小さくなっています。すると、円孔の中心に残る僅かな隙間に、周囲の細胞をつなぎ合わせる働きを持つグリア細胞が現れ、円孔を完全に閉鎖させます。

ただし、ガスは気体であることから、眼球の上に移動してしまいます。そのため、手術後はガスが円孔部分からずれないように、うつぶせの姿勢を保つ必要があります。うつぶせで過ごすことは大変苦痛ですが、これを守らないと再手術が必要になる確立が高くなります。

だれでも手術で治るの?

黄斑円孔のステージ1では、まれに硝子体皮質と網膜が自然に剥がれることで、自然治癒することがあるため、手術をせずに経過観察となります。ステージ2以降になると、自然治癒は難しいとされているため手術が行われます。

ステージ4の状態で数年以上経過しているようなケースの場合、手術による効果が不確かなことや、患者さん自身がさほど不自由を訴えないケースが多いため、積極的には手術を行わない場合があります。

術後の視力は?

黄斑円孔がおこってから経過時間が短い、または、円孔の大きさが小さいほど閉鎖率が高く、視力の予後が良いとされています。手術の前には0.3だった視力が1ヶ月ほどで0.5~0.7程度に改善されるといわれています。その後は、網膜の黄斑部の中心(中心窩)の組織が修復されるとともに少しずつ回復していきます。手術を受けると、約8~9割程度の人は、不自由を感じずに生活できるレベルまで視力が回復することも多いとされています。

合併症の心配は?

黄斑円孔の手術において注意しなければならない合併症に、「網膜剥離」と「網膜裂孔」があります。

黄斑円孔の手術では、前方の硝子体は網膜と強く癒着していることから切除できません。そのため、手術後に眼球の前方に残してあった硝子体が収縮し、網膜を引きちぎるような力が加わります。これにより、網膜剥離や網膜裂孔が発生します。

術後数ヶ月から約1年の間で、網膜剥離や網膜裂孔を発症する患者さんの割合は全体の3~5%ほどとされています。網膜剥離や網膜裂孔の症状としては、視野の欠損、視力の著しい低下があります。治療の緊急性が高い病気であることから、術後はできるだけこまめに検査を受けることが大切です。

また、合併症として一番多いのは「白内障」です。60歳以上の患者さんの場合、術後2年以内で80%近くに発症するため、黄斑円孔の手術と同時に白内障の手術をするケースがあります。

黄斑円孔は早期に治療を行うのがより効果的

黄斑円孔は眼底の奥の黄斑部に穴があいてしまう病気です。加齢による硝子体の変化が主な原因とされています。直径0.5ミリメートルに満たない小さな穴ですが、完全に穴が形成されてしまうと視力が0.1前後まで低下し、生活に重大な影響をおよぼしてしまいます。

主に後部硝子体剥離が起きる60代をピークに高齢者に多い病気とされていますが、眼の打撲など外傷性の原因によるものでは年齢に関係なく起こることがあります。

黄斑円孔は、手術によって穴を閉鎖することで視力が改善する可能性があります。早期に治療を行うほど視力が回復する可能性が高い病気とされているため、視力に異常を感じたら、すぐに医療機関に相談するようにしましょう。