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水銀中毒の症状や原因、治療方法とは?

水銀中毒(読み方:すいぎんちゅうどく)とはどんな病気なのでしょうか?その原因や、主にみられる症状、一般的な治療方法などについて、医療機関や学会が発信している情報と、専門家であるドクターのコメントをまじえつつ、Medical DOC編集部よりお届けします。

この記事の監修ドクター:
春名 令子 医師(はるなクリニック副院長)

水銀中毒とは

水銀による中毒には、無機水銀による中毒と有機(アルキル)水銀による中毒が報告されています。
■無機水銀による中毒
腎臓に対して障害を示し、その結果、腎不全を引き起こすおそれがあります1)。
■有機(アルキル)水銀による中毒
症状としては、視野が狭くなる(視野狭窄)、運動失調などを示し、これらの症状は神経系に障害を与えることによって引き起こされると考えられています。1)2)
有機水銀による中毒では、熊本県や新潟県における水俣病が知られています。

引用:一般財団法人ボーケン品質評価機構
https://www.boken.or.jp/knowledge/chemical_analysis/cat-2/post_43/

春名令子 医師(はるなクリニック副院長)ドクターの解説
水銀中毒の原因は、無機水銀とメチル水銀(有機水銀)の二種類があります。1950年代に公害によって引き起こされた水俣病はメチル水銀による中毒で、中枢神経に深刻な影響を及ぼす病気です。水銀中毒は水俣病のような極端な例だけではありません。私たちは、魚介類(特にキンメダイ、メカジキ、本マグロ、メバチマグロなどの大型魚)を食べたり、過去に歯科材料として使われていたアマルガムが口の中にあったりすると、日常生活で少しずつ体の中に水銀を取り込んでいます。その結果、様々な不調に悩まされている人がいます。また水銀は、ワクチン、電池、体温計、血圧計、蛍光灯など身近なものにも使われているので、注意が必要です。

水銀中毒の症状

①わけもなくころぶ。まっすぐ歩けない。ボタンをかけたり、衣服の着脱など日常の動作が思うようにできない。(運動失調)
ことばが不明瞭。(講音障害)
②まっすぐ見たときに周辺が見えにくい。(視野狭窄)
③触れているのはわかるが手のひらに書かれた数字がわからない。さわった物の形や大きさがわからない。ざらざらとすべすべの区別がわからない。(感覚障害)
④力が入りにくい。筋肉がけいれんを起こしやすい。(運動障害)
⑤音の識別ができない。相手の言うことが聞き取れない。(聴力障害)
⑥じんじんするしびれ。さわられても感じにくい。熱いものや冷たいものにさわっても感じにくい。(感覚障害)

引用:難病情報センター
http://www.nimd.go.jp/archives/tenji/a_corner/a03.html

春名令子 医師(はるなクリニック副院長)ドクターの解説
上記はメチル水銀によって中枢神経系が障害される水俣病などの中毒症状です。無機水銀は体内での代謝でメチル水銀に変わります。これらの水銀は日常生活で少しずつ体内に蓄積して、各臓器に沈着します。その結果、臓器障害、ミトコンドリア機能低下、神経障害などを起こし、自閉症などの発達障害、うつや統合失調症などの精神疾患、副腎疲労などを誘発することがあります。

水銀中毒の原因

生体内にはメタロチオネインというアミノ酸61個からなる金属結合タンパク質があり、このタンパク質はシステイン(SH基を含む)というアミノ酸が20個存在するため重金属と結合しやすく,また重金属が体内に吸収されると肝臓や腎臓などで合成されるという特徴を持っている。メタロチオネインは無機水銀(イオン型)をはじめ多くの金属化合物に対して解毒作用を有することが知られているが, そのために金属がある程度まで体内に蓄積されてしまう。
通常の有機水銀の摂取経路は魚介類が多く、特に血中濃度はこの摂取量に左右される。食品とともに経口的に摂取されたメチル水銀の腸管からの吸収率は90%以上と、無機水銀が5%以下であるのに比べて極めて高く、腸管から吸収された水銀は、主に肝、腎、及び脳等に蓄積される。水銀中毒ではこれらの臓器が冒されるため企図振戦(小脳の機能不全による比較的ゆっくりとした振幅の大きなふるえ)、精神不安定症、口内炎、歯肉炎などの症状が知られ、肝、腎機能も障害される。

引用:株式会社ビー・エム・エル
http://uwb01.bml.co.jp/kensa/search/detail/3802305

水銀中毒の検査法

「排泄量をみる検査」
毛髪、尿、便は、全て重金属の排泄経路手段となっており、それぞれの検体の重金属を測定することで「どのくらい金属を排泄する力があるか」という情報をえることができます。
・毛髪ミネラル検査
特にミネラルバランス、有機水銀の排泄量、水銀蓄積によるミネラル輸送障害の判定に優れています。重金属の影響を受けやすいのは蓄積量が多い人ではなく、排泄力が弱い人ですので、ミネラル輸送障害の有無を見るのは非常に重要です。
また、ストレス状態、エネルギー状態、腸内環境、神経伝達物質のバランスの推定にも使われます。
・尿重金属ミネラル検査
毛髪検査が過去3か月のミネラルバランスの平均値を表しているのに対して、尿検査は現時点での重金属、ミネラルの排泄状態を測定することができます。そこから主にデトックス、体質改善治療の効果の判定に使用します。
・便中重金属検査
尿検査と同じく比較的リアルタイムの重金属の排泄状態を表します。特に有機水銀は90%が腸を通って便中に排泄されますので、水銀デトックスの効果判定には特に有用です。
「蓄積量をみる検査」
・オリゴスキャン検査
毛髪ミネラル分析は体内の必須ミネラル、重金属ミネラルのバランスを推定するのに非常に便利な検査です。
しかし、あくまでも推定であり、体内にどれだけ金属がたまっているかを実際に測定する事はできません。もし、何らかの影響で体内からの排泄力が落ちている場合、体内蓄積量と排泄量は比例しません。
また、残念ながら、そのようなときに深刻な病状が起きていることが多いのです。ですから時には蓄積量そのものを測定する事が必要になります。
オリゴスキャンは、手のひらに光を当てるだけで体内のミネラル・有害重金属を測定する事が出来る検査です。各ミネラルの特有の波長を特殊な装置で読み取る仕組みです。

引用:慢性疾患本当の原因(宮澤医院)
http://rootcause.jp/test/heavymetal

春名令子 医師(はるなクリニック副院長)ドクターの解説
無機水銀は、経口で数パーセントの吸収率で、体内に入ると腎臓に蓄積して腎損傷を起こします。気化した水銀は親油性で、約8割は肺を通じて吸収されます。液体や固形のものよりも吸収率が数千倍も高く、脂の多い脳への蓄積から様々な神経症状を呈したり、臓器障害や免疫異常を起こしたりします。一方、有機水銀は腸からの吸収が9割以上で、腸や皮膚から吸収されやすい一方、排泄されにくい傾向にあります。また、水銀中毒の検査には上記のようなものがありますが、日本ではまだまだ身近な場所で本格的な検査ができるとは言い難い状況です。上記の検査のほかに、どれくらいの量の水銀を体内に取り込んでいるか(水銀曝露量)を明らかにするために、赤血球内の重金属を調べる検査もあります。様々な不調を訴えていて、水銀の影響が疑われる患者さんには、魚介類の摂取などを含めた普段の食生活のことや、子どもの頃にアマルガムを使った虫歯治療を受けていないか、またその患者さんの母親の虫歯の治療歴や予防接種状況などについて聞き取りを行います。

水銀中毒の治療方法

・初期治療
1.進入経路を発見しその経路を経つ。
2.体内に進入したメチル水銀の排泄促進
①キレート剤
水銀と結合して尿中に排泄
②SH製剤
メチル水銀はSH基と親和性が高い。
SH基をもつチオール樹脂の経口投与で腸管からの再吸収予防
③血液透析
SH基をもつL-システインの利用
④交換輸血
3.抗酸化剤の投与
メチル水銀は細胞内で活性酸素を増加させ、細胞傷害をひきおこすことから、水銀排泄と抗酸化剤(ビタミンEなど)の投与を平行して行うための研究が行われている。
4.対症療法
痙攣などの激しい症状を沈めるための薬物投与など。
・慢性期の治療
1.リハビリテーション
機能回復及び機能の維持を目的とした理学療法、作業療法による治療を行う。
2.対症療法
有痛性筋強直性痙攣や不随意運動、筋緊張異常などの症状を軽減させる薬物療法。
引用:環境省水俣病情報センター
http://www.nimd.go.jp/archives/tenji/b_corner/b04.html

春名令子 医師(はるなクリニック副院長)ドクターの解説
キレーションは急性中毒の人にはある程度必要と考えられますが、日常生活で体内に蓄積された重金属を排出したい場合、キレーションを行なったからといって簡単に排出できるものではありません。水銀を排出する出口が整っていないと、体内で再分布を起こして、体調の悪化や湿疹などの副作用が出る人もいるのです。水銀などの重金属は7〜8割が便として排出されるため、まずは腸管を整えることが大切です。食生活の見直しによる便秘解消はもちろんのこと、便通がある人も便の状態を見て腸内の健康状態をチェックしてください。また、適度な運動など代謝を上げる習慣も、排出できる体を作るために役立ちます。


この記事の監修ドクター

春名令子 医師 はるなクリニック副院長春名 令子 医師
はるなクリニック 副院長

PROFILE

1987年、関西医科大学卒業。大阪府立病院小児科、大阪府門真保健所、神戸市北保健所、大阪市・神戸市非常勤医師を経て、2000年1月より現職。子供のアトピーをきっかけに東洋医学を勉強し、日本東洋医学会漢方専門医を取得。