1. Medical DOCTOP
  2. 黄色ブドウ球菌食中毒の症状や原因、治療方法とは?

黄色ブドウ球菌食中毒の症状や原因、治療方法とは? 2018.07.10

黄色ブドウ球菌食中毒(読み方:おうしょくぶどうきゅうきんしょくちゅうどく)とはどんな病気なのでしょうか?その原因や、主にみられる症状、一般的な治療方法などについて、医療機関や学会が発信している情報と、専門家であるドクターのコメントをまじえつつ、Medical DOC編集部よりお届けします。

この記事の監修ドクター:
春名 令子 医師(はるなクリニック副院長)

黄色ブドウ球菌食中毒とは

黄色ブドウ球菌は人や動物の皮膚などの体表面や消化管などに常在しています。通常は無害ですが、皮膚の切り傷や刺し傷などのケガを不潔にしておくと化膿を起こす細菌です。肺炎や腹膜炎、さらに敗血症や髄膜炎に至るまで、様々な重症感染症の原因となります。また、エンテロトキシンと総称される毒素を放出し、これが食品に付着し増殖したものを摂取した場合、人の腸管内で中毒を引き起こします。エンテロトキシンは耐熱性があり、通常の加熱調理で不活性化(無毒化)することができません。また、冷凍下でも安定しています。酸に対しても抵抗性が強く消化管内でもほとんど分解されません。

引用:ライオンハイジーン株式会社
https://www.lionhygiene.co.jp/food-poisoning/causes/Staphylococcus-aureus/

春名令子 医師(はるなクリニック副院長)ドクターの解説
食中毒には「感染型」と「毒素型」という2つのタイプがあり、黄色ブドウ球菌は毒素型の代表的な菌です。毒素型では、細菌が食品内で作り出した毒素が症状の引き金になり、毒素は一度作られると熱にも耐えることが特徴です。黄色ブドウ球菌食中毒を予防するには、菌を食品に付着させないことと、毒素が繁殖する時間を与えないことが大切です。黄色ブドウ球菌は、本人でも気づかないような小さな手の傷が感染源になることもありますので、素手でおにぎりを握ることはなるべく避けた方がいいでしょう。どうしても素手のおにぎりが食べたいときは、きれいに洗った手で握ったらすぐに食べてくださいね。調理前にしっかり手を洗うことは当然ですが、作り始めたらなるべく早く調理を終え、早めに食べるように心がけましょう。お弁当などは作ってから食べるまでに数時間が経過するため、食品や調理器具の取り扱いを特に気をつける必要があります。

黄色ブドウ球菌食中毒の症状

◆主な症状
吐き気、嘔吐、腹痛、下痢(発熱はあまり見られません)。
◆潜伏期間
1〜5時間(平均3時間)

引用:ライオンハイジーン株式会社
https://www.lionhygiene.co.jp/food-poisoning/causes/Staphylococcus-aureus/

春名令子 医師(はるなクリニック副院長)ドクターの解説
黄色ブドウ球菌食中毒は、食中毒の中では毒素の摂取から発症までの時間が比較的短いため、問診では当日の食事内容や行動について尋ねられるでしょう。他の食中毒と比べて特徴的な症状はありません。黄色ブドウ球菌食中毒で嘔吐をしている場合は、吐いたものが誤って気道に入らないよう注意が必要です。嘔吐の症状が重い場合は、仰向けよりも横向きに寝るほうが、気道に詰まるリスクが下がって安全です。また、嘔吐時は脱水症状も要注意ですが、無理に水分を摂るとかえって嘔吐を強めてしまい、脱水が悪化する恐れもあります。そのような場合は、早めに内科を受診しましょう。

黄色ブドウ球菌食中毒の原因

様々な食品が原因食となる可能性を持っており、にぎりめし、寿司、肉、卵、乳などの調理加工品及び菓子類など多岐にわたっています。

引用:東京都福祉保健局
http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/shokuhin/micro/oushoku.html

黄色ブドウ球菌食中毒の検査法

胃腸炎であることは、通常は症状だけで診断がつきます。より具体的なブドウ球菌食中毒の診断は、同じ食べものを食べた他の人にも同様の症状がみられる場合や、胃腸炎の原因が1つの汚染源に追跡できる場合に疑われます。診断の確定には、検査室で中毒の原因と疑われる食べものの中にブドウ球菌が存在することを特定認する必要がありますが、この検査は通常は行われません。

引用:MSDマニュアル家庭版
hhttps://www.msdmanuals.com/ja-jp/ホーム/03-消化器の病気/胃腸炎/ブドウ球菌食中毒

春名令子 医師(はるなクリニック副院長)ドクターの解説
原因が黄色ブドウ球菌であることを特定するための検査ですが、一般外来で検査をすることはあまりありません。ただ、一般的に細菌性の食中毒は、ウイルス性の胃腸炎と違って症状が激しく血便を伴うことも多いので、細菌性の食中毒を疑って入院を前提に病院へ紹介されることも珍しくありません。食中毒であれば、原因となる菌の種類は違っても、基本的な治療方法は同じです。ただし、入院などの重症例や、職業上、集団食中毒などの懸念がある場合は、原因特定が必要となってきます。

黄色ブドウ球菌食中毒の治療方法

通常、治療は水分を十分に補給することで行われます。激しい吐き気や嘔吐を抑えるために、注射か坐薬で制吐薬が投与されることがあります。ときに、水分が非常に大量に失われ、静注輸液による補給が必要となることがあります。

引用:MSDマニュアル家庭版
hhttps://www.msdmanuals.com/ja-jp/ホーム/03-消化器の病気/胃腸炎/ブドウ球菌食中毒

春名令子 医師(はるなクリニック副院長)ドクターの解説
黄色ブドウ球菌食中毒も、一般的な食中毒と同じよう対症療法を行っていれば大概の症状は落ち着きます。嘔吐や下痢で失われた水分を補給して脱水症状を改善しながら、人間の体が本来持っている自然な治癒力で回復するのを待ちます。下痢をしている時は下痢止めを使用せず、毒素の排出を妨げないことが大切です。水分補給はただの水ではなく、電解質も同時に補給できる経口補水液を用いましょう。もし嘔吐の症状が激しくて水分摂取が難しい場合は、吐き気止めを使って水分を飲める状態にします。また、東洋医学の視点から漢方薬を使用することも可能です。患者さんに合わせて漢方を処方する医師に相談してみてください。食中毒の治療で代表的な漢方は、体内の水のバランスを整える五苓散です。漢方は子どもの場合も意外と飲んでくれることが多いです。


この記事の監修ドクター

春名令子 医師 はるなクリニック副院長春名令子 医師
はるなクリニック 副院長

PROFILE

1987年、関西医科大学卒業。大阪府立病院小児科、大阪府門真保健所、神戸市北保健所、大阪市・神戸市非常勤医師を経て、2000年1月より現職。子供のアトピーをきっかけに東洋医学を勉強し、日本東洋医学会漢方専門医を取得。