高安動脈炎(大動脈炎症候群)の症状や原因、治療方法とは?
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高安動脈炎(大動脈炎症候群)の症状や原因、治療方法とは? 2018.07.22

高安動脈炎(大動脈炎症候群)(読み方:たかやすどうみゃくえん、別名:だいどうみゃくえんしょうこうぐん)とはどんな病気なのでしょうか?その原因や、主にみられる症状、一般的な治療方法などについて、医療機関や学会が発信している情報と、専門家であるドクターのコメントをまじえつつ、Medical DOC編集部よりお届けします。

この記事の監修ドクター:
野中 親哉 医師(野中内科クリニック 院長)

高安動脈炎(大動脈炎症候群)とは

高安動脈炎は大動脈やそこから分かれている大きな血管に炎症が生じ、血管が狭窄したり閉塞したりして、脳、心臓、腎臓といった重要な臓器に障害を与えたり、手足が疲れやすくなったりする原因不明の血管炎です。炎症が生じた血管の部位によって様々な症状がでます。わが国の高安右人教授が1908年に初めて報告しましたので高安動脈炎と呼ばれています。かつて大動脈炎症候群とも言われましたが、病変は大動脈以外の全身に生ずることがあるため、現在は高安動脈炎と呼んでいます。

引用:難病情報センター
http://www.nanbyou.or.jp/entry/141

野中親哉 医師(野中内科クリニック院長)ドクターの解説
高安動脈炎(大動脈炎症候群)は、大動脈とその枝部分に炎症が生じて血管が狭くなってしまい、疲れを感じやすくなったりする疾患です。大動脈とは、心臓にほど近い動脈の中でいちばん大きな脈で、4つに分かれている心臓の右下部分、「左心室」から全身へ、血液循環を行う組織です。心臓から全身へと血液を循環させるとても役割の大きい血管に、炎症が起きてしまう疾患です。
血管に炎症が起こることで、身体全体が倦怠感に包まれるような、力が入らない状態に陥ります。
この疾患は、別名「脈なし病」とも言われており、9割以上が女性とされています。さらに15歳~35歳の若年層が罹患するケースがよく報告されています。

高安動脈炎(大動脈炎症候群)の症状

炎症の出現した動脈の部位により、めまい、頭痛、失神、視力障害、脈が触れない、血圧の左右差が大きい、足の冷感、脱力感、歩行時の痛みなどの症状が見られます。全身の症状としては発熱やだるさ、体重の減少、関節痛、筋肉痛など特徴的でない所見も見られます。さらに腎動脈や肺動脈に病変がおよぶと高血圧や、息切れ、肺高血圧症、胸痛が見られることもあります。心臓に近い部位での炎症は大動脈弁閉鎖不全症の原因となることがあり、心不全を来たすこともあります。

引用:順天堂大学医学部附属順天堂医院 膠原病・リウマチ内科
https://www.juntendo.ac.jp/hospital/clinic/kogen/about/disease/kanja02_16.html

野中親哉 医師(野中内科クリニック院長)ドクターの解説
症状の初期段階では、身体全体がだるく重いと感じるような倦怠感が出てきます。さらに食欲不振が起こり、それに伴い体重が減少してきます。場合によっては、熱も出てきます。疾患の初めの頃は、身体のだるさなど風邪に近い症状が現れるので、高安動脈炎だと自ら気づくことは稀でしょう。
初期段階では風邪に近い症状を伴いますが、症状が進行してくると、めまいや立ちくらみ、さらには腕のしびれなどが確認されます。失神を起こすこともあります。
大動脈の狭窄が進行した場合、狭心症や高血圧を引き起こすこともあるので、早めの医療機関の受診が大切です。

高安動脈炎(大動脈炎症候群)の原因

明確な原因はわかっておりませんが、血管炎の組織の中にはマクロファージやT細胞といった多くの免疫を担当する細胞が見られること、ステロイドや免疫抑制薬などによる免疫抑制療法が効果を示すことが多いことなどから、免疫異常が関与していると考えられています。また、一部にはHLA-B52やHLA-B39、HLA-Bの近傍にあるMICA遺伝子と発症との間に遺伝的な関連性も指摘されています。

引用:慶應義塾大学病院 医療・健康情報サイトKOMPAS
http://kompas.hosp.keio.ac.jp/contents/000613.html

高安動脈炎(大動脈炎症候群)の検査法

血液検査では、血沈やCRPの上昇、白血球の増加など炎症に伴う異常がみられますが、これらは高安動脈炎に特徴的なものではなく、血液検査では顕著な異常が現れない場合もあります。したがって、CT検査、MRI検査、血管造影検査、PET-CT検査などで血管の形状や病変の分布や炎症の度合いを評価することは、診断や血管病変の進行の評価に有用です。特に若い方に画像検査で大動脈とその第1分枝に閉塞性あるいは拡張性病変を多発性に認めた場合は、炎症反応が陰性であっても、高安動脈炎を第一に疑います。

引用:慶應義塾大学病院 医療・健康情報サイトKOMPAS
http://kompas.hosp.keio.ac.jp/contents/000613.html

野中親哉 医師(野中内科クリニック院長)ドクターの解説
高安動脈炎(大動脈炎症候群)は、左右両方の血圧を測ることで確認できます。大動脈に狭窄があると、右手と左手の血圧の数値に差が生じるので、その差を確認します。
また、血液検査では炎症反応(CRP・赤沈)が陽性になります。
さらにCT・MRIや血管造影検査では、狭窄が起きている部分が通常の形状と異なっているので、血管の形を比較することで診断できます。
心臓合併症を引き起こしているかの確認も大切です。その場合、心エコーや心臓カテーテルを用いて調べていきます。

高安動脈炎(大動脈炎症候群)の治療方法

まず、高安動脈炎による炎症を抑えることが基本になります。通常、プレドニゾロンなどの副腎皮質ステロイドを用います。また、血栓ができるのを予防するお薬を使います。
炎症が強く、なかなかステロイドが減らせない場合は、免疫抑制薬を使うこともありますが、副作用がありえますので、主治医と十分な相談の上使用することになります。
炎症が治まった後は、症状に応じてさまざまなお薬を使いますが、血管のつまりが強くて日常生活に大きく差し支える場合は、炎症が治まってから外科的に血管のバイパス手術をすることがあります。研究班の統計では約2割のかたが手術を受けておられます。

引用:難病情報センター
http://www.nanbyou.or.jp/entry/141

野中親哉 医師(野中内科クリニック院長)ドクターの解説
高安動脈炎は、大動脈に炎症が起きている状態なので、まずは炎症を抑えることが大切です。炎症を抑えるために、副腎皮質ステロイド薬を服用します。血液検査で判明したCRPや赤沈の数値をみて、炎症をどの程度抑えればいいか、投薬量を加減しながら服用を調整していきます。
炎症が強い場合は、ステロイド薬では効かない場合が多いので、免疫抑制薬を用いることもあります。ただ、これらは副作用が出ることが多いので状態を観察しながら慎重に調整することになります。
血管の狭窄が進行していて、日常生活に支障をきたす場合は、血管を拡張するための手術を行う必要もあるでしょう。


この記事の監修ドクター

野中親哉 医師(野中内科クリニック院長)野中親哉 医師
野中内科クリニック 院長

PROFILE

1987年  大阪医科大学卒業後、済生会吹田病院勤務
1990年  彰療会大正病院勤務
1994年  博士号取得後、彰療会大正病院副院長に就任
2003年  吹田市津雲台にて、野中内科クリニックを開設