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動脈硬化の症状や原因、治療方法をご紹介 2018.06.29

動脈硬化(読み方:どうみゃくこうか)とはどんな病気なのでしょうか?その原因や、主にみられる症状、一般的な治療方法などについて、医療機関や学会が発信している情報と、専門家であるドクターのコメントをまじえつつ、Medical DOC編集部よりお届けします。

この記事の監修ドクター:
菊地香織 医師(八景駅前きくち内科 院長)

動脈硬化とは

動脈硬化とは、動脈の血管の内側にコレステロールと線維などのプラークがたまって血管が狭くなったり、弾力がなくなってもろくなったりする状態をさします。

このプラークが突然破裂すると血栓ができて完全に血管がつまり、心筋梗塞や脳梗塞といった怖い病気がおこります。現在、日本人の死亡原因の1位が悪性新生物(がん)2位が心疾患、3位が脳血管疾患、となっています。
2位と3位は動脈硬化が原因になっている場合が多い病気です。しかし、動脈硬化そのものには、自覚症状がありません。
ある日突然、心筋梗塞や脳梗塞を起こして初めて動脈硬化に気づくこともまれではありません。
引用:総合南東北病院
http://www.minamitohoku.or.jp/kenkokanri/201105/doumyaku.html

菊地香織 医師 八景駅前きくち内科 院長監修ドクターのコメント
日本人の死亡原因の上位に挙げられる心疾患や脳血管疾患ですが、その原因になっている動脈硬化は年齢や肥満、糖尿病や高血圧や脂質異常症など、さまざまな原因によって引き起こされる病気です。健康ブームの影響を受けて、脳血管疾患(脳梗塞など)の近年患者数は少しずつ減少しておりますが、依然として心疾患(心筋梗塞・狭心症など)患者数は増加しています。

動脈硬化の症状

年齢が高くなるにつれ、内膜の中にたまったコレステロールを中心とした脂肪沈着は、やがて「脂肪斑」と呼ばれる状態になります。20~30歳ごろから始まり、この「脂肪斑」などが大きくなり、血管の内側に向かって盛り上がってきますから、50~60歳になると血管自体は狭くなってしまいます。

その結果、スムーズな流れだった血流と内膜の間に無理(ストレス)が生じ、内膜を覆っている細胞(内皮細胞)が壊れ、血の塊(血栓)ができます。この塊で血管が詰ると、急性心筋梗塞などの発作として、初めて症状が現れるようになります。
ですから、症状が自覚できるようになった時は、すでに20~30年に及ぶ沈黙の「動脈硬化の進行」があったと考えなくてはなりません。硬化は無症状のまま進行することをしっかり覚えておいてください。
引用:国立循環器病研究センター 循環器病情報サービス
http://www.ncvc.go.jp/cvdinfo/pamphlet/blood/pamph21.html#anchor-3

菊地香織 医師 八景駅前きくち内科 院長監修ドクターのコメント
動脈硬化による心疾患や脳血管疾患は、高齢者だけでなく働き盛りの50代、60代の人も大勢かかる病気です。男性の発症が多いですが、閉経後は女性も増えてきます。これは閉経を機に血管を守る働きのある卵巣機能が低下し、女性ホルモンの産生が低下することにより血管がもろくなることが影響しています。女性ホルモン産生が低下すると悪玉コレステロールの値も増え、血糖値や血圧が上がり、動脈硬化のリスクが高まります。初期であれば動脈硬化によって自覚症状がおこることは少ないですが、脂質異常症や高血圧・糖尿病を放置して数年たてば進行している可能性があります。めまいや手足のまひなどがあれば脳梗塞や脳血栓のサインである可能性があります。胸痛や肩こり・歯痛などがあれば心疾患(狭心症・心筋梗塞)かもしれません。これらは重い後遺症が残ったり命にかかわることもある病気なので早目に診察を受けましょう。

動脈硬化の原因

①脂質異常症

悪玉コレステロール(LDL)値が高すぎるあるいは善玉コレステロール(HDL)値が低すぎるなどの状態である

②高血圧

高血圧ですと、血管にかかる圧力が高くなり、血管がもろくなります。もろくなった血管の壁に悪玉コレステロールが侵入しやすくなります。

③糖尿病

糖尿痛患者では、血糖が血管の壁を傷つけるため、悪玉コレステロールが血管の壁の中に入り込んでしまう。

④喫煙

タバコの煙には、様々な有害物質が含まれています。一酸化炭素はHDLコレステロールを減少させ、血管の内皮を傷つけます。ニコチンは血圧の上昇や心拍数を上昇させます。間違いなく血管の機能を低下させるので、喫煙はやめましょう。

⑤加齢

加齢に伴い動脈硬化は進行します。

⑥その他

先天性の異常、薬の副作用、運動不足、ストレスなど
このようにさまざまな誘因によって、動脈硬化が加速されます。この中でも一番の元凶といわれるのが脂質異常症です。
脂質異常症とは、血液中の脂質の量の異常です。LDLコレステロールや中性脂肪が多かったり、逆にHDLコレステロールが少ない状態のことです。特に注意したいのは、血液中のLDL(悪玉)コレステロール、HDL(善玉)コレステロールのバランスが崩れた状態である、高LDLコレステロール血症と低HDLコレステロール血症です。
引用:総合南東北病院
http://www.minamitohoku.or.jp/kenkokanri/201105/doumyaku.html

菊地香織 医師 八景駅前きくち内科 院長監修ドクターのコメント
動脈硬化の原因となる生活習慣の一つに喫煙がありますが、近年若年の男性に禁煙する人が増えています。健康意識が高くなり、これまで抱いていた「煙草を吸うことはカッコいい」という美意識が変わったり、副流煙の影響に自覚的になり、家族のために禁煙する人が増えているからです。そして2006年から禁煙治療は保険適用になったことも大きな要因です(すべての施設が保険適用になるわけではないので事前に確認してください)。健康寿命を伸ばすためにも、禁煙をはじめとした生活習慣を見直し、動脈硬化にかからない身体作りを始めましょう。

動脈硬化の検査法

どんな検査が行われるか、項目を挙げてみましょう。

◆危険因子の有無を調べるチェック項目

  1. 血圧
  2. 空腹時の血液中の脂肪
    総コレステロール値・HDL(善玉)コレステロール値・トリグリセライド(中性脂肪)値・LDL(悪玉)コレステロール値・アポ蛋白A-1、B値・Lp(a)値・レムナント
  3. 空腹時血糖
  4. 喫煙歴
  5. 血液の尿酸値
  6. 身長・体重・ウエストとヒップの周囲径の計測

◆動脈硬化の程度を知る検査
・冠状動脈:血管内エコー・シンチグラム・MRI・血管内視鏡・冠状動脈造影
・脳動脈:シンチグラム・MRI・脳動脈造影
・頸動脈:エコー・血管造影・MRI
・大動脈:CT・MRI・エコー・大動脈造影
・下肢動脈:シンチグラム・エコー・脈波・血管造影
これらの多くは何か症状がある場合の検査で、直接、動脈硬化の程度を知ることができますが、一般の診療では次の3項目の検査が心臓、脳、下肢の動脈硬化の程度を知る手がかりになります。

  1. 心電図
  2. 眼底検査
  3. 上腕動脈と足関節上部で測定する血圧の比、脈拍の触れ方、左右差

日常の診療でも触診で動脈の硬さや、走行具合を、また胸部レントゲン写真で動脈の石灰化をチェックできます。
引用:国立循環器病研究センター 循環器病情報サービス
http://www.ncvc.go.jp/cvdinfo/pamphlet/blood/pamph21.html#anchor-7

動脈硬化の治療方法

コレステロールの量と他の条件(危険因子)とのかかわりを考えて、どのくらい動脈硬化が進んでいるか予測し、悪玉コレステロールをどのくらいに低くするか目標の値を設定します。

(1)生活習慣を改善する治療
・禁煙
・食事を見直す
・運動する
・若い頃の体重を維持する
タバコを吸っている人は禁煙からスタート。心筋梗塞を起こしても禁煙しないと、再発の危険が、吸わない人の3倍です。これまでの食事内容を見直して総摂取エネルギー量や飽和脂肪酸摂取量を抑え、運動量を増やして太りにくいからだを作り、メタボリックシンドロームにならないようウエストに気をつけて適正体重を維持。この四つが生活指導の基本です。
(2)薬が出る場合
食事・運動療法に取組んでから3カ月から6カ月たっても脂肪異常症が改善されないと、医師が薬を出すことがありますが、食事・運動療法をやめてしまってはいけません。
引用:日本動脈硬化学会 動脈硬化の病気を防ぐガイドブック
http://www.j-athero.org/guide/about/03.html

菊地香織 医師 八景駅前きくち内科 院長監修ドクターのコメント
動脈硬化は血管が硬くもろくなる病気ですが、一度硬くもろくなった血管を元に戻すことはできません。運動不足や欧米型の食生活、高ストレスなど現代人の生活自体が動脈硬化を引き起こすのにぴったりと言えます。予防のためには健康診断を受け、自分には高血圧や糖尿病・脂質異常症などの病気がないかを把握し、それらの病気があれば生活習慣の見直しや薬物治療を早期に行うことが血管を若く保ち心疾患や脳血管疾患の発症予防につながります。
動脈硬化を予防するためには運動がおすすめですが、普段あまり運動をしていない人や、特に働き盛りで忙しい人はなかなか積極的に身体を動かしたりスポーツに参加しません。そんな人こそゴルフがおすすめです。自然の中で楽しみながらかなりの距離を歩くゴルフは、1プレイで約1200kcal消費します(カート不使用の場合)。ゴルフに限らず、自分に向いたスポーツを探して定期的に身体を動かすことで、動脈硬化予防につながります。リタイア後の夫婦の共通の趣味として何か身体を動かすことを始めてみてはいかがでしょうか。


この記事の監修ドクター

菊地香織 医師 八景駅前きくち内科 院長菊地香織 医師
八景駅前きくち内科 院長

PROFILE

・秋田大学医学部 卒業。横浜市立大学医学部大学院博士課程修了(医学博士取得)・横浜市立大学附属市民総合医療センター 横浜栄共済病院 初期臨床研修プログラム修了
・横浜市立大学附属病院 内分泌糖尿病内科 後期臨床研修プログラム修了
・横浜市立大学附属病院 内分泌糖尿病内科 特任助手
・伊藤病院(甲状腺疾患専門病院) 非常勤医師
・きくち内科クリニック(本院) 副院長
・八景駅前きくち内科(分院) 院長