多発性嚢胞腎の症状・原因・治療方法について
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多発性嚢胞腎の症状・原因・治療方法について 2018.07.16

多発性嚢胞腎(読み方:たはつせいのうほうじん)とはどんな病気なのでしょうか?その原因や、主にみられる症状、一般的な治療方法などについて、医療機関や学会が発信している情報と、専門家であるドクターのコメントをまじえつつ、Medical DOC編集部よりお届けします。

この記事の監修ドクター:
児島 康行 医師(四ツ橋腎泌尿器科こじまクリニック院長)

多発性嚢胞腎とは

両方の腎臓にできた多発性の嚢胞が徐々に大きくなり、進行性に腎機能が低下する、最も頻度の高い遺伝性腎疾患です。
尿細管の太さ(径)を調節するPKD遺伝子の異常が原因で起こります。多くは成人になってから発症し、70歳までに約半数が透析を必要とします。高血圧、肝嚢胞、脳動脈瘤など、全身の合併症もあり、その精査を行うことも大切です。

引用:東京女子医科大学病院 腎臓病総合医療センター 腎臓内科
http://www.twmu.ac.jp/NEP/idensei-jinshikkan/nouhoujin.html

児島康行医師 四ツ橋腎泌尿器科こじまクリニック院長ドクターの解説
常染色体優性多発性嚢胞腎は、腎臓に嚢胞が多数でき、徐々に大きくなり腎機能が低下する遺伝性疾患です。60歳までに約半数が末期腎不全になり透析導入が必要となります。

多発性嚢胞腎の症状

腎臓ののう胞は年齢とともに大きさと数を増やしていきます。そして、ある程度増えるとその段階で腎臓の働きが低下し始めます。普通腎臓の大きさは上下に長い方がせいぜい10から12cm程度ですが、のう胞腎では30cmまで大きくなるのも稀ではありません。
この腎臓の働きが落ち始めるのは人によってかなり差はありますが、平均的には30歳代から腎機能が低下し始め60歳代で透析や移植が必要になることが多いようです。このような人は全体の50%ぐらいで、腎機能の低下はあまりなく透析も70歳まで必要のない人もいます。

引用:日本腎臓学会承認サイト 腎臓ネット
http://www.jinzou.net/01/ippan/feature/adpkd/index.html

児島康行医師 四ツ橋腎泌尿器科こじまクリニック院長ドクターの解説
腎臓が腫大してくると周囲臓器を圧迫して、呼吸困難、食欲不振、腹部膨満などの症状が出てくることがあります。

多発性嚢胞腎の原因

多発性嚢胞腎を引き起こす遺伝子の異常には、いくつかの種類があります。そのうち数種類は優性遺伝子によって引き起こされますが、まれながら劣性遺伝子が原因のものもあります。つまり、この病気を発症した人は、片方の親から1つの優性遺伝子を受け継いでいるか、両方の親からそれぞれ1つずつ劣性遺伝子を受け継いでいることになります。優性遺伝子を受け継いだ人の場合、通常は成人になるまで症状はみられません。一方、劣性遺伝子を受け継いだ人は小児期に重い症状を発症します。
引用:MSDマニュアル家庭版
https://www.msdmanuals.com/ja-jp/ホーム/05-腎臓と尿路の病気/嚢胞性腎疾患/多発性嚢胞腎-(pkd)

児島康行医師 四ツ橋腎泌尿器科こじまクリニック院長ドクターの解説
遺伝性疾患で、両親のどちらかが多発性嚢胞腎の場合は、男女問わず1/2の確率で遺伝します。
国内に3000人に1人の割合で患者さんが存在すると言われています。

多発性嚢胞腎の検査法

診断の基本は同じのう胞腎を持っている家族(両親、祖父母、兄弟など)がいることです(家族内発生)。ただ、この病気がよく知られるようになって30年くらいしか経っていないので、必ずしも診断が以前はつけられていないので、親の兄弟が透析をしていたとか、祖父が脳出血(くも膜下出血)で亡くなったとかいうことが参考になります。
こうした家族内発生が確認できた上で、超音波やCTまたはMRIによって5個以上の大小不同ののう胞が両方の腎臓に存在すると、まず診断に間違いはありません。そして肝臓にものう胞があればさらに診断はたしかになります。問題は家族内発生がわからない場合です。この場合は、類似した他の病気である可能性もあります。ただ腎臓以外にものう胞があれば診断は容易になります。

引用:日本腎臓学会承認サイト 腎臓ネット
http://www.jinzou.net/01/ippan/feature/adpkd/index.html

児島康行医師 四ツ橋腎泌尿器科こじまクリニック院長ドクターの解説
腹部エコーでまず腎に多発する嚢胞を確認します。多発性嚢胞腎と診断後はCTあるいはMRIでの定期的フォローが必要です。また進行度の評価には腎嚢胞の容積を測定することが重要です。

多発性嚢胞腎の治療方法

根本的な治療法はない。進行を遅らせる治療として、バゾプレッシンV2受容体拮抗薬であるトルバプタンが2014年3月に保険適用となった。嚢胞増大を助長するとされるバゾプレッシンの作用を抑制するものであり、世界的な臨床試験において腎嚢胞の増大と腎機能の低下をプラセボと比較し有意に抑制することが報告された。また、多くの患者で高血圧を合併する。降圧治療が腎機能に対して、明らかな有効性は示されていないが、合併頻度の高い脳動脈瘤破裂など頭蓋内出血の危険因子を低下させることや心血管合併症の予防には有効と考えられている。透析に至った患者の腹部膨満を緩和する方法として、両側腎動脈塞栓術が行われ、良好な結果が得られている。

引用:難病情報センター
http://www.nanbyou.or.jp/entry/295

児島康行医師 四ツ橋腎泌尿器科こじまクリニック院長ドクターの解説
現在、バソプレシン受容体拮抗薬(トルバプタン)は、腎機能が良好で両腎容積が750ml以上の多発性嚢胞腎に対して、使用が推奨されています。
また多発性嚢胞腎は難病患者への医療費助成制度の対象疾患となっています。


この記事の監修ドクター

PROFILE

1985年  兵庫医科大学卒業
1985年  大阪大学医学部附属病院
1986年  大阪厚生年金病院泌尿器科
1989年  協仁会小松病院泌尿器科
1993年  大阪大学医学部 助手・学内講師
1998年  蒼龍会井上病院 泌尿器科部長・副院長、大阪大学医学部非常勤講師
2017年  四ツ橋 腎泌尿器科こじまクリニック 院長