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門脈圧亢進症の症状や原因、治療方法とは?

 更新日:2023/03/27

門脈圧亢進症(読み方:もんみゃくあつこうしんしょう)とはどんな病気なのでしょうか?その原因や、主にみられる症状、一般的な治療方法などについて、医療機関や学会が発信している情報と、専門家であるドクターのコメントをまじえつつ、Medical DOC編集部よりお届けします。

この記事の監修ドクター:
寒河江 三太郎 医師 厚木胃腸科医院 院長

門脈圧亢進症とは

何らかの原因で門脈圧が亢進した状態を指す。門脈圧は門脈血流量と肝内外(門脈と肝静脈)の血管抵抗によって規定されている。門脈圧の正常値は100~150mmH2Oであり,これが常時200 mmH2O以上に上昇した場合を門脈圧亢進症としている。

引用:日本救急医学会
hhttp://www.jaam.jp/html/dictionary/dictionary/word/0703.htm

寒河江 三太郎 医師 厚木胃腸科医院 院長ドクターの解説
血液が肝臓に出入りする経路は大きく3か所あります。一つは、肝臓に血液を送る肝動脈、小腸などの消化管から吸収した栄養を肝臓に送る門脈、肝臓から血液を送り出す肝静脈です。門脈圧亢進症とは、何らかの原因により門脈の圧力が増加し、本来であれば肝臓に流れ込むべき血流が、他の場所に流れてしまうことでおこる状態のことをいいます。その原因によって、肝臓に原因がある場合には肝内性、肝静脈やその先の心臓など出口に問題がある場合には肝後性、門脈の途中など入口に問題がある場合には肝前性といいます。最も多いのは肝硬変です。

門脈圧亢進症の症状

門脈圧亢進症は、それ自体は症状を引き起こさないものの、結果として生じた病態によって症状が現れることがあります。腹水が大量にたまると、腹部が目立つほどに膨れ上がったり、非常に大きく張り出したりすることがあります。これにより、不快感や痛みを覚えることもあります。脾臓の腫大は、左上腹部に漠然とした不快感を引き起こすことがあります。

食道と胃の静脈瘤は出血しやすく、ときに大量に出血します。その後、血液またはコーヒーかすに似た黒ずんだ物質を吐くことがあります。便は黒ずんでタール状になることがあります。頻度は下がりますが、直腸の静脈瘤から出血することもあります。その結果、便に血液が混じることがあります。これらの静脈から出血すると死に至ることがあります。

側副血管は、腹部の皮膚や直腸周囲にみられることもあります。

正常であれば肝臓から除去されるはずの物質が体循環に入り脳に達すると、錯乱や眠気(肝性脳症)を引き起こす可能性があります。ほとんどの門脈圧亢進症患者には重度の肝機能不全もあるため、出血傾向などの肝不全の症状がみられることがあります。

引用:MSDマニュアル家庭版
https://www.msdmanuals.com/ja-jp/ホーム/04-肝臓と胆嚢の病気/肝疾患の症状と徴候/門脈圧亢進症

寒河江 三太郎 医師 厚木胃腸科医院 院長ドクターの解説
何らかの原因により門脈の圧力が増加し、本来であれば肝臓に流れ込むべき血流が、他の場所に流れてしまうことで様々な症状が起きてきます。症状として 、代表的なものとして下記が上げられます。

1、流れるルートとして、胃や食道・腹壁の静脈があり、そこが拡張し食道胃静脈瘤などをおこす。(静脈瘤はもろく、出血などを起こしやすく吐血や突然死などの原因になります。)

2、原因になる肝硬変からもおこりますが、血管内の圧力が高くなることで、腹水や胸水がたまる。

3、肝臓を通らない血液が増えることで、本来肝臓で代謝されるアンモニアなどの有害物質が増加し、意識障害などの肝性脳症をおこす。

4、脾臓(古くなった血液の成分を破棄する臓器)が腫大し、機能が亢進され、血小板減少や、貧血などをおこす。

門脈圧亢進症の原因

門脈圧亢進をきたす疾患は肝硬変が代表的で,そのほか特発性門脈圧亢進症,肝外門脈閉塞症,Budd-Chiari症候群などがある。

引用:日本救急医学会
hhttp://www.jaam.jp/html/dictionary/dictionary/word/0703.htm

門脈圧亢進症の検査法

検査所見では,脾臓に血液がたまるため壊される血球が増え,貧血や白血球数が減少します.血小板も少なくなり,5万より低下すると出血傾向がでてきます.
CTや超音波検査で脾腫や腹水がみつかります.血管造影で門脈の閉塞部位を調べる事ができます.門脈が流れなくなっている場合は,そのまわりの小さな血管 が大きくなって肝臓に流れ込む側副血行路が発達しています.これを海綿状血管腫様変化と呼んでいます

引用:日本小児外科学会
http://www.jsps.gr.jp/general/disease/hbp/mpg1zchttp://www.santen.co.jp/ja/healthcare/eye/library/glaucoma/nattoku/about-gla/inspection/

寒河江 三太郎 医師 厚木胃腸科医院 院長ドクターの解説
実際に門脈圧の測定をすることは難しいため、血液検査で貧血や血小板減少の有無・アンモニアの血中濃度を測定します。また、原因疾患(多くが肝硬変)にたいし、肝機能などの評価を行います。上部消化管内視鏡検査で、食道・胃にできた静脈瘤の評価、必要であれば治療を行います。加えて、原疾患の治療のために、定期的に腹部超音波検査や腹部CTを行っていきます。実際に門脈圧の測定を行うためには、門脈造影検査や冠静脈造影検査などを行う必要があります(最終的な診断・治療には非常に重要な検査です)。

門脈圧亢進症の治療方法

門脈圧亢進症の治療は、原因疾患の治療に加えて、上記の症状に対する治療を行います。食道・胃静脈瘤破裂に対しては内視鏡を使っての止血、薬物治療などが行われ、出血予防治療として内視鏡を用いて静脈瘤に薬剤を注入する治療(内視鏡的静脈流硬化療法)、静脈瘤をしばる治療(内視鏡的静脈瘤結紮術)などが行われます。手術治療もありますが、最近では行われることは少なくなっています。胃静脈瘤では血管造影の技術を用いた塞栓術治療が行われます。

引用:寿製薬株式会社
https://ssl.kotobuki-pharm.co.jp/guide/guide03-27https://www.santen.co.jp/ja/healthcare/eye/library/hordeolum/

寒河江 三太郎 医師 厚木胃腸科医院 院長ドクターの解説
基本的には、門脈圧亢進をきたす原因となる疾患に対する治療をすることが中心となります。並行して、たとえば静脈瘤に関しては内視鏡的に硬化療法(血管内で固まる薬品を注入し、出血を予防する)や、カテーテル治療(血管内にカテーテルを入れて、瘤の血流を遮断する)などの対処療法を行っていきます。

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