肛門がんの症状や原因、治療方法とは?
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肛門がんの症状や原因、治療方法とは? 2018.07.19

肛門がん(読み方:こうもんがん)とはどんな病気なのでしょうか?その原因や、主にみられる症状、一般的な治療方法などについて、医療機関や学会が発信している情報と、専門家であるドクターのコメントをまじえつつ、Medical DOC編集部よりお届けします。

この記事の監修ドクター:
東 光邦 医師 東肛門科胃腸科クリニック 院長

肛門がんとは

肛門がんは、肛門の組織の中にがんができる疾患です。肛門がんのうち、扁平上皮がん(類表皮がん)が大部分を占め、残りは総排泄腔腫瘍(類基底細胞腫瘍)が占めます。ヒトパピローマウイルス感染とのかかわりがあるとされています。

引用:国立がん研究センター 希少がんセンター
https://www.ncc.go.jp/jp/rcc/about/anal_cancer/index.html

東 光邦 先生 東肛門科胃腸科クリニック 院長ドクターの解説
肛門管の外側の部分、肛門縁から約1.5から2.0cm程の部分にできるがんのことをいいます。組織学的には扁平上皮という部分にできるので直腸内にできる腺がんとは異なりますが、腫瘍の主座(主だった部分)が肛門管に掛かっている場合は肛門がんと言われる場合もあります。肛門管には肛門腺などがあり肛門腺由来のがんや、痔瘻が慢性化した痔瘻から発生する痔瘻がんなどもあります。また、肛門周囲の皮膚由来のがん(パジェットがん・ボーエン病・悪性黒色腫など)も肛門がんとすることもあります。

肛門がんの症状

痔核の出血は、鮮血が紙についたり、ポタポタ落ちたり、シューと走るように便器を真っ赤によごしたりしますが、肛門がんの場合はやや赤黒い血液が分泌物と一緒に出て、下着を汚したり、紙につく程度の静かな症状です。
裂肛の場合は鋭く脳髄にひびくような痛みが多くなりますが、肛門がんでは強い痛みが長く続く傾向にあります。
それと同時に肛門管やその周辺に硬いしこりのある潰瘍ができたり、肛門が狭くなってきたら要注意です。
とくに、痔瘻がんの場合は肛門周辺からゼリー状の分泌物が出てくるので、これだけで診断がつくほどです。

引用:松田病院
https://www.matsuda-hp.or.jp/library_detail.php?eid=00026

東 光邦 先生 東肛門科胃腸科クリニック 院長ドクターの解説
肛門管の部分は知覚神経があり、痛みを感じることが多く、排便時の痛みを訴えて肛門がんが見つけられる場合があります。裂肛の状態ですが、通常の裂肛とは異なり深掘れした硬い潰瘍が特徴で、視診で通常の裂肛とは異なることで見つけられることがあります。
周囲の皮膚のびらんや発赤などの変化から見つけられることもあります。また慢性化した痔瘻からできたがんの場合は、膿のたまった硬結が硬く大きくなるなどして見つかることもあります。

肛門がんの原因

肛門がんの原因は不明ですが、肛門性交の受け手側でリスクが高く、同様に慢性瘻孔(ろうこう)のある人、肛門の皮膚部分に放射線療法を受けた人、白板症(はくばんしょう)の人、特定の種類の性感染症(特にヒトパピローマウイルス[16型HPV]感染症、鼠径リンパ肉芽腫)の人でもリスクが高まります。

引用:MSDマニュアル家庭版
https://www.msdmanuals.com/ja-jp/ホーム/03-消化器の病気/消化器系の腫瘍/肛門がん

東 光邦 先生 東肛門科胃腸科クリニック 院長ドクターの解説
がんの原因は遺伝子の異常により細胞が異常増殖することによるもので、他のがんのできる原因と同様です。痔瘻がんのようなものは慢性の炎症ががんの発生の原因とも考えられています。

肛門がんの検査法

肛門がんの診断を下すために、医師はまず肛門周囲の皮膚に異常がないかを視診します。次に手袋をして肛門と直腸下部を触診し、肛門内面に周囲と感触が違う部分がないかをチェックします。診察の補助として、肛門鏡(光源を備えた細く硬い管状の機器)を肛門に数センチメートル挿入して観察することがあります。
異常な部分があれば組織サンプルを採取して顕微鏡で調べます(生検と呼ばれる)。

引用:MSDマニュアル家庭版
https://www.msdmanuals.com/ja-jp/ホーム/03-消化器の病気/消化器系の腫瘍/肛門がん

東 光邦 先生 東肛門科胃腸科クリニック 院長ドクターの解説
視診で硬結や非定型的な潰瘍、皮膚の異常を認めたら、その部分の組織検査を行い診断を確定します。

肛門がんの治療方法

切除が可能であれば、手術療法が原則です。肛門がんには腹会陰式直腸切断術(ふくえいんしきちょくちょうせつだんじゅつ)による治療が行われていましたが、手術不能症例や進行症例については化学放射線療法(フルオロウラシルおよびマイトマイシンC(MMC))など、肛門括約筋(こうもんかつやくきん)の温存などを目指す治療を行う場合があります。手術療法後に残存腫瘍が認められた場合には、化学放射線療法を実施することもあります。

引用:希少がんセンター
https://www.ncc.go.jp/jp/rcc/about/anal_cancer/index.html

東 光邦 先生 東肛門科胃腸科クリニック 院長ドクターの解説
肛門管にできた悪性腫瘍ですので、外科的に切除をすることが基本です。腹会陰式直腸切断術(ふくえいんしきちょくちょうせつだんじゅつ)を行います。がんを含めある程度の広さを持って切除することが必要となり、肛門括約筋を含め切除することになるので、左下腹部に人工肛門を造設する必要があります。
肛門がんの多くは扁平上皮がんというもので、これは放射線治療や化学療法によく反応するものなので、手術前に放射線治療や化学療法を行い、腫瘍を小さくしてから手術を行うこともあります。


この記事の監修ドクター

東 光邦 先生 東肛門科胃腸科クリニック 院長東 光邦 医師
東肛門科胃腸科クリニック 院長

PROFILE

1982年日本医科大学卒業。日本医科大学第2外科にて一般消化器外科、胸部外科を学ぶ。
1987年より社会保険中央総合病院大腸肛門病センターにて大腸肛門疾患の研究、診療に従事。
1995年より現職。
医学博士
日本大腸肛門病学会評議員
日本大腸肛門病学会指導医
日本消化器外科学会認定医
日本外科学会専門医
日本臨床外科学会評議員