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食道裂孔ヘルニアの症状・原因・治療方法について 2018.06.29

食道裂孔ヘルニア(読み方:しょくどうれっこうへるにあ)とはどんな病気なのでしょうか?その原因や、主にみられる症状、一般的な治療方法などについて、医療機関や学会が発信している情報と、専門家であるドクターのコメントをまじえつつ、Medical DOC編集部よりお届けします。

この記事の監修ドクター:
寒河江 三太郎 医師 厚木胃腸科医院 院長

食道裂孔ヘルニアとは

横隔膜には、血管や食道などが通る穴があいていますが、このうち、食道が通る穴(食道裂孔(しょくどうれっこう))から、本来、横隔膜の下部にあるべき胃の一部が食道の方(上の方)に飛び出してしまうのが食道裂孔ヘルニアです。

引用:オリンパス おなかの健康ドットコム
https://www.onaka-kenko.com/various-illnesses/esophagus/esophagus_07.html

寒河江 三太郎 医師 厚木胃腸科医院 院長監修ドクターのコメント
食道裂孔ヘルニアは先天性や年齢を重ねることで出現しやすくなり、ヘルニアがあることによって、胃から食道への逆流を防止する機能が弱くなってしまうため、多くの場合逆流性食道炎を合併しています。それに伴い、胸やけ、胸痛、つかえ感等の症状が出ることもあります。ただし実際は無症状の方が多く、治療は必要ない場合がほとんどです。また治療を行う場合も、食道裂孔ヘルニアに対する治療ではなく、併存する逆流性食道炎に対する治療がメインになってきます。

食道裂孔ヘルニアの症状

食道裂孔ヘルニア自体は構造の異常であり、症状がなければ大きな問題はありません。しかし食道裂孔ヘルニアがあることで、胃から食道への逆流を防ぐ仕組みがうまく働かなくなり、胃酸が食道にあがってきやすくなります。そのため、逆流性食道炎を併発し、胸やけ、胸痛、つかえ感等の症状が出てきます。
ヘルニアの程度がひどくなり、ヘルニアが胸部の臓器を圧迫するようになると、呼吸困難、食道閉鎖症状が現れることがあります。

引用:中野胃腸病院
http://nakanohp.com/hospital/sick-topics/entry-233.html

寒河江 三太郎 医師 厚木胃腸科医院 院長ドクターの解説
成人以降に発症する食道裂孔ヘルニアに関しては、その多くが症状はありません。それに付随する逆流性食道炎に伴う症状(胸やけ、胸痛、つかえ感等)がほとんどです。
ただ、まれに横隔膜で圧迫を受け血液が途絶える嵌頓(かんとん)と呼ばれる状態が起こる場合もあり、その場合は緊急手術が必要となります。あと、腹部から、胸部へ胃が脱出した部分が胸部(肺や、心臓)の臓器を圧迫し、呼吸苦などの症状を起こすこともあります(ただし、可能性としては低いです)。また、頻回に高度の逆流性食道炎を繰り返す場合、食道がんのリスクになったり、狭搾をおこし、食事がとれなくなる場合があります。

食道裂孔ヘルニアの原因

食道裂孔ヘルニアは、肥満、喘息、慢性気管支炎などでおなかの圧力が高い状態にあることが原因で起こります。その他にも、加齢によって食道裂孔がゆるくなったり、背骨が曲がったりしている場合にも、起こりやすいといわれます。生まれつき食道裂孔がゆるく、食道裂孔ヘルニアを起こしやすい方もいます。

引用:アステラス製薬
https://www.astellas.com/jp/health/healthcare/gerd/preliminary03.html

寒河江 三太郎 医師 厚木胃腸科医院 院長監修ドクターのコメント
先天性や年齢を重ねることで出現しやすくなります。他には、腹部の圧迫を繰り返すことも原因になることがあります。

食道裂孔ヘルニアの検査法

胃食道X線検査:
バリウムを飲み、食道や胃のレントゲン撮影を行って食道の様子を確認することで、食道裂孔ヘルニアの有無や程度、そして種類がわかります。
このとき、検査中に仰向けになったときに胃から食道へバリウムの逆流が観察された場合には、胃食道逆流の可能性が高いと判断されます。

内視鏡検査:
食道側からと胃側からの両方から、胃粘膜の状態を確認します(図3)。
食道胃接合部の位置の直接的な確認、食道裂孔のたるみの有無の確認ができます。また、合併することの多い逆流性食道炎の診断なども同時に行います。
引用:オリンパス おなかの健康ドットコム
https://www.onaka-kenko.com/various-illnesses/esophagus/esophagus_07.html

寒河江 三太郎 医師 厚木胃腸科医院 院長監修ドクターのコメント
実際の診断は、胃カメラ(内視鏡検査)でされる場合が大半です。また胃カメラの場合、食道裂孔ヘルニアの診断だけでなく、逆流性食道炎の程度や、他に食道や胃の悪性腫瘍の有無についても判断することができるため、定期的に受ける必要があります。

食道裂孔ヘルニアの治療方法

滑脱型食道裂孔ヘルニアで症状がみられなければ、治療の必要はありません。逆流の症状がみられる場合、酸の産生を抑えるプロトンポンプ阻害薬が使用されます( 消化性潰瘍の治療に用いられる薬剤)。他に逆流の治療に役立つ方法として、寝るときに頭の位置を高くする、食事の量を減らす、過剰な体重を減らす、禁煙する、食後に横になったり運動をしたりしない、きつい服を着ないことなどがあります。酸を含む飲みもの(オレンジジュースやコーラなど)、アルコール、コーヒー、特定の食べもの(タマネギ、香辛料の効いたもの、酸性のもの、脂肪分の多いものなど)の摂取をやめたり、制限したりすることが推奨されます。

傍食道型食道裂孔ヘルニアで症状がある場合は、嵌頓を予防するために手術で治す必要があります。手術は、胸部か腹部を小さく切開し、細い器具と小さなビデオカメラを挿入して行われる場合もあれば(胸腔鏡下手術または腹腔鏡下手術)、完全に開腹して行う必要がある場合もあります。
引用:MSDマニュアル家庭版
https://www.msdmanuals.com/ja-jp/ホーム/03-消化器の病気/食道の病気と嚥下障害/食道裂孔ヘルニア

寒河江 三太郎 医師 厚木胃腸科医院 院長監修ドクターのコメント
成人以降に発症する食道裂孔ヘルニアに関しては、その多くが症状はありません。それに付随する逆流性食道炎に伴う症状がほとんどです。また、逆流性食道炎に対し、生活指導(脂肪分・チョコレート・熱いコーヒーなどの制限、食後2時間程度横にならない、コルセットや洋服などでの腹部の過度の圧迫の禁止など)や、薬物治療(胃酸分泌を調整する薬、食道・胃粘膜を保護する薬、消化管の蠕動運動を促す薬など)を併用していきます。それでも改善しない場合や、脱出部分が大きく胸部の臓器を圧迫するような症状がある場合には、外科手術(腹腔鏡手術も一般的になってきています)を行う場合もあります(ただし必要になる症例は非常に限られます)。また、一部の医療機関では胃内視鏡での治療も研究が行われているようです。


この記事の監修ドクター

寒河江 三太郎 医師 厚木胃腸科医院 院長寒河江 三太郎 医師
厚木胃腸科医院 院長

PROFILE

平成19年 北里大学医学部医学科卒業。平成19年 北里大学医学部医学科卒業。国際親善総合病院にて初期研修後、慶應義塾大学一般・消化器外科教室入室。平成21年 稲城市立病院 外科。平成22年 平塚市民病院 外科。平成23年 慶應義塾大学病院 一般・消化器外科。平成27年6月 厚木胃腸科医院院長。日本消化器内視鏡専門医。日本外科学会専門医。日本医師会認定産業医。日本禁煙学会認定指導医。