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転移性肺がんの症状・原因・治療方法についてご案内

 更新日:2023/03/27

転移性肺がん(読み方:てんいせいはいがん)とはどんな病気なのでしょうか?その原因や、主にみられる症状、一般的な治療方法などについて、医療機関や学会が発信している情報と、専門家であるドクターのコメントをまじえつつ、Medical DOC編集部よりお届けします。

この記事の監修ドクター:
藤田 亨 医師(皿沼クリニック 院長)

転移性肺がんとは

肺は体に必要な酸素をとり込むための全身の血液が循環する臓器で、微細な網目構造になった豊富な毛細血管が血液のフィルターの役割をしています。このため他の臓器にできたがん細胞が血流にのって流れてくると肺でひっかかりやすく、肺に転移が起こりやすいのです。心臓から送り出された血液は、全身を巡ってから肺に戻ってくるため、各臓器の多くのがんが肺に転移しやすいことになります。こうして種々のがんの転移として肺に腫瘍(できもの)が形成された場合を「転移性肺腫瘍」といいます。

引用:日本呼吸器学会
http://www.jrs.or.jp/modules/citizen/index.php?content_id=26

藤田了 医師 皿沼クリニック理事・院長ドクターの解説
さまざまな腫瘍において肺転移が多い理由は、肺の表面積の広さが影響していると考えられています。肺は解剖学的に体循環系のフィルターの働きをしています。また肺胞の数は約3億と言われ、その総表面積は50~60平方メートルにもなります。さらに、吸気時は肺の拡張によって肺胞の呼吸面積が約2倍に膨らみ、約100平方メートルまで広がるのです。また、肺胞毛細血管の面積はその3倍の300平方メートルと言われています。物理的にこれだけの広さがあるため、血液中やリンパを流れて転移を目指す腫瘍細胞が転移先に肺を選ぶ可能性が高くなるのです。

転移性肺がんの症状

転移性肺がんは症状がでにくい疾患です。症状がなくても安心はできません。
転移性肺がんの症状には、1週間しても改善しない悪くなる咳があります。これは肺がんが気管支や肺を刺激してでる症状です。肺がんが気管支に傷をつければ血痰(けったん)も起こしやすくなります。肺がんが気管支を閉塞すると、ぜいぜいした息やその先に肺炎、気管支炎を起こしやすくなります。 転移性肺がんが肋骨や肋間神経に刺激を与えれば持続する胸の痛みが出現します。太い気管支を閉塞する、あるいは胸水がたまって肺が小さくなれば呼吸困難がでます。転移性肺がんが声帯の運動を支配する反回(はんかい)神経を冒すと、しわがれ声になります。
転移性肺がんが大静脈を圧迫すると、血液の戻りが悪くなり、首や顔が腫れます。これを上大(じょうだい)静脈症候群といいます。
転移性肺がんが進行し体力がなくなると、食欲減退や体重減少や疲労感が出現します。これらの症状は転移性肺がんだけでなく他の病気にもみられます。
このような症状のどれかがあれば、医師の診断を受けることが重要です。

引用:東京慈恵会医科大学附属柏病院
http://www.jikei.ac.jp/hospital/kashiwa/sinryo/40_02w2.html#case14

藤田了 医師 皿沼クリニック理事・院長ドクターの解説
上大静脈症候群の大部分は、気管支原性肺がんとその縦隔リンパ節転移によって起こるとされています。仮に転移性肺がんによって上大静脈症候群が起こったとしても、治療方法は気管支原性肺がんと同じです。第一選択の治療は、上大静脈症候群に対する血管内ステント留置術となります。網目状のステントを狭くなった血管内に入れて血流を改善させるこの治療は、短時間で症状改善が可能であり、術中術後の合併症も少ないと言われています。

転移性肺がんの原因

肺に転移するがんとしては、結腸・直腸がん、乳がん、腎がん、子宮がん、頭頚部がん、骨・軟部悪性腫瘍、膀胱がん、胃・食道がん、肝がん、膵がん、卵巣がんなど実に様々です。転移の起こる経路には、(1)血行性転移といって、他の臓器のがんからこぼれ落ちたがん細胞が血管の中に入り込み、血液の流れに乗って肺で引っかかって定着する経路、(2)リンパ行性転移といって、他の臓器のがんからがん細胞がリンパ管の中に入り込み、リンパ液の流れに乗って肺のリンパ節にたどりつく経路、(3)経管腔性転移(経気道性転移)といって、主に肺にできたがんが、気道の中を空気の流れに乗って肺のほかの部分にたどり着く経路があります。このうち転移性肺腫瘍をきたす経路は、ほとんどが(1)の血行性転移だといわれています。

引用:日本呼吸器学会
http://www.jrs.or.jp/modules/citizen/index.php?content_id=26

転移性肺がんの検査法

肺への転移といっても様々な様相を呈します。肺に一つのかたまりを形成する場合、肺に無数のかたまりを作る場合、胸水がたまる場合、肺のリンパ節が大きくなる場合などです。
診断には胸部エックス線検査と胸部CT検査、PET検査などが行われます。腫瘍マーカーの検査も行われますが、原発性がんと同じ腫瘍マーカーが有効です。これは転移性肺がんが原発性がんの性質をそのまま持っているためです。
転移性肺がんのときは、原発性がんのあった部位の再発の有無も重要で、原発性がんの検査も行います。
また、骨や肝臓や脳などの他の臓器への転移の検査も行います。

引用:東京慈恵会医科大学附属柏病院
http://www.jikei.ac.jp/hospital/kashiwa/sinryo/40_02w2.html#case10

藤田了 医師 皿沼クリニック理事・院長ドクターの解説
上記の検査方法のうち、気管支鏡、針生検、開胸手術による検体の提出などの検査は、確定診断のためには有効である一方、患者さんの身体に大きな負担がかかるというデメリットがあります。確定診断は治療に直結しますが、そればかりを優先して患者さんの身体がないがしろにされてはいけません。あまり体力が残っていない末期の患者さんにとっては、治療法はホスピス等での疼痛・苦痛の緩和しか残っていませんから、こうした侵襲的な検査を行うことは無意味でしょう。検査を実施する際は、治療と患者さんの状態を勘案した上で効果的な検査を選択することが重要です。

転移性肺がんの治療方法

がん(例えば胃がんや乳がん)が血流に乗って他の臓器(この場合肺)に転移しているのですから、現在胸部X線写真やCT写真に写っている以上にがん細胞が肺の中やほかの臓器の中に潜んでいる可能性が高いと考えなければなりません。したがって治療の原則は抗がん薬や分子標的治療薬などによる治療となります。このような治療を行った結果として、肺にだけ数個程度の転移が残った場合にはこれを手術や放射線療法、凍結療法、ラジオ波治療などで治療することがあります。また例外的に肺にだけ転移が出現して(他の臓器に転移が無い)、その数も3-4個程度である場合には抗がん薬などを用いずに、手術や放射線療法、凍結療法、ラジオ波治療などのいわゆる局所治療だけを行う場合があります。

引用:慶應義塾大学病院 医療・健康情報サイトKOMPAS
http://kompas.hosp.keio.ac.jp/contents/000259.html

藤田了 医師 皿沼クリニック理事・院長ドクターの解説
転移性肺がんに限らず、がん組織にはがん幹細胞が存在します。がん幹細胞は分裂スピードが遅いため、分裂スピードが速い細胞をターゲットとする抗がん剤治療や放射線治療はほとんど効果がありません。そのうえ副作用が患者さんの体力を削ぎ、一気に末期の状態へと突入して、疼痛緩和治療しか選択できなくなる確率が高くなります。ただし、ドラッグ・デリバリー・システム(DDS)を利用した抗がん剤治療、時間治療学を利用した抗がん剤治療、重粒子線を利用した放射線治療は、この限りではありません。DDSとは、特定の細胞(この場合はがん細胞)に狙いを絞って薬の効果を発揮させる技術です。また、時間治療学を利用する治療では、深夜に抗がん剤を点滴で投与し、深夜に分裂が盛んながん細胞を標的にする治療法です。正常細胞は、深夜にはほとんど分裂しません。

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