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糖尿病網膜症の症状や原因、治療方法とは?

糖尿病網膜症(読み方:とうにょうびょうもうまくしょう)とはどんな病気なのでしょうか?その原因や、主にみられる症状、一般的な治療方法などについて、医療機関や学会が発信している情報と、専門家であるドクターのコメントをまじえつつ、Medical DOC編集部よりお届けします。

この記事の監修ドクター:
菊地 香織 医師(八景駅前きくち内科 院長)

糖尿病網膜症とは

眼の中にある網膜という部分で起きる細小血管症が糖尿病網膜症です。網膜症が悪くなると、最悪の場合、眼底出血や網膜剥離を伴って失明に至る場合もあります。網膜症を悪くしないためには、主には日頃の血糖コントロールが重要です。

引用:国立国際医療研究センター糖尿病情報センター
http://dmic.ncgm.go.jp/general/about-dm/060/050/01.html

菊地香織 医師(八景駅前きくち内科 院長)監修ドクターのコメント
糖尿病網膜症は糖尿病によって起こる糖尿病三大合併症の一つです。赤血球のヘモグロビン量(HbA1c)が7%以上の状態が5年以上続くと発症するため、糖尿病のコントロールを良好に保ち予防していくことが重要です。

糖尿病網膜症の症状

糖尿病網膜症の症状は、病気の進行とともに変化します。
・初期の段階では、まだ自覚症状がみられません。しかし、目の中の血管の状態をみると、小さな出血など、少しずつ異常があらわれています。
・中期になると、視界がかすむなどの症状が感じられます。このとき目の中で、血管がつまるなどの障害が起きています。
・末期になると、視力低下や飛蚊症が起こり、さらには失明に至ることもあります。目の中で大きな出血が起こる、あるいは網膜剥離や、緑内障など、他の病気を併発している場合があります。

引用:参天製薬
https://www.santen.co.jp/ja/healthcare/eye/library/diabetic_retinopathy/

菊地香織 医師(八景駅前きくち内科 院長)監修ドクターのコメント
糖尿病にかかってもすぐに糖尿病網膜症が発症するわけではないのが特徴です。かなり病状が進行するまで無症状であることも多く、ある日突然、目が見えづらくなるなどといった視覚障害になって現れます。日本人の働き盛りの失明の原因第一位は糖尿病網膜症なのです。増殖網膜症まで進行すると視力障害が起こり、網膜剥離を起こして失明することもある病気です。糖尿病網膜症は一度治療によってかなり症状を抑えることができます。進行の度合い中期なら眼科でレーザー手術し進行を抑えることができるため、眼科への定期受診がのぞましいです。当院では少なくとも半年に1回程度の受診をおすすめしています。

糖尿病網膜症の原因

網膜には光や色を感じる神経細胞が敷きつめられ、無数の細かい血管が張り巡らされています。血糖が高い状態が長く続くと、網膜の細い血管は少しずつ損傷を受け、変形したりつまったりします。血管がつまると網膜のすみずみまで酸素が行き渡らなくなり、網膜が酸欠状態に陥り、その結果として新しい血管(新生血管)を生やして酸素不足を補おうとします。新生血管はもろいために容易に出血を起こします。また、出血すると網膜にかさぶたのような膜(増殖組織)が張ってきて、これが原因で網膜剥離を起こすことがあります。

引用:日本眼科学会
http://www.nichigan.or.jp/public/disease/momaku_tonyo.jsp

菊地香織 医師(八景駅前きくち内科 院長)監修ドクターのコメント
糖尿病にかかることによって合併付随して発症する病気です。健診を受ける機会がなく、糖尿病発症に気付かなかったため長期間無治療だった場合、血糖がかなり高値になってから来院されることがあります。治療を開始する段階で糖尿病網膜症がすでに存在していた場合は、急激に血糖値を低下させると、かえって糖尿病網膜症を進行させてしまうことがあります。このようなケースでは、糖尿病専門医は眼科医と提携し、目を守りつつ緩やかに血糖降下するような治療法を提案していきます。

糖尿病網膜症の検査法

◆ 精密眼底検査
網膜(眼底)を詳しく検査するために、瞳孔を拡げる目薬(散瞳薬)を点眼して行う検査です。薬が効いている数時間は眩しくて見にくいので、検査を受ける日は車の運転を控えましょう。
◆ 蛍光眼底造影
網膜血管の異常を正確に把握するために、造影剤を静脈注射した後、眼底カメラで撮影する血管造影検査です。治療方針の決定に役立ちます。
◆ 光干渉断層計(OCT)
網膜の断層写真を撮影する検査です。

引用:日本糖尿病眼学会
http://www.jsod.jp/ippan/index.html

糖尿病網膜症の治療方法

糖尿病網膜症は、完全に治すことのできない病気です。治療は、症状の悪化を防ぐために行われます。
・初期
糖尿病自体の治療と同様、血糖(血液中の糖分量)をコントロールすることが重要です。
・中期
新生血管の発生を防ぐために、レーザーで眼底を焼く「レーザー光凝固術」が行われます。
・末期
併発した網膜剥離の外科治療などが行われます。

引用:参天製薬
https://www.santen.co.jp/ja/healthcare/eye/library/diabetic_retinopathy/index3.jsp

菊地香織 医師(八景駅前きくち内科 院長)監修ドクターのコメント
糖尿病網膜症は最悪の場合、失明になることもある病気ですが、発症しても早い段階で適切な治療や手術を受けることで進行を抑えることが可能です。初期は症状が出ないこともあり、自分が糖尿性網膜症かどうか気づけませんが、糖尿病の治療でHbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)を7%以下にコントロールできれば予防できたり、進行を抑えることができます。眼底検査を受ければ必ず発見できるので、定期的に眼科受診することが大事です。毎年健康診断を受けない人は糖尿病の発見が遅れ、網膜症が進行するまで気づけないため、毎年受診義務のない専業主婦や自営業の人は要注意です。患者さんの中には身内に糖尿性網膜症がいるという人も多いので、当てはまる人は特に注意してください。


この記事の監修ドクター

菊地香織 医師
八景駅前きくち内科 院長)

PROFILE

・秋田大学医学部 卒業。横浜市立大学医学部大学院博士課程修了(医学博士取得)

・横浜市立大学附属市民総合医療センター 横浜栄共済病院 初期臨床研修プログラム修了
・横浜市立大学附属病院 内分泌糖尿病内科 後期臨床研修プログラム修了
・横浜市立大学附属病院 内分泌糖尿病内科 特任助手
・伊藤病院(甲状腺疾患専門病院) 非常勤医師
・きくち内科クリニック(本院) 副院長
・  八景駅前きくち内科(分院) 院長