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顔面神経麻痺(ベル麻痺)の症状や原因、治療方法とは?

 更新日:2023/03/27

顔面神経麻痺(読み方:がんめんしんけいまひ、別名:ベル麻痺)とはどんな病気なのでしょうか?その原因や、主にみられる症状、一般的な治療方法などについて、医療機関や学会が発信している情報と、専門家であるドクターのコメントをまじえつつ、Medical DOC編集部よりお届けします。

この記事の監修ドクター:
春名 令子 医師(はるなクリニック 副院長)

顔面神経麻痺(ベル麻痺)とは

顔面神経は脳から発し、側頭骨の中の顔面神経管という骨管の中を通り、耳下腺を貫き顔面に分布しています。そのいずれの部分の障害でも顔面神経麻痺が起こりますが、その大部分(すべての顔面神経麻痺の約70%)は側頭骨内での障害です。
その中で最も多いのが、顔面神経管の中の顔面神経が水膨れになり、顔面神経麻痺となるもので、ベル麻痺(ベルとはこの病気を発見した人の名前)と呼んでいます。

引用:神尾記念病院
http://www.kamio.org/otorhinology-disease/facial-palsy/

春名令子 医師(はるなクリニック 副院長)ドクターの解説
顔面神経麻痺は「末梢性顔面神経麻痺」と「中枢性顔面神経麻痺」に分かれます。末梢性顔面神経麻痺とは、顔面神経が麻痺を起こした箇所が側頭骨の中にあり、顔の麻痺の症状が強いことが特徴です。一方、中枢性顔面神経麻痺は、脳血管障害などが原因で起こるもので、顔の麻痺の症状は軽度です。ベル麻痺とは、前者の末梢性顔面神経麻痺の大半を占める病気で、顔の片側だけに麻痺が起きることが特徴です。末梢性顔面神経麻痺にはハント症候群という病気も含まれますが、これは麻痺している側の耳に難聴や帯状疱疹の症状が出たり、めまいを起こしたりするものです。麻痺の症状が一過性で自然と落ち着くこともまれにありますが、ほとんどの方は症状が出ると生活に支障が出るため病院を受診することになるでしょう。ベル麻痺の原因はヘルペスウイルスとされていますから、予防するためには免疫力を落とさないことが大切です。

顔面神経麻痺(ベル麻痺)の症状

ベル麻痺では、最初の症状として耳の後ろに痛みが現れることがあります。顔の筋力が突然(通常は数時間以内に)低下します。筋力低下の程度は軽度のものから完全な麻痺まで様々です。筋力低下は48~72時間後に最もひどくなります。影響を受けるのは顔の片側だけです。

顔面神経麻痺(ベル麻痺を含む)では、顔が平坦になり、表情がなくなります。しかし、顔の片側だけに影響が出る場合、表情を作るたびに、正常な側の筋肉が顔をそちら側に引っぱる傾向があるため、しばしば顔がねじれたように感じられます。額にしわを寄せる、まばたきをする、顔をしかめる、などの動作が困難または不可能になることがあります。たとえ正常な感覚が残っている場合でも、ほとんどの人が顔面にしびれ感や重さを感じます。

引用:MSDマニュアル家庭版
https://www.msdmanuals.com/ja-jp/ホーム/09-脳、脊髄、末梢神経の病気/脳神経疾患/ベル麻痺

春名令子 医師(はるなクリニック 副院長)ドクターの解説
ベル麻痺の特徴は、顔面の片側だけに麻痺を生じることです。口角が下がったり、唇をすぼめたりすることができなくなるので、飲食の際に不都合を感じやすいでしょう。また、ベル麻痺の患者さんの中には、食べ物の食感は感じるものの味がわからなくなったというケースもあります。発症する際は、徐々に症状出るというよりも、朝起きたら顔の片方が動かなくなっていた、というように一気に麻痺が出るケースが多いようです。急なことで混乱した状態で受診する人も多いです。ベル麻痺の症状に気づいたら、かかりつけ医に相談するか、神経内科や星状神経節ブロックの治療ができるペインクリニックを受診してみてください。

顔面神経麻痺(ベル麻痺)の原因

ベル麻痺の原因といわれる単純性ヘルペスウイルス(I型)は、多くの人が自然に感染しているもので、通常は、全く症状を起こさずに顔面神経の奥の方(神経節)に住み着き(これを潜伏感染といいます)おとなしくしています。しかし、何らかの原因により神経細胞内で増殖し(これを再活性化といいます)、その結果、神経線維の炎症が起こり側頭骨内で顔面神経が腫れる(腫脹する)ことにより、突然に顔面の麻痺が生じます。原因としては、疲労やストレス、風邪、急な寒さ、妊娠などが知られていいますが、ベル麻痺では原因がはっきりしないことも多く、特発性麻痺とも呼ばれます。ベル麻痺は、顔面麻痺全体の70%ほどを占めます。

引用:杏林大学医学部付属病院
http://www.kyorin-prs.com/fp/bell.html

顔面神経麻痺(ベル麻痺)の検査法

顔面神経麻痺の診断の上で重要なことは、まず顔面神経が脳から発し、側頭骨を通り、耳下腺を貫き、顔面に分布するまでのどこに障害があるのかを知ることです。前に述べたように、顔面神経麻痺の他にどのような症状を伴うかによって麻痺の障害部位を知ることができます。これらを正確に知るために、味覚検査(電気味覚検査、ろ紙ディスク法)、涙液・唾液量測定、耳小骨筋反射などの検査を行います。
次に重要なことは、顔面神経麻痺の程度を診断することです。額のしわ寄せ、眼を強く閉じる、口笛を吹くなどの顔面の動きを観察し、正常と比べ、どの程度麻痺しているかを点数で現わすことが一般的に行われています。点数は顔面神経麻痺スコアーと呼ばれ、正常を100点としています。このスコアーの推移をみることで、顔面神経麻痺の経過をみることも可能です。
また、筋電図を用いた検査を行うことによって、神経の障害の程度や表情筋の動きの程度を客観的に知ることも大切です。

引用:神尾記念病院
http://www.kamio.org/otorhinology-disease/facial-palsy/

春名令子 医師(はるなクリニック 副院長)ドクターの解説
神経の病気は、障害が起きている箇所によって出る症状が異なるため、まずはどのような症状が出ているかを調べていきます。また、顔面に麻痺が起きていて、原因がヘルペスウイルスだと断言できない場合は、CTやMRIを使って脳梗塞など脳の血管の病気を調べる必要があります。

顔面神経麻痺(ベル麻痺)の治療方法

一般的には、顔面神経のむくみを取るステロイド治療とウイルスの増殖を抑える抗ウイルス剤による治療が行われます。治療により8割の方が、ほぼ元の顔の状態に戻りますが、約2割の方で、表情筋の動きが十分ではなかったり(不全麻痺)、例えば、口を動かすと眼が一緒に閉じてしまうような異常共同運動という後遺症が残ってしまう可能性があります。最近では、早期に適切な表情筋のリハビリテーションを行うことで、こうした後遺症を軽減できることが分かってきていますので、適切な医療機関で適切なリハビリテーションを継続することが重要です。このような適切なリハビリテーションによっても、不全麻痺や異常共同運動が残ってしまった場合には、できれば初めの発症から6カ月以内に、形成外科を受診していただくことをお勧めします。6カ月以内と申しますのも、顔面の表情筋は顔面神経麻痺が生じますと動かない状態が続き、どんどん痩せ(萎縮)てきて6カ月以上過ぎるとかなりの表情筋が痩せてしまいます。一旦、痩せてしまった表情筋に、どんなに顔面神経が再生してきても、回復しにくい状態になることが分かってきていすので、表情筋が痩せてしまう6カ月よりも前に、形成外科を受診していただきたいと思います。形成外科では、表情筋が痩せてしまう前でしたら、舌を動かす舌下神経や咬筋神経を顔面神経につなげる手術(図3:神経移植・移行術、神経ネットワーク形成術)を行うことで、表情筋の動きを取り戻すことが出来ます。
残ってしまった、異常共同運動に対しては筋肉切除手術やボツリヌス毒素などを用いた治療とリハビリテーションを組み合わせることで症状の改善が得られます。

引用:日本頭蓋顎顔面外科学会
http://www.jscmfs.org/general/disease13.html

春名令子 医師(はるなクリニック 副院長)ドクターの解説
通常のベル麻痺の治療は、集中的に治していくために入院して点滴を行い、10日から2週間かけて麻痺の改善を図っていきます。治療の経過は顔面神経麻痺スコアーの点数で評価します。また、顔面麻痺には星状神経節の血流を良くするブロック治療も有効です。反対に、顔面のマッサージはあまり効果があるとは考えられません。また、麻痺の影響でまぶたを閉じることができない場合は、角膜を乾燥から守るために人工涙液などで保護することもあります。ベル麻痺の症状は急激に出るため、最初は驚くかもしれませんが、すぐに治療を開始すれば後遺症が残ることはほとんどありませんので安心してください。

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