1. Medical DOCTOP
  2. 糖尿病性ニューロパチーの症状や原因、治療方法とは?

糖尿病性ニューロパチーの症状や原因、治療方法とは? 2018.06.15

糖尿病性ニューロパチー(読み方:とうにょうびょうせいにゅーろぱちー)とはどんな病気なのでしょうか?その原因や、主にみられる症状、一般的な治療方法などについて、医療機関や学会が発信している情報と、専門家であるドクターのコメントをまじえつつ、Medical DOC編集部よりお届けします。

この記事の監修ドクター:
高橋 宏樹 医師(高橋医院 副院長)

糖尿病性ニューロパチーとは

糖尿病性ニューロパチーはもっとも頻度の高いニューロパチーである.しかしながら,その病態は複雑であり病型分類や治療法は確立していない. 糖尿病多発ニューロパチーが主要病型であるが, 多くの患者は他病型, 他疾患に起因する疾患を併発することが多い.治療に当たっては正確な病態把握をおこなう必要がある.

引用:日本神経学会(「糖尿病性ニューロパチーの病態と治療」臨床神経,49:149―157, 2009)
https://neurology-jp.org/Journal/public_pdf/049040149.pdf

高橋宏樹医師 高橋医院副院長ドクターの解説
糖尿病性ニューロパチーとは、糖尿病の三大合併症の一つで、手足の神経に異常をきたし、足の先や裏・手の指に痛みやしびれなどの感覚異常が現れる合併症のことです。糖尿病の合併症の中でも、最も高頻度で多岐に渡り、最も早期に現れてきます。

糖尿病性ニューロパチーの症状

血糖の高い状態が続いていると、まず手や足先の神経から障害が起こります。症状としては、手足のしびれや痛み、足先の異常な冷え、足底部が皮をかぶった感じ、砂利の上を歩いているような感じといったものがあります。これらの症状は比較的軽いため放置したり、市販薬で治療する患者さんもいますが、この段階で適切な治療を受けないと症状はどんどん悪化して、全身の筋肉が萎縮し、顔面神経麻痺、便秘や排尿障害、立ちくらみ、インポテンツといった症状が起こります。
さらに進行すると、症状はますます重くなり手足のしびれや痛みのために夜眠れない、火傷や靴ずれに気がつかず放置していたために細菌感染を起こし、その 部分の組織が一部死んでしまう状態の壊疽(えそ)にまで発展することもあります。ひどくなれば足を切断することにもなります。

引用:シミックヘルスケア e治験.com
http://e-chiken.com/shikkan/naika/tounyou-shinkei/

高橋宏樹医師 高橋医院副院長ドクターの解説
両足の裏にしびれやにぶいような感じ(皮1枚余分に貼っているような感じ、素足なのに靴下を履いているような感じ、などと表現されます)が現れます。特徴としては、両足左右対称に現れることです。その後、足の上の方に上がっていき、両手指も先端からしびれ始めます(ピリピリ・チクチクするような痛み)。更に進行すると、運動神経や自律神経にも障害が現れます。運動神経では、力が入らない・こむら返りが起こりやすい・顔面神経麻痺などの症状が現れます。自律神経では、立ちくらみ・下痢や便秘・排尿障害・インポテンツ・汗をかきやすくなるなどの症状が現れます。

糖尿病性ニューロパチーの原因

糖尿病により神経が障害される1つの機序には余分なブドウ糖によって細胞が正常に働かなくなり、神経細胞内にソルビトールという物質が溜まるポリオール代謝異常があります。
 また、高血糖は血管の血流を悪化させて神経に必要な栄養や酸素が届かなくなる機序も考えられています。そのため糖尿病性神経障害は血糖だけが問題ではなく、動脈硬化をきたす高血圧や脂質異常症、喫煙や飲酒も関連しています。

引用:長寿科学振興財団 健康長寿ネット
https://www.tyojyu.or.jp/net/byouki/tounyoubyou/tounyou-shinkei.html

高橋宏樹医師 高橋医院副院長ドクターの解説
糖尿病性ニューロパチーは、網膜症や腎症と同時に高血糖が持続することにより、神経が変性したり神経を栄養とする毛細血管の障害で血流が低下することなどで発症します。そのため、血糖コントロールが悪い・高血圧・喫煙・飲酒などは発症リスクが高くなるので日頃から注意が必要です。

糖尿病性ニューロパチーの検査法

診断には症状の問診だけで診断できることもありますが、自覚症状がないときや他の病気と区別がつかないときには各感覚の検査を行います。痛みの神経(痛覚)では爪楊枝など先がとがったもので皮膚を触ったり、振動の認知(振動覚)には音叉を当てたり、触った感覚(触覚)の検査には細いナイロン糸で皮膚を触って確認します。その他にアキレス腱反射の低下消失も所見の1つです。

引用:長寿科学振興財団 健康長寿ネット
https://www.tyojyu.or.jp/net/byouki/tounyoubyou/tounyou-shinkei.html

糖尿病性ニューロパチーの治療方法

糖尿病性神経障害の治療の基本は、血糖コントロールを良好に保つことです。食事療法・運動療法・薬物療法により血糖コントロールを厳格に行わなければ、神経障害に対する薬物治療を行っても、満足のいく効果は期待できません。また、症状が軽い初期の頃は、血糖コントロールを正常化するだけで、神経障害の諸症状を改善できることもあります。
また、神経障害の治療には、神経障害を起こしている原因物質とされるソルビトールの産生を抑えるアルドース還元酵素阻害薬があります。これらの治療を始めると一時的に痛みが悪化することがあります。治療後神経障害といわれるものですが、この詳しい原因はまだわかっていません。治療の途中で一時的に症状が悪化することがあるということを理解し、痛みがひどくなったからといって自己判断で治療を中止することなく、治療を続けるようにしましょう。

引用:シミックヘルスケア e治験.com
http://e-chiken.com/shikkan/naika/tounyou-shinkei/

高橋宏樹医師 高橋医院副院長ドクターの解説
糖尿病の他の合併症もそうなのですが、血糖コントロールをしっかりと行って、進行を未然に防ぐことが最も重要なことです。歩行などの下半身の運動・手足のマッサージなども有効です。初期~早期であれば、血糖コントロールで治療することも出来ます。糖尿病性ニューロパチーで一番危険なことは、末梢神経障害を起こしているため、怪我や火傷をしても気が付くのが遅れ、化膿して壊疽してしまうなど重大な合併症に繋がる恐れがあるということです。このため、糖尿病の人は、日頃から手足に傷などがないか目で見て確かめる習慣をつけておくことが大切になります。異常に気が付いた時は、早めに医師の診察を受けるようにしましょう。


この記事の監修ドクター

高橋宏樹医師 高橋医院副院長高橋 宏樹 医師
高橋医院 副院長

PROFILE

東京慈恵会医科大学卒業、東京慈恵会医科大学大学院修了後、スウェーデン・カロリンスカ研究所へ留学。東京慈恵会医科大学附属柏病院・東京慈恵会医科大学附属病院勤務を経て、高橋医院副院長に。日本内科学会認定医、日本消化器病学会専門医、日本肝臓学会専門医。患者さんが納得していただけること、一緒に治療をしていく姿勢を何よりも大事にし、患者さんが話したいことはきちんと全部お話いただけるような診療を心がけている。