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甲状腺疾患の症状や原因、治療方法とは?

甲状腺疾患(読み方:こうじょうせんしっかん)とはどんな病気なのでしょうか?その原因や、主にみられる症状、一般的な治療方法などについて、医療機関や学会が発信している情報と、専門家であるドクターのコメントをまじえつつ、Medical DOC編集部よりお届けします。

この記事の監修ドクター:
村松 賢一 医師(戸塚クリニック 院長)

甲状腺疾患とは

甲状腺疾患とは、甲状腺の異常や障害によって引き起こされる症状の総称です。甲状腺疾患には、甲状腺ホルモンの分泌過剰による甲状腺機能亢進症や、分泌不全による甲状腺機能低下症、急性・慢性甲状腺炎、単純性甲状腺腫、甲状腺がんなどがあります。甲状腺ホルモンの異常による病気は、全身に様々な症状が現れ、どこが悪いのか判らず「いつも調子が悪い状態」になります。そして、気のせいと思ってしまったり、怠け者と誤解されている人も少なくないのです。

引用:友部セントラルクリニック
http://www.tomobe-cc.net/tounyo-koujyosen.html

戸塚クリニック 院長 村松 賢一 医師ドクターの解説
甲状腺疾患とは、甲状腺の異常等によって起きる症状の総称で、大きく分けると次の三つがあります。
・甲状腺機能低下症:血液の甲状腺ホルモンが低下しすぎる病気
・甲状腺機能亢進症:血液の甲状腺ホルモンが多すぎる病気
・甲状腺に腫瘍ができるもの:良性の場合と悪性の場合があります

甲状腺疾患の症状

1 甲状腺機能の異常
甲状腺の機能が亢進(こうしん 過度に高まること)してホルモンの分泌が過剰になるのが「甲状腺機能亢進症」で、代表的なものはバセドウ病です。バセドウ病の原因は自己免疫疾患と考えられており、動悸、喉(甲状腺)の腫れ、眼球が飛び出て見えることが、主な症状です。一方、甲状腺ホルモンの分泌が足りなくなるのが「甲状腺機能低下症」で、橋本病が代表格です。橋本病も自己免疫疾患が原因と考えられており、むくみやだるさ、無気力などが典型的な自覚症状になります。
2 甲状腺の炎症
甲状腺が炎症を起こす病気は3つあります。1つ目の「急性化膿性甲状腺炎」は、細菌感染によって炎症を起こし、甲状腺に痛みが出ます。次に「亜急性甲状腺炎」は原因がわかっていませんが、ウイルス説が有力です。症状としては甲状腺に腫れや痛み、しこりなどが起こります。急性と比較し、亜急性は中年女性に多く、症状も早く治ります。また、甲状腺機能の異常として紹介した橋本病(慢性甲状腺炎)も甲状腺に炎症を起こすため、甲状腺炎の1つとしても数えられます。
3 甲状腺腫瘍
甲状腺腫瘍の8~9割は、特に治療の必要のない良性のものです。直径2cm以下の初期の甲状腺腫瘍では、自覚症状はほとんどありません。腫瘍が大きくなると、首の腫れやしこり、ものを飲み込むときの違和感などの症状が現れることがあります。

引用:沢井製薬
https://www.sawai.co.jp/kenko-suishinka/illness/201704.html

戸塚クリニック 院長 村松 賢一 医師ドクターの解説
主な甲状腺疾患の特徴は以下の通りです。
・バセドウ病
ホルモンの過剰によるものです。一般的には抗甲状腺薬などで、甲状腺ホルモンの産生を抑えます。時に頻脈が重症化していることもありますので、循環器科医師の診察が必要な場合もあります。
・橋本病
ホルモンの低下によるものです。治療として甲状腺ホルモンを補充します。
・腫瘍性疾患
甲状腺に腫瘍があるものです。良悪の判断は主にエコー検査などで判断します。良性の場合にはそのまま放置してよいものや、定期的な診察と検査で様子をみるものがあります、悪性疑いの場合は、適切に対処する必要があります。

甲状腺疾患の原因

①甲状腺疾患は、甲状腺ホルモンの過剰や低下で起きる
甲状腺の病気は、腫瘍ができる場合(甲状腺腫)や炎症が起こる場合(甲状腺炎)を除いて、そのほとんどが甲状腺ホルモンの合成・分泌過剰あるいはその低下によって起こります。なぜ、そのような過剰や低下が起こるのかというと、甲状腺が“免疫”によってホルモン調節の仕組みを狂わされてしまうからです。免疫はときに勘違いをおこして自分の体を外敵と間違えて攻撃してしまうことがあります。これがホルモンの過剰や低下をまねいてしまいます。
②免疫が甲状腺を攻撃してしまう
たとえばバセドウ病の場合、免疫が勘違いを起こして、甲状腺を異常に刺激する抗体をつくります。そして、この抗体が甲状腺を刺激することで甲状腺ホルモンを過剰につくらせてしまいます。橋本病の場合は、甲状腺の細胞に免疫の一部であるリンパ球が誤作動を起こして攻撃します。これにより甲状腺は炎症を起こし、細胞が傷ついてしまうことによって甲状腺ホルモンが造られなくなり、ホルモン不足に陥ります。従って、甲状腺ホルモンの異常は免疫機能の誤作動によって発生するということになります。
③実質の原因は遺伝?
実は、免疫誤作動の原因はまだはっきりと結論はでていません。現在のところでは遺伝による可能性が高いのではないかといわれていますが、結論は出ていません。遺伝説が有力だからといって、それだけで甲状腺の病気になるわけではありません。自分の家系に甲状腺の病気の方がいるから自分も甲状腺の病気になってしまうとは言い切れないので、過度に心配せずご相談ください。

引用:友部セントラルクリニック
http://www.tomobe-cc.net/tounyo-koujyosen.html

戸塚クリニック 院長 村松 賢一 医師ドクターの解説
原因に関しては、自己免疫疾患として認識されているものが多いです。
・甲状腺機能低下症
血液中の甲状腺ホルモンが少なくなり、その結果起こる病気です。代表的なものは橋本病です。自己免疫疾患と考えられています。
・甲状腺機能亢進症
血液の甲状腺ホルモンが多くなりすぎ、その結果起こる病気です。代表的なものはバセドウ病です。これも自己免疫疾患と考えられています。
・甲状腺腫瘍
多くは良性のものですが、ごく一部に悪性のものもあります。

甲状腺疾患の検査法

甲状腺機能に異常があるかどうかは、甲状腺ホルモンと甲状腺刺激ホルモンの血中濃度を測定すればわかりますが、病因を特定するには自己抗体検査が必要です。甲状腺腫瘍が良性か悪性かきちんと鑑別するには、超音波・シンチグラフィー・CTなどの画像検査や甲状腺腫瘍の組織検査である穿刺吸引細胞診を行う必要があります。

引用:金地病院
http://www.kanaji.jp/kouzyousenkensa/

戸塚クリニック 院長 村松 賢一 医師ドクターの解説
検査に関しては、一般的には以下の検査が行われます。
・超音波(エコー)検査
・採血検査
・核医学検査
・穿刺吸引細胞診(エコー位置を確認しながら、細い注射でしこりを刺し、細胞を吸い出し検査します)

甲状腺疾患の治療方法

バセドウ病、あるいは橋本病の治療は、薬物療法が中心になります。定期的に行なわれる血液検査をもとに、バセドウ病の場合は甲状腺ホルモンを抑える薬を、橋本病の場合は甲状腺ホルモンを補充する薬を服用し、血液中の甲状腺ホルモンの量をコントロールしていきます。こうした治療の過程で甲状腺の腫れはおさまり、耐えられないような自覚症状も緩和していきます。ただし、薬物療法による治療は長期にわたることがあります。途中で治療をあきらめたり、自己判断で薬の服用を止めたりしないように、根気よく治療を受けなければなりません。
バセドウ病の方で薬物療法だけでは症状が改善されない方、あるいは薬物療法以外の治療を望まれる方には、放射線療法(アイソトープ治療)や手術療法が医師から推薦されます。このふたつの治療効果には、たいへん目ざましいものがありますが、治療を受ける方の年齢や身体的条件、ライフスタイルに対する考え方などで、その治療法が「適する・適さない」といった面があります。 医師からの説明をよく理解した上で、治療を受けましょう。

引用:総合南東北病院
http://www.minamitohoku.or.jp/up/news/konnichiwa/200808/clinic.htm

戸塚クリニック 院長 村松 賢一 医師ドクターの解説
主に以下の治療が行われています。
・飲み薬
ホルモンが過剰の場合は抑える薬
ホルモンが足りていない場合は補充する薬
・手術療法
悪性腫瘍の場合は腫瘍を切除します。ホルモン過剰の場合は、甲状腺を切除することもあります。
・放射性ヨード療法
放射性ヨウ素のひとつであるヨウ素-131というアイソト-プの入ったカプセルを飲んで治療します。これにより、ホルモンが過剰であった場合は甲状腺の機能が弱まります。具体的には、正常なホルモン状態ではなく、やや機能低下状態に落ち着くことがほとんどで、最終的には甲状腺ホルモン内服が必要となります。
ホルモン低下の場合、ホルモンの補充の内服を行えば症状も緩和され通常の健康状態を維持できます。ホルモン過剰な場合も、通常は内服を確実に行うことで治療ができて症状も緩和されます。しかし、その後薬を中止すると再発する方が多いですので、自己判断せず医師の指示に従ってください。
甲状腺が腫れているのかそうでないのか、ご自身の気になる症状が甲状腺由来なのかに関しては、専門医が問診・診察の後、必要に応じ採血検査や画像検査などを追加して総合的に判断します。少しでも気がかりであれば、お気軽に専門医に相談されることをお勧めします。


この記事の監修ドクター

戸塚クリニック 院長 村松 賢一 医師村松  賢一 医師 戸塚クリニック 院長

PROFILE

●経歴
平成10年 横浜市立大学医学部卒業
平成10~13年 現マウントサイナイ医科大学病院ベスイスラエル医療センター(米国ニューヨーク市)にて内科インターンならびにレジデント
平成13年〜17年 帰国、横浜市立大学医学部付属病院等で勤務
平成17年〜26年 さいたま赤十字病院循環器科にて循環器救急治療に従事
平成26年9月 戸塚クリニック院長就任
●資格等
日本内科学会 総合内科専門医
アメリカ内科学会 内科専門医(Diplomate of American Board of Internal Medicine)
日本循環器学会 循環器専門医
●所属学会・研究会等
日本内科学会
アメリカ内科学会(American College of Physicians)
日本循環器学会