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胃がん(胃腫瘍)の症状・原因・治療方法についてご案内

 更新日:2023/03/27

胃がん(胃腫瘍)(読み方:いがん(いしゅよう))とはどんな病気なのでしょうか?その原因や、主にみられる症状、一般的な治療方法などについて、医療機関や学会が発信している情報と、専門家であるドクターのコメントをまじえつつ、Medical DOC編集部よりお届けします。

この記事の監修ドクター:
寒河江 三太郎 医師 厚木胃腸科医院 院長

胃がん(胃腫瘍)とは

 胃がんは胃の粘膜から発生してきます。胃にはそのほか肉腫や悪性リンパ腫なども出来てきますが、胃の悪性腫瘍の大多数(95パーセント以上)は「がん」によって占められています。したがって、胃の悪性腫瘍といえば「がん」のことを指しています。
引用:愛知県がんセンター 中央病院
https://www.pref.aichi.jp/cancer-center/hosp/12knowledge/iroirona_gan/02i.html

寒河江 三太郎 医師 厚木胃腸科医院 院長ドクターの解説
胃は食道の下に位置する袋状の臓器で、食物を一時的に溜め込んだり、消化し、小腸での吸収を助けたりします。胃がんはその胃の壁の最も内側にある細胞が、何らかの原因でがん細胞になって無秩序に増殖を繰り返すことで生じます。

がん細胞は周囲の組織に浸潤し、または転移を起こし、未治療の場合、多くが死に至ります。

胃がん(胃腫瘍)の症状

胃がんは、早い段階で自覚症状が出ることは少なく、かなり進行しても無症状の場合があります。代表的な症状は、胃の痛み・不快感・違和感、胸やけ、吐き気、食欲不振などがありますが、これらは胃がん特有の症状ではなく、胃炎や胃潰瘍(いかいよう)の場合でも起こります。検査をしなければ確定診断はできませんので、症状に応じた胃薬をのんで様子をみるよりも、まずは医療機関を受診し、検査を受けることが重要です。症状の原因が、胃炎や胃潰瘍の場合でも、内視鏡検査などで偶然に、早期胃がんが発見されることもあり、貧血や黒色便が発見のきっかけになる場合もあります。食事がつかえる、体重が減る、といった症状は、進行胃がんの可能性もあるため、早めに医療機関を受診する必要があります。

引用:国立がん研究センター「がん情報サービス」
https://ganjoho.jp/public/cancer/stomach/index.html

胃がん(胃腫瘍)の原因

胃がんが発生する原因については、多くの研究が行われており、いくつかのリスク要因が指摘されています。

胃がんのおもなリスク要因

・多量の塩分
・喫煙
・ヘリコバクターピロリ菌
・多量の飲酒

引用:日本医師会ホームページ
https://www.med.or.jp/forest/gankenshin/type/stomach/cause/

寒河江 三太郎 医師 厚木胃腸科医院 院長ドクターの解説
胃がんにおける主なリスク要因のうち、特にヘリコバクターピロリ菌は胃がんの発生に強くかかわるとされています。

よって、もしピロリ菌に感染していた場合、ピロリ菌の除菌療法が胃がんにかかるリスクを低くするといわれています。(ただしピロリ菌に感染した人のすべてが胃がんになるわけではありません)

また、現在ヘリコバクターピロリ菌の感染率は、高齢になればなるほど増加しています。そのため、もし感染が判明した場合は、できるだけ速やかに医療機関を受診し、担当医と相談の元、除菌治療をおこない、除菌完了後も常に定期的な胃検診を受けることが勧められます。

胃がん(胃腫瘍)の検査法

国の指針(2016年4月1日から適用)では胃がんの一次検診では問診、胃X線検査、胃内視鏡検査が勧められています。

「胃X線検査」は「有効性評価に基づく胃がん検診ガイドライン」(2006年)で、「対象とする集団の胃がんによる死亡率を減少させる」という胃がん検診の目的に合致すると科学的に証明され、「効果あり」と判定されています。「胃内視鏡検査」については2014年に同ガイドラインが見直され、一次検診の方法として推奨されました。「ペプシノゲン検査」や「ヘリコバクターピロリ抗体検査」については死亡率減少効果の有無を判断する証拠が不十分であるため、検診としての実施は勧められていません。「検診」ではなく、「リスク評価」だとされています。

引用:日本対がん協会
http://www.jcancer.jp/about_cancer_and_checkup/%E5%90%84%E7%A8%AE%E3%81%AE%E6%A4%9C%E8%A8%BA%E3%81%AB%E3%81%A4%E3%81%84%E3%81%A6/%E8%83%83%E3%81%8C%E3%82%93%E6%A4%9C%E8%A8%BA%E3%81%AB%E3%81%A4%E3%81%84%E3%81%A6

寒河江 三太郎 医師 厚木胃腸科医院 院長ドクターの解説

胃がんに対する検査の中では、発見のための検査と、発見後治療に際しての検査が混ざっています。発見のための検査には、胃カメラ検査、胃レントゲン検査、ABC検査などがあります。いずれの検査も一長一短があり、適宜組み合わせる必要がありますが、基本的には定期的な胃カメラ検査をもっとも推奨しています。

・腫瘍マーカー
すべてのがんで見られる現象ではありませんが、胃がんでも一部のがんでは血中に特定の物質を分泌しています。血液検査による腫瘍マーカーは、進行がんに対する抗がん剤治療後の効果測定やがん再発の目安に用いられます。腫瘍マーカーは、一般にがんが大きくなれば量が増えますが、早期ではほとんど見られず、がんを早期で発見するためのものではありません。また、良性腫瘍や慢性肝障・腎障害、喫煙や呼吸器の慢性炎症、高血糖などでも高値を示す場合があります。

・ABC検診
ヘリコバクター・ピロリIgG 抗体検査でピロリ菌感染の有無を、ペプシノゲン(PG)検査で胃粘膜の萎縮の程度を調べ、その結果を組み合わせて胃がんのリスクが高い人を特定する方法です。特定健診や人間ドックなどで、簡便性や、手軽さから行われることが増えています。最終的には胃がんの有無は内視鏡検査で判定することになりますが、自分自身のピロリ菌や胃粘膜の萎縮の有無を知ることは重要です。

胃がん(胃腫瘍)の治療方法

胃がんの3大治療法は、内視鏡的切除、外科手術(開腹手術、腹腔鏡下手術、化学療法です。これらに加え、緩和ケアも初期から行われます。治療方針は、病期にもとづいて検討されます。

治療の基本は病変部の切除
がんの3大治療法といえば、手術療法、放射線療法、化学療法が一般的ですが、胃がんの場合、日本では放射線療法はほとんど行われません。胃がんには放射線が効きにくいのと、病変部を切除することが胃がんの基本的な治療方針だからです。

胃がんの3大治療法は、「内視鏡的切除」「外科手術(開腹手術、腹腔鏡下手術)」「化学療法」です。内視鏡的切除は、局所だけを取る治療法です。外科手術は、胃の病変部とともに、リンパ節などに転移したがんも切除します。

化学療法は、抗がん剤が血液にのって全身をめぐり、どこにあるかわからない目に見えないがんにも効果がある「全身療法」です。

胃がん治療の基本は切除ですが、再発の予防や、手術が難しい人に対しては、全身療法である化学療法を行います。

引用:日本臨床外科学会
http://www.ringe.jp/civic/igan/igan_04.html

寒河江 三太郎 医師 厚木胃腸科医院 院長ドクターの解説
近年、胃がん治療は大きく進歩しています。しかし、それでも癌死亡者数のなかで胃がんは、男女とも2位を占めています。

一方、内視鏡治療で完結する早期胃がんの場合、99%が治癒されているとの報告もあり、早期発見で完治する可能性が高くなります。

胃がんは早期の段階では無症状でます。よって、症状のない時点での定期的な検診が非常に大切と思われます。
とくに胃カメラによる内視鏡検査は、バリウムを飲んで行う胃レントゲン検査などに比べ、患者さんの体内の状況が正確に把握することができるため、より精度の高い診断が可能になり、特に早期胃がんの発見に有効です。


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