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もしかしたら病気のサインかも!? 手足のむくみの原因とは?

手足がむくんでパンパン……という経験をしたこと、ありますよね? 歩きすぎた、前日にお酒を飲みすぎた、など原因は様々ですが、ひどいむくみは病気の可能性もあるのか気になるところ。田無循環器クリニックの末定先生、教えてください。

監修医師
末定 弘行(田無循環器クリニック 院長)

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東京医科大学医学科卒業後、同大学の外科学第二講座(心臓血管外科)に入局。その後、田無第一病院(現・西東京中央総合病院)循環器科部長、副院長を経て、2016年に田無循環器クリニックを開院。長年、外科だけでなく循環器内科診療に携わってきた経験を活かし、地域のかかりつけ医として尽力している。日本循環器学会専門医、日本外科学会専門医、日本胸部外科学会認定医などの資格を持つ。病院勤務中は東京都CCUネットワークの加盟施設の責任者として循環器救急医療に従事。2006年から14年に亘り西東京市医師会が主催するAEDとBLS講習会のディレクターを務めている。

 

毛細血管からしみでた水分の吸い戻しが悪くなるのがむくみの原因

編集部編集部

手足がむくむ原因はなんですか?

末定先生

むくみとは医学的に浮腫(ふしゅ)といい、体の中に水分が溜まっている状態をいいます。人間の60%は水分でできていますが、毛細血管からしみだした水分の吸い戻しが悪くなるとむくみが起きるのです。

編集部編集部

具体的にどういうことでしょうか?

末定先生

人間は毛細血管と呼ばれる細い血管が全身に広がっていて、それにはとても小さな穴が開いています。この穴から水分や酸素、栄養分がしみだし、細胞に吸収されます。毛細血管と細胞の間には繊維質でできた間質という部分があり、ここに少し水分が含まれています。毛細血管からしみだした水分や、細胞で作られた水分は間質を通って毛細血管に吸い戻されます。このバランスがとれていると間質は少し水分を含んだ潤った状態ですが、吸い戻しが追いつかないと水分が過剰になり、むくみとなります。

編集部編集部

毛細血管ではどのようにして水分がしみだしたり、吸い戻したりしているのでしょうか?

末定先生

まずはしみだす側から。動脈内の血流の圧を血圧といい、動脈が枝分かれするにつれ血圧は下がります。この血圧の影響で穴より小さな水分や酸素、糖分は押し出されますが、穴より大きい赤血球やたんぱく質は出ていけないので毛細血管の中を進んでいきます。これが毛細血管から水分がしみだす仕組みですね。

編集部編集部

それでは吸い戻すのはどのようにしているのですか?

末定先生

いくつかのホルモンも関与しますが、吸い戻しの主体は浸透圧という力です。浸透圧とは、濃い液体が水分を吸収して薄まろうとする力で、毛細血管の穴より大きいためしみださない、血液内のたんぱく質が水を吸い寄せているのです。

編集部編集部

つまり水分のしみ出しに見合うだけの吸い戻しが行われないとむくむのですね。

末定先生

その通り。吸い戻しが悪くなることでむくみが起こります。原因は、生活習慣や足を下げ続けているなどもありますが、様々な病気の表れであることも多いです。心臓や腎臓、肝臓が悪い、静脈が詰まっている、リンパの働きが悪いなどの理由でも、吸い戻しは悪くなります。


 

病気が原因で起こるむくみも多い

編集部編集部

病気が原因で起こるむくみもあるということですか?

末定先生

吸い戻しは血液の中のたんぱく質が薄まろうとすることして生じる浸透圧によるものと説明しましたが、そのたんぱく質は肝臓で作られています。肝硬変のように肝臓の働きがひどく低下したり、食事が十分に食べられず、栄養状態が悪くなると肝臓で作られるたんぱく質が少なくなってしまいます。また腎臓病でネフローゼという状態になってしまうと折角肝臓で作られたたんぱく質が尿中に捨てられてしまい、吸い戻しが悪くなるのです。

編集部編集部

腎臓病や栄養障害のせいでむくむということですね。ほかにも病気はありますか?

末定先生

むくみの原因として栄養障害と腎臓病はよく見られるものですが、さらに多いのが心臓病です。心臓は血液の流れを作っていますが、心臓弁膜症心筋梗塞などにより心臓の働きが悪く、慢性心不全という状態になると、静脈から心臓へ血液が戻りにくくなり、静脈の圧が上がります。浸透圧が正常に保たれていても吸い戻しが悪くなり、むくむのです。

編集部編集部

内臓の病気以外はどうでしょう?

末定先生

今までお話しした内臓の病気によるむくみは、主に全身、特に両足に同じように出ますが、片足あるいは片腕だけむくむことがあります。大腿部や膝などの太い静脈(深部静脈)の中に血の固まり(血栓)ができると血液の流れが滞り、局所的に静脈の圧が上がります。また静脈には逆流防止弁がついていますが、弁が壊れることにより静脈のうっ滞が起こる静脈瘤でもむくむことがあります。また、片足あるいは片腕のむくみはリンパ浮腫の可能性もあります。

編集部編集部

リンパ浮腫とはどのような病気でしょうか?

末定先生

その前にリンパの説明が必要ですね。リンパとはリンパ管リンパ液リンパ節の総称を言います。リンパ管は血管同様、全身に張り巡らされており、血管の穴を通れないたんぱく質や老廃物を回収し、胸に向かって進んでいくのですが、子宮がんや乳がんの際、リンパ節という多くのリンパ管が集まる中継点を切除することがあります。そうするとリンパの流れが途絶え、間質にたんぱく質が貯まってしまいます。このたんぱく質の浸透圧により水分が血管に吸い戻されず、起こってくるむくみをリンパ浮腫といいます。

編集部編集部

リンパ浮腫はどのように治療するのですか?

末定先生

リンパ浮腫は治すことが難しい病気ですが、最も有効な治療法としては、リンパ管にたよらず、間質の中のたんぱく質を体幹に向かって揉み上げていくリンパ誘導マッサージがあります。これはリンパ浮腫という病気に対する治療法で、病気でない人に対してエステで行われているリンパマッサージとは一線を画すものです。リンパ浮腫になってしまったら、リンパマッサージではなく、必ず専門医の治療を受けるようにしましょう。

編集部編集部

今まではすべて毛細血管への吸い戻しが悪くなるお話ですが、毛細血管から水が出すぎてしまう場合もあるのですか?

末定先生

あります。しみだしが多くなるものとしては甲状腺ホルモンの低下などがありますが、数が多い割には意外と認識されていないのが、日本で最も使われている降圧剤(高血圧の薬)アムロジピンなど薬の副作用です。

編集部編集部

なるほど。本当に多くの病気の表れとしてむくみが起こるのですね。

末定先生

そうですね。むくみは多くの病気の一つの症状として出ていることが多いので、なぜむくむのか、原因を突き止めることが重要です。

編集部編集部

つまりそのような場合は、病気の根本的な治療が必要なのですね。

末定先生

その通り。むくみだけを解消するというのではなく、原因となっている病気を治療することでむくみを改善させていくということです。


 

簡単に治らないむくみは病院で診察を

編集部編集部

ではよく立ちっぱなしで足がむくんだ……というのは、どういうことなのですか?

末定先生

静脈は心臓へ血液を返していきますが、その流れはゆっくりです。立っていると重力に逆らいながら心臓へ返していかないといけません。それでも返せるのは、毛細血管と違い穴が開いていないこと、逆流防止弁がついていることですが、もう一つ大事なのは、静脈の壁は動脈と異なり薄いということです。静脈は皮膚のすぐ下にある表在静脈もありますが、大部分は筋肉に囲まれた深部静脈です。筋肉を動かすと静脈の壁が押しつぶされ上と下に流れが作られますが、弁があるので下には行けないため上(心臓)に向かって流れていくのです。これを筋肉ポンプといいます。同じ体勢で座りっぱなしや立ちっぱなしだと、筋肉ポンプが働かないため血液が足に溜まってしまい、静脈の圧が上がって水分の吸い戻しが悪くなり、足がむくむのです。

編集部編集部

どうしたらむくみは解消しますか?

末定先生

デスクワークなどで座りっぱなしの方は、一時間に一度のペースで立ち上がって、足を動かすようにしましょう。逆に立ちっぱなしの方は、こまめにふくらはぎや足首のストレッチをするようにしましょう。そのほかには弾性ストッキングを履くこともおすすめです。病気が原因でむくんでいる人には治療用の非常に強い弾性ストッキングを履いてもらいますが、病気でない人では、市販のものでも十分に効果は期待できます。

編集部編集部

上のような対応をしても手足のむくみがひかないときは、一度診察を受けたほうがいいですか?

末定先生

そうですね。循環器科で一度、診察をしてもらうといいと思います。内臓に関わる病気のサインの場合、命に関わることもあります。むくみの原因を突き止め、原因となっている病気を治療することが重要です。


 

編集部まとめ

一般的に立ちっぱなし、座りっぱなしで血液の流れが悪くなり起こるむくみのほかに、病気が原因で起こるむくみもあります。手足のむくみが続くときは、循環器科など専門の病院で診てもらいましょう。


 

医院情報

田無循環器クリニック

田無循環器クリニック
所在地 〒188-0012 東京都西東京市南町5-1-8 田無クリニックモール1F
アクセス 西武新宿線「田無駅」より徒歩3分
診療科目 循環器内科、循環器外科、内科

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