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MRI検査ってどんな病気がわかるの?

 更新日:2023/03/27

昨今、MRI検査を実施している医療機関が増えています。病気の早期発見、診断に有効とされていますMRI検査。それだけにMRIでどのような病気がわかるのかどのような病気がわかりにくいのか、知っておきたいものです。調布市仙川にある仙川脳神経外科クリニック院長の山口竜一先生に、MRIでわかる病気や受ける際の注意事項について伺いました。

山口 竜一

監修医師
山口 竜一(仙川脳神経外科クリニック 院長)

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平成11年杏林大学医学部卒業。同大学医学部脳神経外科学教室入局。公立阿伎留医療センター、都立墨東病院、医療法人社団恵周会白河病院で勤務し研鑽を重ねる。平成18年杏林大学医学部脳神経外科学教室助教、平成20年杏林大学医学部脳神経外科教室医局長を経て、平成28年仙川脳神経外科クリニックを開院。MRIやCTなどの機器を導入した高いレベルの脳神経外科検査と診断を提供している。

「動かない臓器」の検査を得意としている

「動かない臓器」の検査を得意としている

編集部編集部

MRIの検査を受けるとどんな病気がわかるのでしょうか?

山口先生山口先生

MRIは撮像時間が長いので、動かない臓器が中心になります。脳や骨、整形外科領域、婦人科領域などですね。具体的にいえば、脳梗塞や脳出血、脳腫瘍、がん、結石、椎間板ヘルニアなど、さまざまな病気がわかります。最近は心臓もMRIを撮るようになってきていますけれど、基本的には動かない臓器のほうが撮りやすいですね。

編集部編集部

こうした病気はCTでは発見しづらいのでしょうか?

山口先生山口先生

CTは比較的短時間で撮影できるというメリットがあります。短い時間なので子どもやお年寄りの方も簡単に撮影することが可能です。しかし、頭部や関節の病気はMRIに比べてわかりづらいですね。

編集部編集部

MRIのメリットはなんでしょう?

山口先生山口先生

あらゆる方向からの断面像を観察して診断することが可能というところでしょうね。脳の場合、年齢に伴う動脈硬化の具合や隠れ脳梗塞といわれる小さい脳梗塞などもよくわかります。

編集部編集部

CTの場合は放射線が気になります。MRIは放射線を浴びない点でも安心です。

山口先生山口先生

人体にあまり影響がないという点は、CTと比べてメリットですね。しかし、CTで1回に浴びる放射線量は1年間で自然に浴びる放射線量と同じぐらいと言われています。年に1回や2回ぐらい撮っても人体に影響があるということはありません。その点はあまり神経質になりすぎる必要はないと思います。

編集部編集部

MRI検査のデメリットについて教えてください。

山口先生山口先生

撮影に少し時間かかること、狭いところが苦手な人にはつらいという点でしょう。上を向いてじっとできない、腰が痛くて上を向けないお年寄りはちょっと撮りづらいことがあります。そういう患者さんはCTで代用しますね。

機能が低下する病気はMRIではわからないこともある

機能が低下する病気はMRIではわからないこともある

編集部編集部

検査を受けたら、結果はその場ですぐに教えていただけますか?

山口先生山口先生

脳梗塞や腫瘍(しゅよう)、動脈瘤(どうみゃくりゅう)などについてはすぐにわかるので、その場でお伝えできます。ただし、診断に迷う場合は、大学病院などの画像を読む専門の医師に判断を仰ぐことがあります。

編集部編集部

MRIでわからない病気もありますか?

山口先生山口先生

認知症やパーキンソン病の診断は、画像だけでわかる訳ではありません。構造上は問題ないけれど、機能的に落ちている」というのは、通常のMRIではわからないことが多いのです。

編集部編集部

詳しく教えてください。

山口先生山口先生

たとえば、認知症は脳全体の機能が低下しているのですが、画像をみて、「ここの機能が落ちていますね」ということは明確にいえるわけではありません。パーキンソン病もドーパミンという物質が出づらくなって起こるのですが、それは画像には写りません。そういう病気が疑われる場合は、別の病気ではないということを確認するためにMRIを撮ることがあります。たとえば、高齢で認知症が心配で来院した患者さんには、腫瘍が原因で認知症の症状が出ているのではないかをチェックするために使う、というわけです。

ネイルアートは取ってから撮影したほうが安全

ネイルアートは取ってから撮影したほうが安全

編集部編集部

検査を受ける時の注意事項はありますか?

山口先生山口先生

基本的にMRIは高い磁場をかけるので、体内に金属がある方は受けられません。けれど、今の体内金属はほぼ非磁性体のチタン製になっていますから、ここ20年ぐらいの間に入れた体内金属は、ペースメーカーや人工内耳など一部のものを除いてほとんど大丈夫です。

編集部編集部

アートメイクをしている人はMRI検査ができないと聞いたことがあります。

山口先生山口先生

昔の化粧品、特に黒系のアイラインやアートメイク、入れ墨は鉄分が入っていたため、やけどを起こすことがありました。しかし、現在では、多少の入れ墨やアートメイクは、色落ちの原因になったりする場合はあるものの、ほとんど大丈夫です。

編集部編集部

多少のアートメイクであれば撮影できると?

山口先生山口先生

もちろんないほうが理想的ですし、私のクリニックでは撮影前にアイラインやアイメイク、マスカラ、ラメ入りのアイシャドウなどは全部落としていただいています。マニキュアや付け爪といったネイルアートをしている人は、日を改めてそれらを取って来院していただくことにしています。ネイルアートは何が入っているかわからないので、患者さんの安全を考えた場合には外していただいたほうがよいと考えています。MRIを受ける前にはいろいろな注意を受けますので、それに従ってください。

編集部まとめ

MRIでは主に脳や骨などの動かない臓器の検査に使用するとのこと。近年では、MRIを使用した”脳ドック”を行うクリニックも増えていますので、気になる方は一度受けてみるのをオススメします。加齢による脳の変化が把握できる点も、MRIによる検査は高齢社会においては安心材料になるのではないでしょうか。

医院情報

仙川脳神経外科クリニック

仙川脳神経外科クリニック
所在地 〒182-0002 東京都調布市仙川町3-9-15 モンヴィラージュ仙川1階
アクセス 京王線「仙川」駅 徒歩2分
診療科目 脳神経外科・内科

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