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ステロイドでの治療はやめたほうがいい? 何が怖いの?

ステロイドは副作用が出るから怖い、というイメージがあります。しかし、いったいどんな副作用が出て、何が怖いのでしょうか? 副作用の実態と、ステロイドの治療効果、正しい使い方について、ひろみ皮フ科クリニック院長の梅澤裕美先生がわかりやすくお答えくださいました。

監修医師
梅澤 裕美(ひろみ皮フ科クリニック 院長)

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佐賀大学医学部医学科卒業後、虎の門病院や東京大学医学部皮膚科学教室の研修を経て、同愛記念病院皮膚科、都立駒込病院皮膚腫瘍科の医員、東京大学医学部附属病院皮膚科の病院診療医を歴任。2018年にひろみ皮フ科クリニックを開院した。皮膚科専門医(日本皮膚科学会認定)、がん治療認定医(日本がん治療認定医機構認定)。日本皮膚科学会、日本皮膚外科学会、日本皮膚悪性腫瘍学会、日本美容皮膚科学会、日本アレルギー学会、日本小児皮膚科学会に所属。VHO巻き爪矯正法ライセンスの資格を持つ。


 

全身性の副作用の心配があるのは飲み薬。外用薬では全身性の副作用はまずおこらない!

編集部編集部

ステロイドでの治療は怖いイメージがあるのですが、実際のところどうなのでしょうか?

梅澤先生

ステロイドには、塗り薬と飲み薬があります。皮膚科では塗り薬のステロイドは治療には不可欠です。とくに湿疹などでは治療の第一選択として使うことが多く、正しく使えば過度に恐れる必要はありません。皆さんが怖いとおっしゃるのは、おそらく飲み薬を服用して現れることの多い全身性の副作用のことだと思います。外用薬の場合には、医師の指示通り正しく使用している限りその様な副作用はまず起こりえません。いずれにしても、ステロイドは効果的に治療できるお薬なので、医師の指示に従って上手に利用していただきたいと思います。

編集部編集部

飲み薬のステロイドでは、どんな副作用があるのでしょう?

梅澤先生

骨粗しょう症や糖尿病、消化性潰瘍、易感染性など全身性の副作用ですが、治療として一時的に飲む場合は心配はいりません。皮膚科でも重症の薬疹や蕁麻疹等で処方することがありますが、いずれも短期間の服用です。膠原病や自己免疫性の水疱症などの治療として、長期的に服用が必要になることもありますが、その場合は、自己判断で服用を中止したり減量したりせずに医師の指示に従って服用することが大切です。ステロイドはもともと体の中で作られている人が生きるために必要不可欠なホルモンですが、長期間ステロイドを内服して外から補充していると、体が作り出すのを休んでしまうため、急に服用を中止すると体内のステロイドが不足して重篤な症状を引きおこすことがあるためです。

編集部編集部

アトピー性皮膚炎にも、飲み薬のステロイドを使うのでは?

梅澤先生

アトピー性皮膚炎は、ほとんどの場合、ステロイドの外用薬かゆみ止めの抗ヒスタミン薬の内服で十分に治療できます。飲み薬のステロイドは重症のアトピー性皮膚炎で使われることもありますが、使ったとしても一時的で、副作用の問題から長期使用は推奨されていません。ステロイド外用による治療で効果が乏しいごく一部の重症例では、ステロイドの内服ではなく、免疫抑制薬のネオーラルという内服薬が使われるのが一般的です。


 

塗り薬は、症状に合わない弱い薬を少しずつ長期間塗ることが問題!

編集部編集部

塗り薬のステロイドを使用するのはどんなときでしょう?

梅澤先生

一番多いのは、湿疹・皮膚炎です。アトピー性皮膚炎脂漏性皮膚炎かぶれ(接触皮膚炎)急性期のやけど(熱傷)虫刺されなど、様々な原因でおこる皮膚の炎症を抑えるために使用します。

編集部編集部

塗り薬のステロイドには、副作用はまったくないのでしょうか?

梅澤先生

長期間塗り続けた場合は、塗っている部分に限局して副作用を生じる可能性があります。特に毛細血管拡張といって、皮膚が赤くなったり、皮膚委縮といって皮膚が薄くなって物理的刺激に弱くなるといった副作用は中止によりある程度は改善しますが、一度生じると治りにくいため注意が必要です。ただ、皮膚科医の管理のもとで使い方を守っていただければそういった副作用の心配はまずありません。

編集部編集部

使うときは、どんな点に注意すればよいのでしょうか?

梅澤先生

症状に合わせて適切な強さの塗り薬を適量使っていくことが大切です。症状が強い場合は、最初に強いランクのステロイドを使って、徐々に弱いランクのステロイドに変更していくのが正しい使い方です。必要以上に副作用を恐れて、症状が強いところに弱いステロイドを塗り続けたり、たっぷり塗るべきところに少ししか塗らなかったりすると治りません。その結果、長期間塗り続けることになり、副作用が出てしまうことがあります。

編集部編集部

具体的にはどんなランクがありますか?

梅澤先生

作用の強い順にストロンゲストベリーストロングストロングミディアムウィークと5段階にランク分けされています。

編集部編集部

市販薬では弱い症状のものしか対処できないのですね?

梅澤先生

市販薬の多くはステロイドが入っていませんし、入っていても多くがウィークからミディアムクラスのものです。また市販薬では塗る量も不十分になりやすいためなかなか治らなかったり、かぶれをおこして重症化してから来院される方も多くいらっしゃいます。そのため軽い症状でも早めの皮膚科受診をおすすめします。

編集部編集部

処方される薬のランクはどのように決まりますか?

梅澤先生

処方するときは、まず使用する部位により、皮膚が薄いか厚いかでどのランクまで使えるかを決めています。顔は全般的に皮膚が薄く、手の平や足の裏などは厚い部位になりますから、同じ症状でもランクを変えます。あとは症状の強さで、見た目や触った感触が厚ぼったく炎症が強いようでしたら、その部位で使える1番強いランクのものを使います。ちょっとかゆい、ちょっと赤いぐらいでしたら、軽いランクのものを処方します。小児の場合は皮膚が薄いため大人より弱いランクのものを使用します。


 

塗る量は、「ワンフィンガーティップユニット」を両方の手のひらに塗るくらいが目安

編集部編集部

副作用が出ないための塗り方のポイントは?

梅澤先生

大事なのは、十分な量を塗ることです。目安は、「ワンフィンガーティップユニット」と言って、口径5mmチューブから軟膏やクリームを大人の人差し指の先から第一関節まで押し出した量を、両方の手のひらに塗るくらいです。そこまで厳密ではなくても、患部全体がしっとりして、肌がてかてかするくらいの量を目安にしてください。

編集部編集部

思ったよりも多めに塗る印象です。

梅澤先生

大体の場合は量が足りていないことが多いですね。短期間で集中して治すために使っているので、多少多い分には問題はありません。逆に量が少ない方が問題で、少ない量を薄く伸ばして塗っていると、ランク的にはちょうどよいものを使っても効果が表れにくいので注意してください。症状がひどい方には薬を処方して1週間後くらいに来ていただきますが、塗る量の目安を分かりやすくするため、「1週間で処方したお薬を全部使い切るくらいたっぷり塗って下さい」とお話しています。

編集部編集部

1日に塗る回数は?

梅澤先生

症状がひどい場合には、1日2回が基本です。1週間程度で症状がおさまってきたら、「1日1回にしてあと1週間程で中止して下さい」と言うこともあります。時々、「手はよく洗うから、1日何回も塗ったほうがいいですか?」と聞かれますが、塗ってから1時間ぐらいたっていれば、成分が肌に吸収されて作用するので手を洗っても効果が落ちることはありません。

編集部編集部

あまったステロイドは、同じ部位で同じ症状が出たときには使ってもよいのでしょうか?

梅澤先生

封を開けていない場合は、数年の使用期限がありますので、使用期限を確認してご使用いただいても構いません。ただ、1回空けてから時間がたってしまうと酸化して効果が弱まったり細菌に汚染される可能性が高くなるため、長期の保存はおすすめしていません。とくに、チューブタイプではなく他の成分と混ぜて口の広い容器に詰められたものは安定性が悪く細菌にも汚染されやすいので、あまったら速やかに処分していただいたほうが安全です。


 

編集部まとめ

皮膚科で処方されるステロイドは、塗り薬飲み薬があります。
主に怖いと言われているのは飲み薬の副作用のようですが、短期間の服用ではまず心配はいりません、長期間の服用の場合は、自己判断で急に中止したりせず、医師の指示にしたがって正しく服用することが大切です。
塗り薬も、正しい用法用量を守れば、湿疹や急性期のやけど(熱傷)、虫刺されなど、さまざまな原因でおこる皮膚の炎症を抑制する効果があり、欠かせない薬となっています。適切なランクの薬を適切な場所に適量塗ることが重要なポイントです。自己判断で必要なランクより弱い薬を使ったり、少量しか塗らなかったりすることが、一番問題なので、気をつけましょう。


 

医院情報

ひろみ皮フ科クリニック

ひろみ皮フ科クリニック
所在地 〒156-0051 東京都世田谷区宮坂2丁目17−2 英月ビル1F
アクセス 小田急線「経堂駅」南口から徒歩2分
診療科目 一般皮膚科、小児皮膚科、形成外科、美容皮膚科、アレルギー科

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