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夏なのに汗をかかず、便秘やむくみも気になる…それって橋本病かも?

日ごろから気になっていた体の悩みが、固有の病気によるものだとしたら。小山内科の小山先生は、「その可能性が大いにありえる」と言う。なぜなら、発汗、お通じ、体内の水分調整などには、すべて代謝が関わっているからだ。こうした代謝が下がってしまう「橋本病」について、詳細な内容を教えていただいた。

監修医師
小山 朝一(小山内科 院長)

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東邦大学医学部卒業。東邦大学医療センター佐倉病院にて研修を開始、助教・講師などを経た2016年、父から診療所を継ぎ、千葉県千葉市の「小山内科」院長に就任。「内分泌・代謝疾患」を専門としながらも、地域に根ざしたホームドクターとして、総合的な診療に努めている。医学博士。日本糖尿病学会、日本甲状腺学会、日本肥満症治療学会ほか、各学会所属。

 

体の悩みを「気のせい」にしない、どこかに原因があるはず

編集部編集部

夏でも汗をかかないのですが、何かの異常でしょうか?

小山先生

発汗作用がうまく働かない原因はいろいろとあるものの、冷えや元気が出ない、むくみやすくなったと感じるようなら、「橋本病」という病気かもしれません。「橋本病」とは、甲状腺機能の低下により、体調不良や元気のなさなどが続く病気です。

編集部編集部

「橋本病」って、あまり聞き慣れませんが?

小山先生

女性に多い病気で、成人女性の1割以上は、その可能性が疑われます。男性の罹患(りかん)率は女性の20分の1程度なので、やはり女性に顕著といえるでしょう。自分が「橋本病」だと気付いていない方も少なくありません。

編集部編集部

橋本病になると、どのような症状が現れるのでしょう?

小山先生

冷えや便秘、気持ちの乗りづらさ、体重の増加、むくみなどです。いずれも女性に起こりがちな症状なので、なかなか病気だと気付かないんですよね。また、血液検査をすると、コレステロール値が高めに出ることもあります。新陳代謝の低下によるむくみや便秘などの結果として、太ってしまうことも多いのです。

編集部編集部

橋本病の原因は?

小山先生

ホルモンの分泌をつかさどる甲状腺の炎症が原因です。炎症はじわじわと時間をかけて進行するため、「発症から自覚までのタイムラグが長い」傾向にあります。受診されるのはおおむね30代や40代になってからですが、発症はもっと前だと思われます。


 

ホルモン工場が減産してしまう「橋本病」の仕組み

編集部編集部

そもそも、甲状腺とはどのような器官なのですか?

小山先生

“のどぼとけ”の下に位置していて、チョウのような形をしています。その役割としては、全身の代謝をつかさどる各種ホルモンの分泌です。工場に例えると、ホルモンは、全身の代謝を指示する命令書に例えられます。甲状腺は、脳からの指示で命令書を出す工場長のようなイメージですかね。

編集部編集部

代謝が良いか悪いかは人にもよると思うのですが、診断をどう付けているのでしょう?

小山先生

「橋本病」では、弱った工場長(甲状腺)をかばおうとして、社長に相当する脳がたくさんの命令を出すようになります。この命令は血液で届けられますから、血液検査をすれば、数の上下が確認できます。社長の口数が多くなってきたら、橋本病を疑うわけです。

編集部編集部

「発症から自覚までのタイムラグが長い」とのことでしたが?

小山先生

はい。橋本病の患者さんのうち、明らかな症状のある方は約10%とされています。甲状腺検査は定期健診に含まれていません。ですから、診察で「甲状腺が大きい」と言われた時は、自覚がなくても精密に調べてもらってください。

編集部編集部

甲状腺の異常疾患は「橋本病」以外にもあるのですか?

小山先生

あります。例えば「バセドウ病」です。「橋本病」が甲状腺機能の低下だとしたら、「バセドウ病」の典型的な症状は亢進(こうしん)、つまり必要以上に活発になった状態です。痩せたり心臓の脈拍が早まったりするので、ちょうど逆の関係ですね。


 

副作用のほとんどない投薬治療が可能

編集部編集部

橋本病の治療方法について教えてください。

小山先生

甲状腺ホルモン薬を内服していただきます。足りていないものを補う治療のため、副作用もほとんど考えられず、比較的安全にコントロールできます。ただし、継続的な服用が前提です。中断すると症状が再発してしまうかもしれません。

編集部編集部

受診するとしたら何科なのですか?

小山先生

内科か、身近にあれば内分泌内科を推奨します。女性の場合、婦人科や心療内科を受診される方も多いでしょう。内分泌内科以外の場合は、「甲状腺を調べてください」と頼んでみてもいいですね。

編集部編集部

診断時には、どのような検査をするのでしょう?

小山先生

主に、血液検査と甲状腺の超音波検査です。複雑な検査をするわけではありません。

編集部編集部

生活する上での注意や制限は?

小山先生

ホルモンの状態が安定してくれば、普通の生活に戻れるはずです。ただし、定期的に通院して、甲状腺ホルモン薬の内服を継続してください。

編集部編集部

更年期障害との違いがわかりにくそうです。

小山先生

たしかに、患者さんからしたら難しいですよね。橋本病も更年期障害も、主症状となるのはどちらも自律神経の失調です。両者の違いを判断するのは医師にお任せいただいて、「おかしいな」と思ったら受診しましょう。

編集部編集部

最後に、読者へのメッセージをお願いします。

小山先生

便秘や冷えなどは「そういうものだ」「仕方がない」と思われがちです。もちろん「橋本病」による症状とは限らないのですが、我慢してしまうより、きちんと診断を付けてみてはいかがでしょうか。快方に向かった患者さんは、皆さん、元気でハリのある表情をしていらっしゃいます。


 

編集部まとめ

気分や体調が優れないときに思い浮かぶ「自分へのご褒美」。もしかしたら、一番のご褒美は「受診」なのかもしれません。「橋本病」における女性の発症率が約1割であることを考えると、その必要性はますます高まります。「女性はもともと代謝が低い」などと決めつけず、意識して、生活の質を高めてみてはいかがでしょうか。


 

医院情報

医療法人社団邦葉会 小山内科

医療法人社団邦葉会 小山内科
所在地 〒264-0026 千葉県千葉市若葉区西都賀5-1-1
アクセス JR総武本線・千葉都市モノレール「都賀駅」から徒歩5分
駐車場12台完備
診療科目 内科、糖尿病、内分泌内科

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