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身内が在宅医療に...家族はどんな準備や対応をしたらいい?

寝たきりの高齢者、パーキンソン病や筋委縮性側索硬化症などの神経難病の患者、がんの末期患者など、病院に行くのが困難な人が利用する在宅医療。利用はしたいが、在宅での医療に家族はどう対応したらいいのかわからないと心配している人も多いようだ。そうした人に、訪問診療の現場で活動する飯沼敏朗医師に利用する際のアドバイスを伺った。

監修医師
飯沼 敏朗(さくらそう診療所 院長)

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東京慈恵会医科大学卒業。同大学大学院医学研究科博士課程修了。2004年から厚木市立病院内科医長。2005年から東京慈恵会医科大学柏病院消化器肝臓内科助教、2008年から東京慈恵会医科大学附属病院消化器肝臓内科助教。東急病院内科医長を経てこまくさ診療所院長。2017年からさくらそう診療所の院長を務める。日本消化器病学会専門医、日本肝臓学会専門医、日本消化器内視鏡学会専門医などの資格をもつ。日本癌治療学会、日本褥瘡学会などに所属。

 

在宅医療の中心は24時間365日対応する訪問診療

編集部編集部

在宅医療とは、文字通り自宅で行われる医療ですね。患者さんの家族は自宅で医療を受けるという状況に慣れるのが大変そうです

飯沼先生

在宅医療というと家族も緊張するかもしれませんが、つまりは住み慣れた地域や自宅などで、安心して生活できるようにするのが目的ですから、そんなに身構えることはないですよ。

編集部編集部

在宅医療では、どのような医療が行われるのですか?

飯沼先生

在宅医療とは、広い意味では患者さんが自宅で診察や投薬、点滴や酸素療法などの医療行為を受けることを指します。実際には、医師が患者さんの家を訪問して診療や検査をする訪問診療のほか、看護師が訪問する訪問看護、作業療法士や理学療法士が訪問してリハビリなどを行う訪問リハビリテーションなどがあります。

編集部編集部

いろいろな分野の専門家が来て、助けてくれるイメージですね

飯沼先生

そうですね。国は、自分で病院に行くことができない患者さんを対象に、「退院支援」、「日常の療養支援」、「急変時の対応」、「看取り」の4つの場面に応じた医療ができるようにと、体制を作りつつあります。ですから、いろいろな専門家が連携して24時間、患者さんや家族を支援する医療だと理解すればいいと思います。

編集部編集部

その中心となるのが、先生の診療所のような在宅療養支援診療所ですね

飯沼先生

在宅療養支援診療所は、月に2回ほど定期的に訪問診療をしたり、急な発熱や体調が悪化した時などに患者さんや家族の要望に応じて往診もしています。看護師が訪問看護をすることもあります。24時間365日態勢ですから、患者さんも家族も安心できると思いますよ。


 

家族に必要なのは最期まで看取る心構え

編集部編集部

医師や看護師が自宅にくるとなると、家族はどんな準備をしておくとよいのでしょう

飯沼先生

家族の方は何もしなくて大丈夫です。お茶を出すなどの必要もまったくありませんよ。

編集部編集部

掃除くらいしなければ、と思ってしまうのでは?

飯沼先生

そういう方はいますね。でも、私たちが思うのは、患者さんの転倒予防のために、患者さんの部屋からトイレまでの動線は片付けておいておいたほうがいい、というくらいですよ。そうした点については、私たち医師が指導します。

編集部編集部

では、家族は何もしないで医師や看護師さんを迎え入れればいいのですね

飯沼先生

むしろ私が一番大切だと思うのは、家族の心構えです。例えば、がんの末期の患者さんの場合、ご本人が最期まで家にいて、家で最期を迎えたいと言う時に、家族がそれをバックアップしようと思うかどうか。それが問題です。家族が「する」と言うのだったら、私たちは全力でサポートします。

編集部編集部

もし在宅医療を続けるのが難しくなったらどうすればいいのですか?

飯沼先生

もちろん、諸事情により在宅医療が難しくなったら、当院では近隣の病院との連携体制をとっていますので、紹介して入院できるようにしています。いずれにしても、家族の一員である患者さんに、自宅で療養してもらおうという心構えを持てるかどうかが、在宅医療を支えると感じています。最期まで見届けてあげるという気持ちが一番大事かもしれないですね。


 

在宅医療のメリットとは

編集部編集部

在宅医療のメリットは、家族と一緒に暮らせて、療養ができるというところですね

飯沼先生

そうですね。病院と同じように自宅で治療するわけではなく、訪問診療にしても訪問リハビリにしても、先ほども言ったように以前と同じように住み慣れた自宅や地域で暮らすためのサポートがメインです。

編集部編集部

訪問診療ではどんなことをしていただけますか?

飯沼先生

血圧や体温測定などの基本的なチェックのほか、酸素療法褥瘡(じょくそう)処置経管栄養なども行います。

編集部編集部

患者さんへのサポートも大切ですが、家族に対するサポートも大切ですね

飯沼先生

もちろん、家族の負担を軽減させることも私たちの仕事になっています。ケアマネージャーをつけていない人がいたら紹介して、介護のバックアップ体制をつくります。患者さんが布団で寝ているとご本人も家族も大変ですから介護ベッドを入れる手配も手伝います。自宅での療養は、病院にいた時とは違うサポートが必要になりますから、それらも含めて支援しています。長期間にわたる付き合いになりますから、相互の信頼関係を築きながら患者さんのよりよい環境を作っていくことになりますね。


 

編集部まとめ

高齢社会が進むにつれ、ますます必要性が増す在宅医療は、高齢者が介護保険と併用するだけでなく、通院困難な病気などを抱えている方やその家族ができるだけ快適に過ごすために活用したい制度です。身近な医療機関に問い合わせてみると、活用方法が聞けるはずです。「患者さんと家族が共倒れしないよう、制度を使ってほしい」。飯沼先生からのアドバイスです。


 

医院情報

さくらそう診療所

さくらそう診療所
所在地 〒338-0003 埼玉県さいたま市中央区本町東2-7-23
アクセス JR埼京線「与野本町」駅より徒歩3分
診療科目 内科・在宅診療

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