1. Medical DOCTOP
  2. 無痛分娩って本当に少しも痛くない?

無痛分娩って本当に少しも痛くない?

麻酔を用いることで出産時の痛みが軽減される「無痛分娩(ぶんべん)」。はたして、文字どおり「無痛」なのだろうか。また、麻酔をすることによる危険性はあるのだろうか。妊婦なら誰しもが気になる疑問を、柴田産婦人科医院の柴田浩之先生に解説いただいた。

監修医師
柴田 浩之(柴田産婦人科医院 院長)

プロフィールをもっと見る
獨協医科大学卒業。獨協医科大学付属病院第一麻酔科、日本医科大学付属病院産婦人科、日本赤十字社葛飾赤十字産院、下都賀総合病院産婦人科、都立墨東病院周産期センター産婦人科へ勤務後、2003年に柴田産婦人科医院副院長、2019年に院長就任。同院における2万例以上の出産経験から、「安全・安心・アットホームな医療」に務めている。日本産科婦人科学会専門医、厚生省認定麻酔科標榜医、母体保護法指定医、日本医師会認定健康スポーツ医、八王子市立学校医。

 

必ずしも「痛みがゼロ」になるわけではない

編集部編集部

無痛分娩って、本当の本当に痛くないんですか?

柴田先生

患者様からは「全然痛くありませんでした」と感想を述べていただける場合もありますが「少しは痛かったです」とおっしゃられる方もいます。しかし総じていえることは前回が麻酔なしの分娩をご経験された方はほぼ例外なく「今回はすごい楽でした」とおっしゃることです。仮に自然分娩の痛みを「10」とすると無痛分娩でも「1から3」程度の痛みは感じる可能性はあると考えていただいた方が良いかもしれません。

編集部編集部

痛みを「ゼロ」にすることはできないのでしょうか?

柴田先生

不可能ではありませんが、「ゼロにすることによるリスク」も発生します。例えば、「いきむ」ことができなくなるために子宮口全開から児の娩出まで時間がかかったりする可能性はあります。また、出産時痛くないからといって産婦さんに頑張らせてしまうということもあるかもしれません。分娩所要時間の長期化は、母子ともにストレスやダメージを与えかねないですからね。ただし、硬膜外無痛分娩では分娩が大幅に遷延したり帝王切開率が上昇したりすることはない、というのが一般的な見解です。

編集部編集部

産まれる瞬間の感覚はあるのでしょうか?

柴田先生

あります。分娩進行に伴って赤ちゃんが下降してくると児頭による圧迫感やいきみ感は残ることが通常です。


 

知っておきたい麻酔のリスク

編集部編集部

無痛分娩と自然分娩は、何が違うのですか?

柴田先生

「麻酔を使うか使わないか」の違いです。どちらを選択するかは個々により置かれた状況が違いますので何ともいえませんが、元気な赤ちゃんを産むことが最大の目的であることには変わりありません。

編集部編集部

どのような麻酔をするのでしょうか?

柴田先生

出産時の鎮痛方法としては「硬膜外麻酔」という方法が一般的です。脊髄を取り巻く膜の一つである「硬膜」の外側の硬膜外腔というスペースにカテーテルという細い管を通し、この管を使って局所麻酔薬などを投与し、痛みをコントロールしていきます。

編集部編集部

麻酔による母体や胎児への影響が心配です

柴田先生

麻酔を適切に使用すれば、合併症などの心配は“ほぼ”ありません。むしろ心配なのは、不意な事態が起こったときの「人的なケア体制」でしょう。こればかりは、経験がモノをいいます。設備やスタッフの整った産婦人科を選ぶようにしてください。

編集部編集部

あくまで可能性として、どのような麻酔リスクが考えられますか?

柴田先生

母体合併症としては、硬膜外カテーテル挿入時の神経損傷局所麻酔薬中毒、くも膜下腔へのカテーテル迷入に気づかずそのままの量の麻酔薬使用による呼吸抑制などが主なものでしょうか。ただし頻度としてはまれですのであまり心配なさらなくてもよろしいかと思います。児に対しては、適切な硬膜外麻酔の施行により合併症が発現することは通常ないと考えられます。


 

初産でも経産婦でも自分にあった分娩方法で

編集部編集部

無痛分娩と自然分娩で費用は異なるのですか?

柴田先生

自然分娩プラス10万円くらいのところが多いようです。当院の場合ですと、無痛分娩の麻酔料金としては3万円前後、計画分娩で無痛分娩をおこなうとその誘発処置費用も加算されて6万5千円となります。

編集部編集部

無痛分娩は初産の方でも受けられるのでしょうか?

柴田先生

もちろん受けられます。ただし当院では、無痛分娩は原則として経産婦さんに対して計画分娩という形でおこなっております。初産婦さんに対してはソフロロジー式出産(陣痛は命を生み出すエネルギー、という風に痛みをポジティブにとらえる方法)をお勧めしております。

編集部編集部

一般的にどちらの方法が好まれるのでしょう?

柴田先生

日本国全体としては無痛分娩ではなく自然分娩を選択する方が多数派といえますが、国や地域によっては無痛分娩のほうが多数を占めるところもあり、日本もいずれはそうなっていくかもしれないですね。私個人としては「お腹を痛めてこそ……」という考えには必ずしも賛同しておらず、担当の先生にご相談してそれぞれが良いと思う方法を選択すれば良いかと思います。


 

編集部まとめ

硬膜外麻酔による無痛分娩は、適切におこなわれれば重篤な合併症が起こる可能性は極めて低く、安全な麻酔方法とのことです。しかし、病院によっては、あるいは患者さんによっては向き不向きがありますので、通院機関を通して医師と十分に話し合ってみて下さい。


 

医院情報

柴田産婦人科医院

柴田産婦人科医院
所在地 〒193-0823 東京都八王子市横川町515
アクセス JR八王子駅 北口バスロータリー 9番乗り場 西東京バス 大久保 行 約15分  横川 バス停下車  徒歩1分
JR西八王子駅 北口バスロータリー 4番乗り場 西東京バス 恩方ターミナル 行 約10分  横川 バス停下車 徒歩1分
診療科目 産科・婦人科・麻酔科

© Medical DOC.