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高血圧の基準140って正しいの?

日本人間ドック学会と健康保険組合連合会は2014年、「147/94mmHg」という高血圧に関する新基準を発表した。これに対し高血圧学会は、従来の「140/90mmHg」を主張。一方、トクホ関連商品の中には「130」という数値をうたっているものもある。こうした議論の行く末を、減薬療法で知られるナチュラルクリニック代々木の院長、野本裕子先生に伺った。

監修ドクタープロフィール:

野本 裕子(のもと・ゆうこ)

ナチュラルクリニック代々木 院長

信州大学医学部卒業。東京医科歯科大学にて臨床研修後、予防医療、美容医療に携わる。ナチュラルクリニック代々木院長就任後は、薬に頼らない代替医療の先駆けとして、日常の食生活の改善とサプリメントを中心とした「細胞(膜)強化栄養療法」で治療実績をあげている。NPO法人予防医学・代替医療振興協会学術委員、一般社団法人認知症予防改善医療団理事。著書に『医師もびっくり!認知症が治っている』。


 

血圧の数値を画一的に考えるほうがおかしい

高血圧の基準は、本当に140なのでしょうか?

野本先生

私は、そう捉えていません。血圧は年齢と共に上がってくるのが「自然」と考えています。かつて、高血圧かどうかの基準は、「年齢+90」でした。つまり、60歳の方なら150、70歳の方なら160ということです。ただ、こうした「数字ありき」の考え方にも、疑問を感じていますが、現代の高血圧数値の決め方よりはましだと思います。

基準そのものに、あまり意味はないと?

野本先生

そうです。1人ひとりの体質、性別、年齢、体重などが違うように、血圧も1人ひとり違っていていいのではないでしょうか。たしかに、数値という枠を設けてしまえば、管理する側としては“楽”ですよね。いちいち診察に時間をかけずとも、たった数秒で判断できますから。

そうなると、健康管理そのものが難しくなりませんか?

野本先生

「健康」って何なんでしょう。私は、心も体も生きるエネルギーに満ちていて、ベストなパフォーマンスを発揮できるなら、そのときがベストな血圧だと考えています。逆に、いろいろなお薬をのみすぎて体調が悪いようでは、健康管理の意義も薄れますよね。

自主的になり過ぎて、目標や目安を見失いそうです

野本先生

そうでしょうか。むしろ、医師へ任せっぱなしにすることのほうが、健康管理の目的を見失わないでしょうか。自分の体は自分が一番知っているのですから、自分のことも自分で決めるべきだと思います。そのために、健康診断のデータや医師を使ってください。わからないことがあったら何でも遠慮なく聞いて、ご自身で健康を創りあげましょう。


 

処方された薬を「のむ・のまない」は、本人の自由である

先生の考える「健康管理」の在り方を教えてください

野本先生

生活習慣を整えることが一番です。例えば、お食事の内容などをカウンセリングさせていただけると理想的ですよね。降圧剤が必要なのは、急性の症状が出たときだけ。慢性的に服用するものではないと考えています。そもそも血圧は、自律神経の失調によっても乱れます。「不快」と思われることを取り除き、「安心」できる状態に持っていくのが、健康管理の基本ではないでしょうか。

降圧剤の常時服用に否定的なのですね?

野本先生

実際のところ、処方されているお薬の中身を知らない患者さんが多いと思います。まずは、体の中に入れる薬の中身を知ること。そのうえで、何をのんで何をのまないかを自分で決めること。薬の効き目は強いですから、血圧を下げる作用と副作用のバランスをみて、服用するだけのメリットがあれば、のんでみてもいいでしょう。

処方された薬を「のまない」という発想にビックリです

野本先生

食事のような感覚をお薬にも持ってほしいですね。今は野菜が足りていないからサラダを多めにとか、パワーが足りていないからお肉を食べようとか、そういう調整って、日ごろからしていますよね。サプリやお薬も同様で、自分の体に入れる物は、自分で吟味する必要があるのでないでしょうか。

それなのに、なぜ降圧剤が処方されるのでしょう?

野本先生

高血圧の基準が140と決まったら、医師としては従わざるをえないからです。でも、それは数字を見ているのであって、人を診ていないんですよね。本来なら、その人の良さが発揮できるような処方なり健康管理なりをしていくべきで、一律に「はい、降圧剤です」っていうのも、どうかと思います。


 

高血圧という側面だけではなく、低血圧にも注意

そもそも、高血圧とはどのような状態なのでしょうか?

野本先生

心臓が強い力で血液を押し流そうとする病態です。原因としては、血管が硬くなって広がりにくくなることですね。だから、ポンプの出力を上げるわけです。高血圧で最も怖いのは脳出血でしょう。もろくなった血管へ血液による摩擦がかかると、切れやすくなってしまうのです。

一説によると、血栓などを取り除くために血圧を上げる、つまり「血管のお掃除」のために体が反応しているとの考えもあるようですが?

野本先生

その一面はあるでしょう。脳出血が多かった昔に比べ、現代は食生活の改善により血管が強くなってきています。血圧が150くらいであれば、別に悪いこととは思いません。それに、運動中はもっと上がりますよね。むしろ、“血圧を下げる弊害”を考慮すべきです。そもそも血圧というのは、一日に何回か上がったり下がったりして、一律ではありません。まして年齢、性別によっても一律である方がおかしいと思いませんか。

低血圧にも弊害があるのですか?

野本先生

降圧剤で血圧を下げすぎると、頭に十分な血液が届かなくてボーっとします。ひどいときには、意識を失うこともあるのです。繰り返しになりますが、本来、血圧は「年齢を経るごとに上がるもの」だと考えていいでしょう。

最後にメッセージをお願いします

野本先生

さまざまなお薬や治療方法があるなか、ちゃんとした知識を得て、自分で納得できるものを選んでいく」。これに尽きるのではないでしょうか。「副作用があってもいいから薬に頼ってみるか」という人もいれば、「食事で何とかしていくから薬は要らない」という人もいる。それは、ご自身の納得度次第です。これからの医療の在り方も、そう変わっていくのではないでしょうか。


 

編集部まとめ

野本先生へのインタビューで印象的だったのは、「気にしすぎが病気のスイッチを押している」という一言でした。気にしすぎの原因は、情報不足にあるといえるでしょう。インターネットなどで気になる記事があったら、信頼できる医師へ確認し、自己判断できるだけの情報を集めてみてはいかがですか。自分の健康は自分で築き上げていくものなのですから。

 

 


 

医院情報

ナチュラルクリニック代々木

電話番号 03-5363-1481

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