ファイザー製ワクチンの効果や副反応について解説

公開日:2021/06/15  更新日:2021/06/16

わが国で採用され実際に接種が始まっているファイザー製ワクチンに関して解説していこうと思います。新型コロナワクチンにも様々な形態がありますが、わが国で承認された3つのワクチンについての違いはもちろん、ファイザー製ワクチンの効果、副作用などについて紹介していきます。(2021年6月14日時点)

開発が進む新型コロナワクチン

2020年1月、中国がコロナウイルスの遺伝子配列を公表してから、ワクチン開発競争が始まりました。

すでに臨床試験がおこなわれているワクチンは48種類もあり、定期接種でわが国でも使用されている不活化ワクチンや生ワクチンという形態だけでなく、ウイルスベクターワクチン、新技術であるDNAワクチンやRNAワクチンなど様々な形態で開発が進められています。

国内で承認された3ワクチン

日本でも接種が開始されているコロナワクチンについて、下記の表に特徴をまとめました。

製薬会社 ファイザー社 モデルナ社 アストラゼネカ社
ワクチン種類 mRNA mRNA ウイルスベクター
日本承認 承認 承認 承認
接種可能年齢 12歳以上 18歳以上 16歳以上
対象者 医療従事者、高齢者、基礎疾患のある人が優先的、次に高齢者が入所・移住する社会福祉施設で働く職員が対象予定
接種回数*1(接種間隔) 2回(約3週間) 2回(約4週間) 2回(約4~12週間)
接種方法 筋肉注射(三角筋)
温度管理*2 -75℃±15℃ -20℃±5℃ 2~8℃
医療機関での保管
(再凍結は不可)
-70℃(6か月)
2~8℃(5日間)
-20℃(6か月)
2~8℃(30日間)
冷蔵庫
開封後の保管条件
室温(2~25℃)
室温で6時間まで
希釈あり(生理食塩水)
室温で6時間まで
希釈不要
室温で6時間まで
2~8℃で48時間まで希釈不要


*1 全てのワクチンはワクチンの定着も含め2回接種が基本です。異なるコロナワクチン同士の互換性は評価されておらず、1回目と2回目は同じワクチンを接種する必要があります。ほかのワクチン(インフルエンザワクチンやB型肝炎ワクチンなど)接種と、14日間以上空けることが推奨されます。
*2 mRNA自体はとても不安定な物質であるため、安定性を確保できるよう超低温にて保管する必要があり、輸送管理が非常に厳重になされています。

ファイザー製は「mRNAワクチン」

ファイザー製のワクチンは、「mRNAワクチン」です。国内では初めて使用されるmRNAワクチンですが、そもそもmRNAワクチンとは何なのかを解説します。

mRNAワクチンとは

今回、日本で承認されたファイザー社が開発したワクチンは、「m(メッセンジャー)RNAワクチン」という新技術を用いたワクチンです。これまでに国内では承認されたmRNAワクチンはなく、わが国では初となります。
細胞の生命活動の過程で遺伝子、いわゆるDNAから情報を読み取り、タンパク質の合成をする際に必要なコードがmRNAです。細胞核の中で作られ、完成したmRNAは細胞質(核の外)に放出され、浮遊しているアミノ酸を用いて配列に対応したアミノ酸をつなぎ合わせ、目的のタンパク質を形成します。

ウイルスの一部のタンパク質の情報コードであるmRNAを打つことで「病原体のタンパクを自身に作らせる」という仕組みが、古典的なワクチン(生ワクチンなど)とは全く異なる新しい技術になります。

手順のイメージとしては次のようになります。

  • コロナウイルスのスパイクタンパクの情報が入ったmRNAが打たれます。
    ※スパイクタンパクとは、ウイルス表面のトゲトゲした突起の部分で、細胞接着し感染する際に重要なものです。
  • 注入されたmRNAは、注射部位近くの樹状細胞に取り込まれ、スパイクタンパクを作ります。
    ※mRNAは非常に脆く壊れやすいですが、脂質ナノ粒子という技術でうまく細胞内に取り込まれます。
  • その結果、B細胞によりスパイクタンパクに対する抗体が作られたり、T細胞を介した免疫誘導がされたりして、コロナウイルスに対する免疫を獲得します。

簡単にまとめると、生きたウイルスや死んだウイルスを打つわけではなく、ウイルスの感染に重要なタンパクの情報を持ったmRNAを投与し、自身で合成して作らせるという手法です。

ファイザー製ワクチンの効果は?

コロナウイルスを発症するリスクが、プラセボ群と比較すると発症予防効果が95%という非常に高い効果が示されています。これは重症化の予防効果も期待されています。

コロナウイルス発症の予防効果

コロナウイルス発症の予防効果、すなわち「ワクチンを接種した人が、接種してない人と比べて、どの程度感染を減らせたか」が95%になります。

(例)
打った人:1万人中5人発症(0.05%)
打たなかった人:1万人中100人発症(1.0%)
このような違いがある時に、95%の効果があると言えます。
より身近なインフルエンザワクチンについては、時期にもよりますが、一般的には50%程度の予防効果があります。それと比べるとコロナワクチンの予防効果が優れていることが読み取れると思います。

重症化の予防効果

インフルエンザのワクチンを打ってもインフルエンザに感染する可能性はありますが、決してデメリットばかりではありません。例えば、インフルエンザワクチンは、接種後にインフルエンザに感染しても、重症化を防ぎ、その後の症状が軽くなるケースが多いのです。
コロナワクチンも同様、発症を防ぐ効果とは別に「重症化を防ぐ効果」も期待されています。実際、ファイザー製の新型コロナワクチンでは、臨床試験において重症化した10名の内の1例がワクチン接種群、9例がプラセボ群でした。このことから、例えワクチン接種によってコロナウイルスを発症したとしても、重症化を防ぐ効果があると考えられています。

ファイザー製ワクチンの副作用は?

ファイザー製のmRNAワクチンは、安全性に大きな問題はないと考えられています。しかし、どんなワクチンであっても100%安全なものはありません。
このワクチンでは、局所もしくは、全身の何らかの副反応が50%以上の人にみられます。

副反応はどれくらいの頻度で起こるの?

インフルエンザワクチンと同じ種類の副反応が見られます。副反応は局所反応と全身反応に分かれます。

  • 局所反応:接種部位の痛み、腫れや発赤、接種した側の脇の下のリンパ節の腫れなど
  • 全身反応:頭痛や倦怠感、寒気、関節・筋肉痛など

ワクチンを接種した人の約80〜90%の人に、局所症状(主に接種部の痛み)の内の少なくとも1つの副反応があり、また約55〜83%の人に全身症状(発熱、倦怠感)のうちの少なくとも1つの副反応が生じる可能性があると報告されています。症状は、接種後2日以内に起こり、1〜2日で消退することが多いとのことです。
接種部の痛みは若年者(55歳以下)で多い傾向はあったものの、それほど大きな差はなく、1回目の接種と2回目の接種で発生頻度の差はありません。
全身症状は、若年者(55歳以下)または、2回目接種に発生しやすいことがわかっています。ただし、全身症状は接種後の2日以内に自然軽快します。対症療法として、アセトアミノフェンやNSAIDs(ロキソニン)などが使用されます。

アナフィラキシーショックが起こる可能性は?

最も懸念される副反応は、命に関わるアナフィラキシーなどのアレルギー反応によるショックです。2021年5月30日時点での情報ですが、アナフィラキシーを起こしたのは169例となり、100万回あたりの発生頻度は13例となります。
もし、アナフィラキシーショックが起こった場合でも、インフルエンザワクチンの場合と同様、ほとんどが接種後15分~30分までに起き、アドレナリンや抗ヒスタミン薬、ステロイド薬などの投与で低所できるので安心です。
5月30日時点で、139件の死亡例が報告されましたが、ワクチンと症状名との因果関係が不明とされています。また、アナフィラキシー症状が疑われた81%の患者が過去に薬剤や食品アレルギー歴があるため、アレルギー体質の人は注意が必要です。

まとめ

ファイザー製の新型コロナワクチンは、国内初のmRNAワクチンとして承認されました。効果は予防効果が95%と極めて高く、有害事象も多くはないため接種した方がよいと考えます。
副反応もインフルエンザワクチンより頻繁に起こりますが、裏を返せば免疫反応がしっかりと起きている証拠でもあります。体制を整えておけば安全に接種できるため対象者はぜひ受けるようにしましょう。

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