足の血管が見える?下肢静脈瘤かも!?原因と対処法を解説

公開日:2020/08/11  更新日:2020/08/19

足の血管が膨れて目立つようになった、血管がボコボコ浮き出ている、足がむくみやすいなどの症状があれば、もしかしたら下肢静脈瘤が発症しているかもしれません。

手軽に出来る対処法から、手術や治療法までご紹介します。

この記事の監修医師
田中 千陽 (都内病院勤務)

なぜできるの?足の血管がボコボコ浮き出る原因とは

子どもの時や若いころにはなかったのに、気がつくと足の太ももやふくろはぎ、膝の後ろの血管が膨れていたり、時にボコボコした血管が見えることがあります。見た目も気になりますが、どうして血管が膨れてみえるようになったのか?という原因も気になるところです。原因を把握して自分の症状との共通点がないか、チェックしておくのが大切です。

足の血管が膨れてボコボコして見える原因とは?

血管が膨れたり、クモの巣のようになっていたり、またボコボコと浮き出てくる場合には下肢静脈瘤の診断が考えられます。その原因は、血管の中にある弁の劣化が原因です。
人間の血液は心臓から手足の末端まで拍出され、循環した血液は重力に逆らうようにして心臓に戻ります。このときに血液を押し戻すポンプとしての役割をしているのが足の筋肉で、逆流を防止しているのが静脈の中にある弁です。この弁が壊れてしまったり劣化したりすると血液が逆流したり、滞留してしまい下肢静脈瘤を引き起こしてしまうのです。
下肢静脈瘤は見た目が良くないため、美容上の問題となることがあります。また、進行すると難治性の皮膚炎、潰瘍となってしまいます。ほとんど命にかかわることはありませんが、エコノミークラス症状群(深部静脈血栓症)を併発し危険な状態になることが非常にまれですがあります。

具体的な原因をピックアップ!

歳をとったからといっても、誰でも下肢静脈瘤になる訳ではありません。このような血管が透けて見えてしまう方の原因を具体的にピックアップしてみました。

・立ちっぱなしのお仕事

常に立ったままでの状態でいると静脈に負担がかかり続けて弁を酷使してしまいます。負担がかかる状態が長ければ長いほど人ほど症状がでてくる可能性が高くなります。レジや販売員、荷物の仕分け、調理など立ちっぱなしのお仕事は数多くあります。

・座りっぱなしのお仕事

長時間座りっぱなしでも下半身の静脈の流れが滞ってしまうために症状が出やすくなってしまいます。

・妊娠中、出産後の方

妊娠や出産で骨盤が圧迫されてしまうと下半身の静脈の流れがスムーズにいかなくなり症状が出やすくなります。

・運動不足の方

日頃から体をあまり動かしていない方も下肢静脈瘤になりやすくなります。運動をあまりしないと筋肉のポンプ機能が低下し、静脈の流れが滞ってしまうのです。

・遺伝による原因

ご自分の親が下肢静脈瘤の方であれば症状が出る原因となります。片方の親だけが下肢静脈瘤なら約40%、両親とも下肢静脈瘤ならば約90%近くの方が発症すると言われています。

・加齢による原因

静脈の中にある弁は年齢とともに劣化するため、高齢になると下肢静脈瘤が発症しやすくなります。

下肢静脈瘤の症状を徹底調査!

下肢静脈瘤の症状は、人によってその現れ方も症状の感じ方も違ってきます。対処方法を考えていくうえでも、ご自分の体の小さなサインでも見逃さないよう心がけましょう。ここでは、症状の見え方と感じ方についてご紹介していきます。下肢静脈瘤は進行具合によっても症状が変わってきますので、こまめにチェックしておくことをおすすめします。

足の血管には2種類の見え方がある

下肢静脈瘤は、ひとによって見え方や症状のある部位は違います。血管の見え方には主に2種類の見え方がありますので、自分の血管がどちらなのかを見極めておきましょう。

・クモの巣状、網目状にみえるレッグベイン

血管が透けて見えてクモの巣状もしくは網目状になっている状態をレッグベインといいます。レッグベインができる箇所は、主に下腿です。青や赤の血管が拡張し、クモの巣や網の目のように見える状態です。スカートなどをはくとかなり目立ちますが、これらは主に美容上の問題となることが多く、皮膚炎など重症化することは多くありません。

・ボコボコと血管が浮き出てくる伏在静脈瘤、側枝静脈瘤

大きく太い血管がボコボコと立体的に浮き上がってくるのが、このタイプの下肢静脈瘤です。主に太ももから下腿の内側に、ボコボコした血管がでてきます。またふくらはぎの後にもでることが多いので鏡を使って観察してみてください。気がついたらボコボコとでていたという方が多いようです。

足が辛い!下肢静脈瘤の症状とは

血管がクモの巣状に見えたり血管がボコボコと浮き出るという見た目の他に、足がむくんでだるい、寝ているときに足がつるといった症状も下肢静脈瘤が原因でおこることがあります。
初期症状の場合は単なる足の疲れと思われがちですが、このような辛い症状が続いているのなら下肢静脈瘤を発症しているかもしれません。

・足がだるい・重い

足を使い過ぎると誰もが足のだるさを感じますが、それは筋肉の疲れです。下肢静脈瘤を発症すると静脈に血液が滞ることで足がむくみ、だるさや重さを感じるようになります。朝はなんともないけれど、午後から夕方にかけて徐々にだるくなることが多いです。

・足のむくみ

以前はなかった足のむくみを感じるようになります。朝は普通に履いていた靴がきつくなったり、靴下にゴムのあとが残るなどの症状が出ます。ただし、むくみは下肢静脈瘤以外の可能性がありますので、症状がひどい方は医療機関で診てもらいましょう。

・こむらがえり

夜寝ている時に、急に足がつることも下肢静脈瘤の症状です。激しい運動をした後にこむらがえりを起こすことはありますが、下肢静脈瘤の場合は運動と関係なく夜や早朝にかけてこむらがえりをおこします。

・湿疹やかゆみ

皮膚がかゆいと皮膚の病気と思われがちですが、下肢静脈瘤になると皮膚組織に十分な酸素や栄養が行き届かなくなるために、皮膚炎を起こしかゆみがでてきます。

・傷が治りにくい

下肢静脈瘤が重症になると傷が治りにくくなります。原因は同じく皮膚組織に十分な栄養が行き渡らないことでおこります。ひどくなると潰瘍ができてしまうこともあります。

・足がほてる

今までは感じたことがなかったのに、足が熱く感じたり火照ったりします。

 

下肢静脈瘤の対処方法

下肢静脈瘤の対処方法はひとつではなく、手軽にできる保存的治療から、硬化療法・ストリッピング手術・血管内治療などの治療法があります。ご自分の希望や医師と相談しながら決めると良いでしょう。
こちらでは5つの治療法のメリットとデメリット、さらに費用をご紹介していきますので、ご自分の症状と比較しながらご覧になってみてください。

医療用弾性ストッキングによる圧迫療法

下肢静脈瘤は静脈の中の弁が壊れて、下肢の血液が滞ることにより起こります。そこで医療用弾性ストッキングをはくことで、適度な圧力を足に与え静脈の流れを助けてあげるのです。下肢に滞っていた血液が心臓に戻るのを助けることで、むくみが取れ、足がだるいといった症状を軽くしてくれます。ただし、この医療用弾性ストッキングは下肢静脈瘤を治すためのものではありません。あくまでも悪くなる症状を少し遅らせ、重かった症状を軽くするためだけの治療となります。

・医療用弾性ストッキングのメリット

日常生活の中で履くだけなので簡単に始められます。手術のように痛みを感じることなく、低価格で不快感も伴いません。購入すればすぐに始められ医療費と比べると低価格です。

・医療用弾性ストッキングのデメリット

医療用弾性ストッキングをはいても下肢静脈瘤の原因となる弁不全は治らず、履いている時だけしか効き目がありません。基本的に寝るとき以外の日中は履いたほうがいいので、夏はムレたりゴムの引き締めによって肌がかぶれることがあります。
また時間ともに緩んで圧迫効果が少なくなるので、医療用弾性ストッキングを適宜買い足さなくてはなりません。購入の際には保険が効かない事もデメリットのひとつと言えるでしょう。

・医療用弾性ストッキングの費用

医療用弾性ストッキングは保険の適用になりません。ハイソックスのストッキングタイプだと約3,000円~パンティストッキングタイプだと約5,000円~となっています。

下肢静脈瘤の硬化療法

下肢静脈瘤がある血管に硬化剤と呼ばれるポリドカスクレロールという薬剤を注入します。これによって静脈の内側に炎症を起こし静脈を閉塞させ、血流がいかないようにします。硬化療法後は逆流した異常血管が閉塞するため、症状は改善していきます。ただし、硬化療法はくも状、網目状などの小さな下肢静脈瘤にしか対応できませんので、あくまで手術を補う治療方法となります。硬化療法を行う時間は1回につき10~15分程度で、入院の必要がないので通院での治療が可能となっています。

・硬化療法のメリット

麻酔をすることなく短時間の施術で治療ができ、入院する必要はありません。すぐに歩いて帰ることができて、注入するだけなので傷跡も残らずにすみます。1、2回の施術で終了する方法です。

・硬化療法のデメリット

硬化療法はくも状、網目状などの小さい静脈瘤のみに対応する治療方法です。また、色素沈着や皮膚炎などの合併症を引き起こす場合や、しこりが残ってしまう場合がありますのでご注意ください。硬化療法の再発率は20~30%です。

・硬化療法の治療費

保険が適用されるので費用は安く抑えられます。1回につき約5,000円です。

下肢静脈瘤のストリッピング手術

伏在静脈が原因の静脈瘤に適しており、静脈瘤ができている伏在静脈を引き抜いてしまう治療方法です。進行した下肢静脈瘤を根本的に治すことができます。静脈瘤の部位にもよりますが、切開するのは足の付け根、膝内側、足くびが多く、静脈にストリップワイヤーという特殊な器具を挿入し抜去します。また静脈瘤が形成された部位には別に切開し、瘤を切除します。静脈には神経が一緒に走行していることが多いため、静脈を抜去した後にしびれが残ることがありますが、安全性は高い手術です。静脈瘤内に滞っていた血液は深部静脈へと流れていき本来の機能を回復させてくれます。ストリッピング手術は日本で多く行われているスタンダードな治療方法で100年以上も前から行われています。少し前ならば、全身麻酔や下半身麻酔を使っての手術となり、1週間程度の入院を必要とされていましたが、現在では静脈麻酔・TLAという局所麻酔が使えるようになり日帰り手術を行う病院が多くあります。

・ストリッピング手術のメリット

大きな静脈瘤があっても治すことができる根治治療で、かつ多くの病院で行われている実績があり安心できる治療法です。足のつけねは2cmほど切開しますが下腿はごく小さい切開になるので、傷跡はほとんど気になりません。日帰り、もしくは1泊入院で帰れることができます。

・ストリッピング手術のデメリット

静脈を引き抜くので細かな神経を傷つけてしまう可能性があり、約10%程度の方が術後にしびれ感を感じることがあります。やはり手術なので痛みは少しあります。術後は青あざがある程度の期間残りますが、徐々に消退します。

・ストリッピング手術の治療費

保険が適用するので安く抑えられます。治療費は約4万円程度です。健康保険が3割負担であれば12,000円ほどになります。

下肢静脈瘤のレーザー治療

静脈瘤のある伏在静脈の中に細い光ファイバーを通します。レーザーの熱によって血管内が焼灼され、静脈を閉塞する治療方法です。
ストリッピング手術よりも傷が目立たない事に加えて、治療を行った日でも日常生活に復帰できるほど体に与える負担が少なくてすむ治療方法です。局所麻酔を使い、日帰り手術が可能です。手術にかかる時間は、片足で15分程度と短くストリッピング手術のような内出血や痛みを軽減できます。
以前ならば下肢静脈瘤のレーザーの治療法は保険適用外となっており、数十万もの治療費がかかっていましたが、平成23年より厚生労働省が正式に認めたレーザー治療機器ならば健康保険が適用されることとなりました。かつては高い治療費がかかっていたことを見ると、下肢静脈瘤のレーザー治療はお得な治療と言えるでしょう。

・レーザー治療のメリット

痛みが少なく傷跡や青あざが残らない治療方法です。出血もストリッピング手術と比べると少なくてすみます。さらには最近になって保険適用となったので安い費用で手術を受けることができます。

・レーザー治療のデメリット

レーザー治療は蛇行が強い静脈瘤には治療困難です。比較的安心な治療法ですが、下肢静脈瘤のレーザー治療を行っている病院は限られています。レーザー治療の医療機器が病院によって違ってくることもあります。

・レーザー治療にかかる費用

下肢静脈瘤のレーザー治療の費用は保険適用になっています。治療費は約50,000円なので3割負担であれば15,000円ほどになります。

体外照射レーザー治療

レッグベインへの治療として、最近になって体外照射タイプのレーザーが行われるようになりました。ロングパルスYAGレーザーは血管の壁を変えて収縮させることができるレーザーです。これによって断続的に照射すれば治療部位の血管を縮ませて閉塞することができます。体外照射レーザーにかかる時間は30分~1時間程度です。痛みは少なく終わったとはすぐに帰ることができます。ただし照射は分けて行うので複数回の通院が必要となります。

・体外照射レーザー治療のメリット

痛みを伴わないので、施術後はすぐに家に帰ることができます。またレッグベインの治療法の選択枝が増えたのはメリットといえます。

・体外照射レーザー治療のデメリット

施術の時に軽い痛みがありますが、冷却することで改善できます。色素沈着、水疱がでることがあります。
費用は保険適用にはならないので、自己負担となってしまいます。

・体外照射レーザー治療にかかる費用

病院によって異なりますが、片足で約6万円、両足だと約12万円となります。保険適用ではありません。

部位によって違う?下肢静脈瘤の種類をご紹介

下肢静脈瘤はひとつではなく、できた部位と症状によって種類が違ってきます。どのようなタイプの下肢静脈瘤があるのかご紹介します。

伏在静脈瘤

伏在静脈という静脈にできた静脈瘤をいいます。大伏在静脈は太ももから下腿まで、小伏在静脈は下腿の裏を通常まっすぐに走行していますが、静脈瘤ができると拡張、蛇行し、ひどくなるとボコボコと目立つようになります。

側枝静脈瘤

伏在静脈の枝が分かれて拡張した血管を側枝静脈瘤と呼びます。伏在静脈瘤よりも少し細い血管となりますが、ひどくなるとボコボコ見えてきます。

網目状静脈瘤

伏在静脈瘤や側枝静脈瘤よりも細い静脈が拡張し、青色をおび網目状になった状態をいいます。

クモの巣状静脈瘤

網目状静脈瘤よりもさらに細い血管にできる静脈瘤です。大きさは2mm未満ですが、モヤモヤした血管が目立つようになり時に痛みを伴う事もあります。

監修ドクターコメント

田中先生

足の血管がはれているのに急に気づいた、血管が前からボコボコしていてずっと気になっていた、という方が日々血管外科外来を受診されます。足の血管がはれてきたら、だれしも重病ではないかと心配になると思いますが、実際は下肢静脈瘤ではほとんど命を落としません。
下肢静脈瘤で一番気になるのは、やはりスカートがはけない、などの美容面かと思います。最近ではレーザーなどの新しい治療法が多くの施設でできるので、自分が静脈瘤じゃないかと思っている方はぜひ相談されてはいかがでしょうか。
美容面以外でも、下肢静脈瘤はほっておくと皮膚炎や潰瘍になってしまうことがあります。もともと下腿の血流が滞っており傷の治りが悪い状態ですので、潰瘍になると難治性です。潰瘍になるほどの重症下肢静脈瘤は皮膚の治療が長引くため、できれば重症化する前に手術加療をお勧めします。
もしかしたら下肢静脈瘤かも、と思われたら気軽に受診してください。