スウェーデンから学ぼう!「予防歯科」で健康な歯を維持

ほんの20年くらい前まで、歯医者さんに通院する理由といえば、虫歯を治す・入れ歯を作るといったことが中心でした。

しかし最近では、3ヶ月から半年に1度の定期健診をおすすめする歯科医院が増えてきています。このような、症状が現れる前にお手入れをする、あるいは疾患の早期発見に努めるといった治療方法・考え方を「予防歯科」といいます。

本格的な予防歯科に世界で初めて取り組んだのはスウェーデン。以来、徐々に世界へ広まってきました。この予防歯科の考え方や歴史、今注目される理由について、Medical DOC編集部がお届けします。

この記事の監修歯科医師
谷澤 綾乃 (DENTAL TANIZAWA 院長)

そもそも予防歯科とは

予防歯科とは、従来の「虫歯になってから削って詰めものをしよう」という考え方とは全く異なる治療方法です。

歯を失う二大原因である虫歯と歯周病は、どちらも細菌感染によって起こる伝染病。この伝染病を歯科医師・歯科衛生士によるプロのケアと、日常のセルフケアの両方で未然に防ぎ、将来的に歯を失うことのないようにしましょう、というのがその概念になります。

歯を失ってしまうことは、ものを噛む、発声するということが難しくなるだけでなく、咀嚼機能が衰えることで胃腸に負担をかける、咀嚼による脳へ刺激が少なくなり老化が進むという研究結果もあります。少しでも長く自分の歯で噛んでもらうための取り組みが「予防歯科」なのです。

スウェーデンの予防歯科への取り組み

国民全体に虫歯や歯周病が少なく、予防歯科の先進国として知られるスウェーデンですが、かつては虫歯・歯周病に悩まされた時期もありました。そこで、スウェーデンのある大学は、虫歯や歯周病についての調査を行うとともに、ご家庭でのセルフケアと歯科医院でのプロフェッショナルケアが「予防に大きく関わっている」ことを立証しました。

この調査によりスウェーデン政府は大規模な予防歯科への取り組みを開始。定期的に歯科医院に通う予防歯科を国民へ促し、セルフケアを日頃から行うように指導しました。

さらに19歳までは、検診も治療もどちらも無料なのだそうです。これにより虫歯・歯周病にかかる人は大幅に減少、歯のケアを行うことが当然のこととして、スウェーデン国民に深く浸透しました。スウェーデンは世界有数のお菓子の消費国で、砂糖たっぷりのお菓子を好んでいたものの、今ではほとんどの国民が虫歯に悩まなくなりました。

予防歯科の後進国だった日本

ご存知の通り、日本は長寿の国として知られています。しかし、お口の健康という側面で見ていくと状況は変わります。予防歯科の先進国スウェーデンの場合、80歳時に残っている自分の歯の本数は20本。これに対し、日本は14本です(出展・8020推進財団より)。なぜこんなに差がつくのでしょうか?

それは、虫歯・歯周病の感染率が非常に高いからです。一度虫歯となって削ってしまった歯は元には戻りません。さらに同じ歯が再度虫歯となり、削る、詰めることを繰り返していると、最終的には歯が抜ける、抜かなければならない、といったことになってしまいます。「虫歯になったら削る」という従来の対症療法的な治療方法が、日本人の歯を減らしてしまっていたのです。

この数字から最近では、国・地方自治体なども予防歯科に取り組み、徐々に虫歯にしないための治療が日本でも進められるようになりました。最近では、マスコミなどを通じた周知もあり、若い人たちを中心に健康志向への動きが増えてきています。

なぜ自分の歯が大切なのか

一説によると、自分の歯の1本あたりの価値は300万円ほどだと言われています。高額なインプラント治療や入れ歯よりも高価ですね。なぜ自分の歯が大切だといわれるかについて説明しましょう。

・咀嚼機能が衰える
食べる・噛むといった、人間が生命を維持する機能の衰えにつながります。きちんと物を噛めないままだと胃・腸に負担がかかり、消化器官の失調にもつながります。

・発声が悪くなる
歯を失うと発声がしにくくなり、滑舌が悪くなります。歯のない年配の方の声が聞き取りにくいのも、同じ現象と考えられます。

・顎の骨が退化する
歯がないことにより顎の骨が退化し、容貌が変わってしまいます。さらに頭を支えていた骨が痩せていくことで、全身のバランスがおかしくなることもあります。

・顎から脳への刺激が伝わらない
咀嚼は脳の働きを活性化する役割があります。そのため咀嚼しなくなることにより受けていた脳への刺激が少なくなり、脳の機能が退化し、認知症のリスクを高めることがわかっています。

予防歯科のためのセルフケア

虫歯にならないためにどんなケアに取り組んだらよいか、まずはセルフケアからみていきます。

ブラッシングケア

1日に一度はしっかり歯ブラシをするようにしましょう。特に就寝中は口腔内の細菌の数が増えやすくなりますので、寝る前のブラッシングは丁寧に行いましょう。また、お子様の場合、なるべく小さい頃から歯ブラシに抵抗を持たないよう、ブラッシングの練習を行います。

デンタルフロスや歯間ブラシ

スウェーデンではすでに一般的となっているのが、デンタルフロスや歯間ブラシによるケアです。歯ブラシの毛が届きにくい歯と歯の隙間に入って、取れなかった食べカスや歯垢を取り除いてくれます。歯ブラシは歯間の幅に合わせて色々なサイズがありますので、自分にあったものを選ぶ必要があります。また、毎日必ず、寝る前のブラッシング時に行うことをおすすめします。

フッ素入り歯磨き粉

フッ素は1.歯の表面の強化、2.溶けた歯の再石灰化の促進、3.虫歯の細菌の働きを弱め歯垢が作る酸を抑える、などの働きがあると言われています。スウェーデンで虫歯が減った大きな理由の一つはフッ素です。フッ素濃度が高い歯磨き粉を毎日使うことで、高い虫歯予防効果が期待できます。歯科医院で販売されている歯磨き粉はフッ素濃度が高いものが多いので、歯科衛生士にお勧めを聞くのもいいでしょう。

キシリトール入りガムの使用

キシリトール入りガムも虫歯の予防のひとつとなります。キシリトールは虫歯菌を減らす効果があり、虫歯になりにくいお口の環境を作ります。また、噛むこと自体による唾液の分泌が、免疫機能を活発化させます。1日3回程度、味がしなくなるまで10分以上しっかり噛みましょう。特に就寝前と食間がお勧めです。

予防歯科のためのプロケア

歯科医院で行われる歯科医師や歯科衛生士によるケアについてご説明します。

ブラッシング指導

現在、多くの歯科医院で、ブラッシングの指導を行うようになりました。歯科衛生士によるブラッシング指導は、一人ひとりの歯並びや虫歯・歯周病のリスクにあった方法を教えてくれますので、積極的に利用し、日常のセルフケアにも活用してください。自分では磨けていなかった場所、磨きにくい場所を指摘してくれますし、自分にあった歯ブラシやデンタルフロスなども紹介してくれます。

定期検診

自ら予防に取り組んで一生健康な歯を維持しよう

歳を経てもなるべく自分の歯で物を食べ、健康に過ごしてもらいたいたいというのが予防歯科の目標でもあります。日常から虫歯・歯周病の細菌を増やさないように、歯科衛生士の指導に基づくセルフケア、また疾患の早期発見・早期治療を行うためのプロケアの両方で、健康な歯を維持していただきたいと思います。

一度削ってしまった歯は戻ることはありません。「虫歯になったから歯医者さんに行く」のではなく、予防に努めることで、大切な歯を失くす可能性を大きく減らし、いつまでも食事や会話を楽しむことができるのです。

谷澤 綾乃 歯科医師 DENTAL TANIZAWA 院長監修ドクターのコメント

スウェーデンの医療環境には目を見張るものがあります。その一つが、予防治療に関する「国民」の考え方です。かの国では、歯に関する疾患を「発病前の段階で食い止める」という認識が、広く定着しています。また、歯科衛生士が高度なスキル・見識を持ち、虫歯や歯周病などの早期発見に努めているのです。歯科医師が登場するのは、あくまで最終段階。平時では、患者さんと歯科衛生士が中心となって健康をコントロールしていく。それが、私の考える「スウェーデン式」です。日ごろの定期検診でさまざまな情報を発信し、「患者さんご自身が病気に強くなる」よう、これからも努めて参ります。

 

監修ドクター:谷澤 綾乃 歯科医師 DENTAL TANIZAWA 院長

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