更年期障害はいつから?男女での症状の違いや対策とは

公開日:2020/08/12  更新日:2020/08/19
この記事の監修医師
加藤 智子 (三河安城クリニック 医師)

更年期障害とは

一生の中で身体に変化をもたらす節目のひとつが更年期です。

この更年期では身体内部の劇的な変化にともなってさまざまな不快症状が発現するとともに、これらが日常生活にまで支障をきたすことも珍しくありません。

また、更年期に起こる身体の不調の現れ方やその強弱には差があるものの、このことによって生活に支障をきたしてしまう一連の悩みの総称として使われているのが更年期障害(こうねんきしょうがい)という病名なのです。

一般に女性ホルモンの分泌と深い関わりを持つと言われているのが更年期障害ですが、実は女性だけでなく男性でも同じように身体の不調を感じ、更年期の悩みを抱える可能性があります。

更年期障害の原因

更年期障害は、起こりやすいとされる時期や原因を早めに知ることでこれに備えることができることに加えて、その症状の緩和も図ることができる病気です。

まずはどのような時に発症するのか、また性差に関係するのかといった疑問から解決してまいりましょう。

更年期障害が発生しやすい年齢や時期はいつ?

一般的な更年期とは40代に差し掛かる頃からを指します。さらに更年期障害と呼ばれる症状が発生しやすい時期となるのが40代半ばから50代半ばの約10年間と言われ、それを過ぎると徐々に落ち着く傾向にあります。

またこれ以外にも、ライフスタイルの多様化によって更年期の不調と同じような症状を抱える20~30代の若者も増えている傾向にあり、こちらは一般的な更年期障害と区別して「若年性更年期障害」という病名で呼ばれています。

テストステロンが鍵となる男性の更年期障害

【テストステロンの減少が及ぼす影響】

40代半ばから50代半ばの約10年間といえば、男性にとってはまさに働き盛り。一家の大黒柱としてはもちろん、社会的に責任ある立場に置かれていることも多い時期と重なります。

人によっては体力の衰えとともに白髪や薄毛・肥満の傾向なども気になるようになり、憂うつな気分を味わうことも経験するでしょう。

更年期の気分の落ち込みは男性の更年期障害を表すひとつの特徴でもあり、その原因と考えられているのがテストステロンという男性ホルモンの減少なのです。

男性の場合、テストステロンが盛んに分泌され続ける思春期以降は気力や体力もみなぎる傾向にありますが、加齢やストレスを多く感じやすい生活環境などの影響が伴う更年期とテストステロンの分泌量が大幅に減る現象が合わさって、気分の落ち込みも顕著となります。

したがって男性の更年期では、これまで快活であった人でも情緒面での不安定さが目立つことがあるのです。

女性の更年期障害がクローズアップされる2大原因

もともと人間には生命を維持するために欠かせない恒常性という働きがあります。この恒常性を維持するのに役立つものが身体の中に存在するホルモンです。

更年期の女性の身体においては、特に女性ホルモンのひとつであるエストロゲンの量が大幅に減少することでバランスを崩し、その結果更年期障害の症状も強く現れることがわかっています。

【エストロゲンの減少が及ぼす影響】

女性ホルモンであるエストロゲンは、卵巣の機能を整え女性の身体を健康な母体へと導くために必要な働きをするものであり、中枢神経系・循環器・脂質の代謝・骨・乳房・皮膚などの機能にも作用しこれらを調整しています。

更年期に入ると卵巣の機能そのものが衰え月経周期も乱れがちになるほか、骨がもろくなる骨粗しょう症や乳房の縮小、肌の老化など目に見える形での変化が現れやすくなります。

またエストロゲンの減少は肉体的な問題だけでなく、精神的な面でも障害を引き起こすこともわかっており、これが原因となって更年期特有の症状として現れる場合があります。

【閉経と更年期障害の関係】

日本女性の平均的な閉経の年齢は50歳前後と言われています。

閉経とは卵巣機能が完全に停止したことを意味し、これによって体内で作られるエストロゲンが欠乏することになります。

しかし、脳では相変わらず盛んにその分泌を促す指令を出し続けられるという不一致が生じてしまいます。

このことによって更年期を迎える女性の身体の中はバランスを崩しやすくなり、日常に感じるストレスなどの影響が加わることで更年期障害の症状が強く現れると言われています。

更年期障害の諸症状

更年期障害の症状は千差万別であり、身体にも心にもさまざまな影響がでるものです。

このような更年期障害の代表的な症状として次のようなものが挙げられます。

不眠・不安

更年期に抱える不眠の悩みは、心に感じる不安とも連動しています。

特に更年期の不眠では寝つきが悪い「入眠障害」や、一旦は眠ることができてもすぐに目が覚めてしまう「中途覚醒」などが多く、その分昼間に強烈な眠気が襲ってくるなどの悪影響が指摘されています。

更年期で卵巣機能が低下することにより脳の視床下部や下垂体がその影響を受けてしまうと同時に自律神経のバランスも乱れてしまい、身体だけでなく精神面にも支障をきたすことがわかっています。

このことが原因となって本来は睡眠によって体を休めるはずの夜中に興奮状態となり、正常な睡眠が阻害されてしまうと考えられています。

イライラ

更年期を迎える時期というのは、子どもの教育がひと段落して自立をしていくタイミングや家族の介護など、生活の面でも大きなストレスを感じることが増えてくるようになる傾向にあります。

通常ではストレスを受けても精神を落ち着かせるためのホルモンが分泌されることによってバランスを保つことができているのですが、エストロゲンの減少では多幸感を生みだす「セロトニン」というホルモンの生成も阻害され、イライラ感がつのるといった傾向が強まってしまいます。

さらに人間の身体がストレスを感じると厄介なのは、コルチゾールやカテコールアミンといったストレスホルモンの分泌を促してしまうことであり、これが全身の免疫力を下げ血圧を上昇させるなどの悪影響を及ぼし、さらに更年期障害の症状を助長することも心配されています。

肩こり・腰痛

つらい肩こりや腰痛の原因は、筋肉や骨にくわえて血液循環とも関係しています。

加齢によって血行が悪くなると疲労物質である乳酸が溜ってしまい、今まで以上に疲れやすく肩こりを感じやすくなります。

また、女性は男性と比べ筋肉が細く弱い傾向にあるため肩や腰に痛みが出やすく、エストロゲンが減少して骨そのものがもろくなっている場合などは、特にその傾向が強くなります。

だるさ・うつ

全身のだるさが強く物事への意欲が薄れたり、一日の中でも気分にムラが出るなどの精神症状も更年期障害に見られる「うつ症状」と呼ばれます。

更年期に見られる「うつ」のレベルはさまざまですが、中には重篤な精神疾患として健康的で幸せな日常生活を奪いかねない問題に発展します。

女性の場合には、卵巣機能の衰えが脳の指示系統に異常をきたすことが原因となってうつ症状を抱えやすくなってしまうと言われています。

悩みを自分ひとりで抱え込まず早期に専門の医療機関を受診することが、更年期障害によるつらいうつの症状の早期改善へとつながります。

めまい・立ちくらみ

めまいや立ちくらみは脳や耳の病気を原因として起こるほかに、更年期障害の症状として見られる「非前提性めまい」というものもあります。

更年期に起こりやすい非前提性めまいの特徴は、血の気が引くような感じで身体がふらつく・天井がグルグル回って見える・真っ直ぐ歩行することが困難になることや動悸・息切れを伴って一時的な失神状態となることもあります。

これもホルモン分泌の減少やそれに伴って自律神経のバランスが乱てしまう原因であり、全身の機能低下が起こる更年期には見られやすい症状の一例となります。

ホットフラッシュ

突然のように全身が熱く感じられたり、心臓がドキドキして顔が紅潮する。また特に激しい運動をしたわけでもないのに大量の汗が噴き出すといった症状も更年期障害で見られるものであり、これらを指す呼称として「ホットフラッシュ」という表現が使われています。

エストロゲンの減少によって血管の働きを司る自律神経を乱すことが原因とされていますが、ホットフラッシュは更年期を迎えた女性の約6割が少なからず経験する症状とも言われています。

更年期障害を乗り切るための治療と対策

女性の場合、閉経を挟んだ約10年間の間に経験すると考えられているのが更年期障害です。

中には不快な症状を感じながらも放置して時期が過ぎるのを待つというケースもありますが、限られた時間を少しでも健康的に過ごし、周囲との関わりを円滑にしていくためにもきちんとした治療を図ることも選択肢のひとつであると言えるでしょう。

更年期障害を克服するために現在有効と考えられている方法の中から、ここでは3つのポイントをご紹介します。

ホルモン補充療法

医療機関によるホルモン補充療法(HRT)は、卵巣機能の低下によって分泌量が減るエストロゲンを補う治療法です。

更年期障害の症状を緩和する目的としておこなわれるこの治療法は、生活の質を向上させる効果に注目が集まっており、ホットフラッシュや気分の落ち込み、また性交痛・筋肉痛などの痛みを取る目的でもその効果が期待されています。

ホルモン補充療法は、閉経後の時間経過や子宮の有無、また治療後に見られる出血をどうとらえるかによって3つの治療パターンが用意されています。

それぞれ服用回数にも差があるものなので、事前のカウンセリングをしっかり受け、医師の処方の元で試みたい治療のひとつとなります。

サプリメント・漢方薬

西洋薬に比べ副作用が少ないことで知られる漢方薬や医薬品ではないサプリメントも、更年期障害の治療や緩和に使われています。

効き目が穏やかであるとはえ体に作用するものであるため、やはり専門家への相談の元で服用するのが望ましいことですが、薬局やドラッグストアでも気軽に購入できる種類も増えてきているのが現状であると言えるでしょう。

漢方の理論は、まずその人の体質を「陰・陽・虚・実」という四つの証の中に当てはめることから始まり、更年期の人に向く漢方薬としてはこの考え方に応じて次のようなものを処方されることが多いようです。

【更年期におすすめの漢方】

  • 当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)
  • 温経湯(うんけいとう)
  • 加味逍遙散(かみしょうようさん)
  • 五積散(ごしゃくさん)
  • 桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)
  • 温清飲(うんせいいん)

これらはそれぞれに使う人の体質や症状の緩和に合った特徴を持つ漢方です。心にも体にも短期間で劇的な作用を示すものではありませんが、気長にじっくり取り組んでいきたい方には漢方薬による穏やかな治療がおすすめです。

【更年期におすすめのサプリメント】

医薬品ではなく栄養補助食品としての位置づけであるサプリメントの中でも、次のような天然成分が含まれるものによって更年期障害の緩和が望めるようです。

  • 大豆イソフラボン
  • エクレオール
  • レッドクローバー
  • ローヤルゼリー
  • プラセンタ
  • ザクロ
  • 朝鮮人参

など

 

サプリメントに関してもすでに服用しているお薬との併用によっては効果が強く現れすぎてしまう場合があり、人によってはアレルギーなどの重篤な症状が心配な場合もあります。

簡単に入手できるものほど成分をよく確認し、一日に定められた摂取量を超えないなどの心がけは忘れないようにするべきであると言えるでしょう。

運動・食生活

お薬やサプリメントなどの力を借りることなく、より自然に近い形で更年期を乗り越えていきたいと考える方には、運動や食生活の改善を試みる方法もあります。

【更年期におすすめの運動】

更年期の悩みを抱える人には、特に有酸素運動とストレッチの併用が有効だと言われています。

おすすめの有酸素運動には、ヨガやサイクリング、ウォーキングや軽めのジョギング、また水中でおこなうウォーキングなどがあり、いずれも気分をリフレッシュさせ、無理なく続けるのに適した運動であるとされています。

更年期におこなう運動の目的は、あくまでも細く長く続けることです。短期間でダイエット効果を狙う運動法などはかえって心の負担を大きくしかねませんので、まずは目標を低く設定しできることから始めてみるよう心がけるとよいでしょう。

【更年期障害を克服するための食生活】

年齢とともに食の好みも変化し、一度に食べられる量にも差が生じるようになるのが更年期です。

この時期には特に栄養の偏りに注意しつつ、不足するホルモンの働きを助ける食品を積極的に摂るよう心がけましょう。

失われる女性ホルモンと似た成分としては、大豆に含まれるイソフラボンが効果的です。豆腐や納豆をはじめとする大豆製品をメニューに加え、脂身の少ない赤身の肉や魚、緑黄色野菜などもできるだけ多くの種類を食べるようにするといいでしょう。

また、弱くなっていく骨の組織を補うためには、牛乳や小魚のカルシウムを見逃せません。

これらをまんべんなく日々の食卓に並べるよう努力し、身近な食生活から更年期障害を克服していくことも健康的な更年期を過ごすひとつのポイントとなることでしょう。

監修ドクターコメント

加藤先生

これまでは一般的には女性のみの疾患のように考えられてきましたが、もちろん男性にも存在する疾患です。
そして、しだいに長寿化がすすみ、ホルモンに十分守られる年数が人生の半分ほどに限られてくる将来、我々は健康寿命を延伸させるには、年齢的な変化について正しい知識を持ち生活していくことがますます重要となります。

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