ニコチン依存症治療用アプリ「CureApp SC」とは? 特徴や導入の流れについて解説

公開日:2021/06/15  更新日:2021/06/24

飲み薬や点滴などの医薬品、手術器具や人工呼吸器などの医療機器に加えて、第3の治療として注目されている「治療用アプリ」をご存じでしょうか? 通院が主流だった今までの治療では実現できなかった、新たな治療方法を生み出したのがこの治療用アプリです。今回はその先駆けとなっている「CureApp(キュアアップ) SC」という治療アプリ®について紹介します。

治療用アプリとは

治療用アプリを使用することで、パーソナライズされたメッセージやガイダンスを通じて、考え方や行動を変容させて正しい生活に導く治療がスマホ上で可能になります。今まで介入が困難であった通院と通院の間の治療空白期間を支援し、行動の変容を促すものです。

治療用アプリの役割

臨床をしている医師は、外来だけで患者の行動の変容を促すのはなかなか難しいと感じています。外来治療のうち、医師の役割は5%で、95%が患者の自助努力というイメージです。

あくまでも外来の支援は一時的のため、外来間の治療の空白こそ重要と医師は考えています。その空白期間を埋める役割として生まれたのが、この治療用アプリなのです。

治療用アプリの種類

治療用アプリにも様々な種類があり、疾患の種類に応じて使い分けます。対象となっているものは、主に生活習慣に根差したものが多く、ニコチン依存症や糖尿病、高血圧、不眠症などが挙げられます。

また、海外では糖尿病や不整脈など心臓病に関しての治療用アプリが先行しています。国内で開発中のアプリには、主にニコチン依存症や糖尿病のほか、NASH(非アルコール性脂肪肝臓)、不眠症などを適用対象としたものがあり、臨床試験も進行中です。

ここからは、海外よりも先に日本で先行した、世界初のニコチン依存症禁煙アプリ「CureApp SC」について、アプリによる具体的な禁煙治療を紹介します。

ニコチン依存症治療アプリ「CureApp SC」とは

CureApp SCは、ニコチン依存症を対象とした禁煙治療領域では世界初の治療用アプリです。

製品構成としては、患者が使用する患者アプリ、客観的なデータ指標となり得る患者アプリ、COチェッカーと連動した医師アプリからなります。

患者アプリ

患者アプリには、以下の4つの機能があります。

  • チャット機能:アプリの各機能や喫煙欲求が高まった時の対処法を対話形式で提供します 。チャットボットで患者が自身の悩みに近い選択肢を選ぶと返答が返ってきます。
  • 治療プログラム機能:動画やテキストでニコチン依存症に対する理解を深めることができます。
  • 実践管理機能:患者ごとに適した禁煙テクニックをチェックリストで管理しやすくします。
  • 禁煙日記機能:喫煙欲求などの日々の禁煙状況を記録することで、医師の診療に活用します。

COチェッカー

COチェッカーは、患者自身が日々の呼気一酸化炭素濃度(CO濃度)を測定できる機能です。測定した数値はBluetoothによってアプリと連動して保存されます。

医師アプリ

医師アプリにも4つの機能があります。

  • 禁煙治療ガイダンス:治療期間に応じた、診察時のポイントを表示することで禁煙治療が初めての医師でも治療の質が担保されます。
  • 患者データ詳細:患者アプリに入力される禁煙状況などを確認できます。
  • 禁煙日記:患者さんの基本情報やニコチン依存症重症度を管理できます。
  • 治療プログラム進捗:行動療法のプログラムの進捗状況を確認し、患者さんがどこまで履修しているかの確認ができます。

CureApp SCを利用する際の一般的な流れ

CureApp SCを利用する際の、初診→通院空白→再診の流れについて説明します。

初診:アプリの処方コード発行

初回は医療機関で受診し、問診表を書いて、患者アプリをインストールします。

医療機関(医師、スタッフ)は、医師アプリから対応する処方コードを発行します。

患者さんは処方コードを入力し登録、COチェッカーの接続テストをおこなって準備完了となります。

2週間後に再度受診し、初回の手続きとしては以上となります。

通院と通院の間:COチェッカー、アプリ連動、治療ガイダンス自動受信

まず、患者用のCOチェッカーが自宅に届きます。次回の外来までの期間に、患者アプリとCOチェッカーで治療経過など、呼気のCO濃度を記録していきます。

また、治療ガイダンスは自動でリアルタイムに受信することができます。治療ガイダンスにはカリキュラムが29個ほどあり、治療開始から2週間〜2か月目などの離脱しやすい時期にガイダンスが送られてきて、治療中断を防いでくれます。

再診:記録情報の閲覧、診療サポート、行動変容の定着

医師側は 再診前に患者アプリの記録情報を閲覧することで、診療サポートに役立てます。

一方、患者側は医師と患者アプリによる支援により、通常の禁煙治療以上に行動変容の実践と定着につながります。

医師は治療アプリ®で患者の喫煙に対する心理的依存の克服をサポートしつつ、禁煙補助薬で身体的依存を緩和します。初診、2週後、4週後、8週後、12週後と外来受診をしながらアプリも併用していきます。

禁煙外来は基本的に12週目で終了しますが、治療アプリ®は12週目以降もガイダンスをおこない、最長24週目まで続いて患者の治療の離脱を防ぎます。実際、国内の第三相臨床試験では、9〜24週における継続禁煙率だけでなく、アプリの使用期間(24週間)を終えた後、治療開始から52週経った後でも治療効果の持続が確認されています。

Cure App SCを利用するには

医療機関は、まずインターネットにつながったパソコンでWebブラウザ「Google Chrome」をダウンロードする必要があります。 患者側はスマートフォンが必要で、治療アプリ®のインストール後に本人確認のためのメールアドレスが必要となります。

CureApp SCを導入するための手順

導入する医療機関は、CureApp SCのサイトから契約フォームを記入し、利用規約の同意をおこないます。

支払い方法は口座振替申込用紙が届くため記載し返送、登録したメールアドレスに【CureApp SCへようこそ】と案内が来ます。 COチェッカーのテスターを含むStarter Packageが届くためアプリを処方するシステムが整い次第、診療に利用することができます。

CureAppの保険適用と患者の負担額

医療機関の禁煙外来にてニコチン依存症と診断された患者が医師にCureApp SCによる処方をすすめられた場合、患者は保険が適用でき、約3割負担などで本製品を利用できます。

ニコチン依存症の管理料に加えて、本品処方時に下記が保険に算定されます。

なお、従来の保険算定の①〜③に加えて、④が追加となります

①初診/再診料(診察毎)
②ニコチン依存症管理料(診察毎)
③薬剤料/処方箋料(処方毎)
+④ 導入加算/材料加算 2540点(処方時に一括)

3割負担の場合、一般の禁煙外来費用①〜③が約2万円とすると、CureApp SCの患者負担額は④と合わせて、2万7600円程度です。

まとめ

CureApp SCは、いつも身近にあるスマートフォンの特性を活かした治療アプリ®で、ニコチン依存症における患者の心理的依存にアプローチしていきます。

治療アプリ®は、診療以外の時間にも患者の禁煙継続のために医学的に正しい介入をおこない、パーソナライズされたメッセージを送って患者の考え方や行動を変容させて、正しい生活に導く治療です。医師は治療用アプリを処方することで、医薬品や医療機器では困難であった治療領域への介入が可能になります。

また、治療用アプリの可能性はそれだけではなく、常に患者さんの手元にある特徴を生かして既存の医薬品・医療機器のポテンシャルをさらに引き出すことで、より良い治療効果を生み出すことが期待されています。