歯周病と診断された…歯を失わないために必要なことを教えて!

公開日:2021/06/21  更新日:2021/06/25

歯を失う原因の第1位である歯周病。むし歯と違って自覚症状に乏しいため、かかっていることすら知らずに生活している人も多いといわれています。そんな、国民病ともいえる歯周病への正しい対処法を、「歯周病治療専門クリニックSPIDO」の辻先生に教えていただきました。

辻 翔太先生

監修歯科医師
辻 翔太(歯周病治療専門クリニックSPIDO 院長)

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大阪大学歯学部卒業。同大学附属病院で臨床経験を積んだ後に渡米し、歯周病、インプンラントの専門的な治療に従事。帰国後の2019年、大阪府大阪市に「歯周病治療専門クリニックSPIDO」開院。アメリカ歯周病学会認定歯周病専門医、アメリカ歯周病学会ボード認定歯周病専門医。歯周病に関する著書・寄稿多数。

なにはなくとも歯科医院でチェック

なにはなくとも歯科医院でチェック

編集部編集部

歯周病にかかると、歯を失うこともあるのですよね?

辻先生辻先生

はい。歯を支える顎の骨が溶けてしまうわけですから、やがて抜けてしまうでしょう。歯周病は自覚症状が出づらい病気なので、「見つかったときには、時すでに遅し」の傾向があります。したがって、個人的には、がんに近いような印象をもっています。

編集部編集部

歯を失わないためには、なにが必要でしょうか?

辻先生辻先生

定期的なメインテナンスで、歯周病の早期発見に努める」。これに尽きると思います。ただし現状は、むし歯や知覚過敏のような「痛みを伴う主訴」で来院され、そこで初めて歯周病に気付くケースがほとんどです。ですから、口内炎や違和感などなんでもいいので、まずは歯科医院の門をくぐっていただくことですね。

編集部編集部

歯周病は「治すことができない」と聞きます。

辻先生辻先生

自費診療を含めれば治療可能な病気ですが、健康保険診療の範囲だと難しい場合もあると思います。それ以上、病気の進行をとどめる程度の処置しかできない場合もあります。さらに、健康保険診療の立て付け上、「1つの歯ぐきにつき1カ所」以上検査するというルールになっています。世界的なスタンダードからしたら“1つの歯ぐきにつき6カ所”の検査が必要なので、見逃しを生じさせているのかもしれません。根本治療に関しては、保険か自費かの治療方法も含め、「医師による差」が生じやすい印象です。

編集部編集部

「治すことができない」ではなく、「そこまで手が回らない」ということですか?

辻先生辻先生

言い方の難しい部分ですが、当院のような「歯周病しか取り扱っていない専門歯科医院」が現時点で皆無であることは確かです。保険診療は低コストな反面、じっくり時間をかけて取り組めない側面があります。このような理由から、「医師による差」が大きくなってしまうのでしょう。

編集部編集部

ちなみに、初期か重篤かの境目って自分でわかりますか?

辻先生辻先生

素人による誤った判断が怖いので、ここは歯科医師に任せていただきたいところです。「自分は歯周病にかかっていない、かかるはずがない」という誤解ですら、頻繁に生じています。歯周病は“骨が溶ける病気”ですから、見た目からは判断しづらいはずです。自覚症状の有無に関係なく、「歯科医師に自分の歯と歯ぐきをみせる」ことが重要です。

歯周病が重篤化するほど治療費は高くなる

歯周病が重篤化するほど治療費は高くなる

編集部編集部

定期的なメインテナンスって、痛くないですか?

辻先生辻先生

ここでいう「メインテナンス」とは、治療後のことですよね。健康か、治療を経て健康な状態になったのであれば、痛くはありません。一方で、歯周病によって炎症が起きている患部に検査用の針などを当てられると、やはり痛みます。

編集部編集部

治療中の痛みはどうでしょうか?

辻先生辻先生

歯ぐきの奥までしっかり洗わないといけませんから、痛みが出ないように局部麻酔をして治療します。また、重篤なケースでは、歯ぐきを開けておこなう再生治療が必要になります。いずれにしても、痛みを感じないようにする局所麻酔を用いますので、ご安心ください。

編集部編集部

そのような場合に、保険は効くのでしょうか?

辻先生辻先生

最初におこなわなければいけない初期治療は保険の対象に含まれます。3割の自己負担として、おおむね1回2000円です。他方、歯周病の再生治療は、使う材料によって保険診療と自費診療に分かれます。一般に、重篤化すればするほど自費の可能性が高まるとお考えください。やはり、歯周病になる前の歯肉炎の段階で治療をはじめるべきでしょう。

編集部編集部

再生治療の方法は、どの歯科医院でも一緒ですか?

辻先生辻先生

まずは、再生治療を扱っているかどうかですね。扱っていたとしても、組織の再生に使う材料が、医師の選択により変わってくると思います。昔からの定番を重視するのか、臨床例こそ少ないものの最新の材料を選ぶのか、といった違いです。新しい材料のネックは、副作用・合併症などの長期的な観察が十分にはできていないことでしょう。

編集部編集部

歯科医院の選び方についてアドバイスがあれば教えてください。

辻先生辻先生

「写真や動画を撮っている歯科医院」を推奨します。もしかすると、ご自身の成果を発表するための準備かもしれません。「自らの治療内容を他人の目にさらせられる」覚悟があるとするなら、信頼してもいいのではないでしょうか。

最も身近にあった「必要なこと」

最も身近にあった「必要なこと」

編集部編集部

自宅でやるセルフメインテナンスの質も問われそうですね。

辻先生辻先生

いわゆる「染め出し液」を有効活用していただきたいですね。赤い液体で、口に含むと、歯の汚れのある部分が赤く反応します。ブラッシングがきちんとできているかどうかの客観的な判断材料になるでしょう。通販などでの入手が可能です。

編集部編集部

避けるべき「あるある」があったら、教えてください。

辻先生辻先生

歯磨きの際、やみくもにゴシゴシこすることでしょうか。ブラッシング圧が強すぎると、かえって歯ぐきを傷めつけかねません。歯ブラシを、ジャンケンのグーで握るのではなく、ペンのように3本の指でもち、適度な力で歯磨きをしてください。なお、歯磨き粉の種類は問いません。適切な歯磨きができているかどうかを重視します。

編集部編集部

逆に、取り入れた方がいい習慣はありますか?

辻先生辻先生

好ましい生活習慣の全てでしょうか。歯周病と生活習慣病は、大きく関わっています。バランスの良い食事、十分な睡眠、飲酒や喫煙習慣の見直しなど、良い生活習慣を心がけることがそのまま歯周病予防になると言ってもいいでしょう。

編集部編集部

最後に、読者へのメッセージがあれば。

辻先生辻先生

歯周病は、「生活習慣の不規則な方に多い」という印象があります。歯や歯ぐきだけに着目していても、防ぎきれないのではないでしょうか。ぜひ、専門的な知見を有する医師と、さまざまな観点から話し合ってみてください。それが、「歯を失わないために必要なこと」だと思います。

編集部まとめ

どうやら、歯周病と診断されてからできることは少なそうです。むしろ、「どれだけ早く、歯周病と診断されるか」が重要なのではないでしょうか。顎の骨が溶け出してからでは遅すぎます。1本でも多くの歯を守るためにも、「歯周病は誰もがかかる国民病」という意識で、予防に努めてください。仮にインプラントなどで補てつしようとしても、溶けた顎の骨では、「ヌカにクギ」となってしまいます。

歯が痛い症状についてもっと詳しく知りたい方は、こちらの記事を参照してください。

医院情報

歯周病治療専門クリニックSPIDO

歯周病治療専門クリニックSPIDO
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診療科目 歯周病・インプラント治療