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尿検査ってなにを調べているの? どんな病気がわかるの?

 更新日:2023/03/27
尿検査ってなにを調べているの? どんな病気がわかるの?

健康診断の際におこなわれることの多い「尿検査」。検査結果には、尿タンパクや尿潜血などのいろいろな項目がありますが、いったいどのようなことを調べているのでしょうか。検査結果からどんな病気がわかるのでしょう。「臨床検査技師」の川田さんに、尿検査について詳しく伺いました。

川田直樹さん

監修臨床検査技師
川田 直樹(一般財団法人慈山会医学研究所付属坪井病院 中央検査部生理検査科科長 臨床検査技師)

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昭和医療技術専門学校卒業後、千葉県の亀田総合病院で循環器を中心とした検査に携わる。その後、福島県の寿泉堂綜合病院に17年間勤務。2016年から呼吸器とがん専門の坪井病院に転職し、中央検査部の生理検査科で超音波検査や呼吸器検査を中心とした業務に携わる。同病院に、IP(間質性肺炎)センターが立ち上がり、県内外からの紹介などで急増傾向にある間質性肺炎の患者さんに対応できる知識と技術の向上を図るべく日々精進中。日本超音波医学会認定超音波検査士(循環器領域)、緊急臨床検査士、二級臨床検査士(呼吸生理学・循環生理学)、日本糖尿病療養指導士。

腎臓、膀胱、尿管、尿道の病気がわかる

腎臓、膀胱、尿管、尿道の病気がわかる

編集部編集部

尿検査では、なにを調べているのですか?

川田直樹さん川田さん

尿の成分から、病気の可能性を調べています。通常、体の中でいらなくなったものは、水分と一緒に尿として排泄されます。しかし、体に異常があると、本来排泄されるはずのものが排泄されなかったり、排泄されるべきでないものが排泄されたりすることがあるのです。

編集部編集部

どうやって調べるのでしょうか?

川田直樹さん川田さん

まずは試験紙を使った定性試験で、尿中の成分に異常があるかどうか調べます。尿タンパクや尿潜血が陽性になるとさらに尿沈渣試験をおこない、尿に沈殿した固形成分を調べていきます。その結果から病気の可能性を探っていきます。

編集部編集部

尿検査から、どのような病気がわかりますか?

川田直樹さん川田さん

腎臓や膀胱、尿管、尿道などの病気がわかります。ブドウ糖の排出により、糖尿病や肝臓の病気が発覚することもあります。検査で異常があった場合は、自覚症状がなくても早めに受診するようにしてください。症状がないからといって自己判断で放置してしまうと、病気が進行して重症化する危険性があります。

編集部編集部

放置すると特に危険な病気はなんですか?

川田直樹さん川田さん

ブドウ糖やタンパク質が陽性だと、糖尿病だけでなく、腎障害を合併している可能性があります。症状が出るまで放置してしまうと「腎不全」へと悪化して、人工透析が必要となる場合もあります。そのため、できるだけ早く、どのくらい進行しているか調べる必要があります。また、血尿からがんを疑う細胞が見つかることもあります。

前日のビタミンC摂取は注意

前日のビタミンC摂取は注意

編集部編集部

検査を受ける前に、注意するべき点はありますか?

川田直樹さん川田さん

前日のビタミン摂取には注意が必要です。ビタミンCの入ったサプリメントや薬、ドリンク類を摂取すると、潜血やブドウ糖が偽陰性となり、正しい検査結果がでないことがあります。また、ダイエットや激しい運動にも注意してください。誤ってケトン体が陽性と出てしまうことがあります。基本的には検査前だからといって無理をせず、普段通り過ごすのがいいでしょう。

編集部編集部

検査当日に気をつけることはありますか?

川田直樹さん川田さん

検査に提出する尿は、朝一番で出たものを採取しましょう。ただし、尿を採取するときには最初と最後の尿は、尿タンパク以外の混入物が含まれることがあるため入れないようにしてください。最低でも20~30mlは必要です。

編集部編集部

尿検査はどれくらいの頻度で受ければいいですか?

川田直樹さん川田さん

前年度に特に異常がなければ、年1回の健康診断の尿検査で大丈夫だと思います。ただし、明らかな血尿などが認められたときは、早めに医療機関へ受診してください。

普段から尿のセルフチェックを

普段から尿のセルフチェックを

編集部編集部

尿検査を受けた方がいい自覚症状はありますか?

川田直樹さん川田さん

尿をするときに痛みを感じたら、炎症を起こしている疑いがあります。早めの受診を心がけてください。また、尿が泡立ってなかなか消えない場合は、尿タンパクや尿糖が出ているかもしれません。糖尿病や腎臓病の可能性があるので、内科などで一度相談してみた方がいいかもしれませんね。

編集部編集部

尿からもいろいろな病気の可能性がわかるのですね。

川田直樹さん川田さん

普段から匂いや量、色など、尿のセルフチェックをする習慣をつけるといいと思います。変な匂いがした、量が多すぎる、少なすぎる、色が赤っぽいなどの違いを感じたら、医療機関を受診するようにしましょう。

編集部編集部

最後に、読者へのメッセージがあれば。

川田直樹さん川田さん

尿検査では腎臓や膀胱、糖尿病などの病気を、簡単に調べることができます。これらの病気は、明らかな自覚症状が出ている時点ですでに悪化していることも多く、重症化すると医療費も増加し、日常生活が困難になってしまうこともあります。早期発見して治療を開始することで、治癒したり進行を抑えられたりする可能性が高くなります。診断結果で「異常」と出たら、放置せず医療機関を受診するように心がけてください。

編集部まとめ

尿検査からは、腎臓や膀胱、尿管、尿道をはじめ、糖尿病などの病気の可能性を調べることができます。年に一度の検査はもちろんですが、普段から尿のセルフチェックをおこない、異常を感じたら早めに受診するように心がけましょう。

ダイエットに関する症状についてもっと詳しく知りたい方は、こちらの記事を参照してください。

この記事の監修臨床検査技師