飛蚊症ってどんな病気? 放置するとどうなるの?

公開日:2021/06/19  更新日:2021/06/25
飛蚊症ってどんな病気? 放置するとどうなるの?

視線の先に蚊が飛んでいるように見える「飛蚊症(ひぶんしょう)」。症状が出てすぐに消えることもあれば、ずっと続くケースもあります。誰にでもよく起こり得る症状で、放置しておいても問題なさそうですが、実際どうなのでしょうか。なにか大きな病気につながる可能性は考えられるのか。「西早稲田眼科」の寺井先生に、教えてもらいました。

寺井先生

監修医師
寺井 和都(西早稲田眼科 院長)

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防衛医科大学校医学科卒業。その後、アメリカの大学や眼科クリニックで経験を積む。2018年、東京都新宿区に「西早稲田眼科」を開院。患者さんの立場になり、適切な医療を提供する。医学博士。日本眼科学会認定眼科専門医。日本角膜学会、日本眼感染症学会、日本網膜硝子体学会、日本眼科手術学会の各会員。

網膜剥離の前兆かもしれないので放置しない

網膜剥離の前兆かもしれないので放置しない

編集部編集部

飛蚊症とは、どのような病気ですか?

寺井先生寺井先生

飛蚊症とは、実は病気の名前ではありません。実在しない黒い虫や糸くずのようなものが、飛んでいるように見える症状の名前です。典型的な飛蚊症は視線を動かした先にもそれらが見え、目をこすっても消えません。

編集部編集部

病気ではないということは、放置しても大丈夫なのでしょうか?

寺井先生寺井先生

飛蚊症は症状の名前であり、その症状を引き起こしている原因によって対処が変わります。まず、飛蚊症には「生理的な飛蚊症」と「病的な飛蚊症」の2種類があります。生理的な飛蚊症は、要するに治療の必要がない飛蚊症です。

編集部編集部

もう一方の「病的な飛蚊症」は?

寺井先生寺井先生

病的な飛蚊症は、治療が必要な飛蚊症です。自分では生理的な飛蚊症との違いは判断できません。飛蚊症に気づいたら、生理的な飛蚊症か病的な飛蚊症かをはっきりさせるために、放置せず眼科を受診することが望ましいです。

編集部編集部

病的な飛蚊症の場合、具体的にはどのような病気の可能性がありますか?

寺井先生寺井先生

眼球の内容物である硝子体というゼリー状の物質中に濁りや出血を生じる可能性がある病気であり、糖尿病網膜症網膜裂孔ぶどう膜炎などがあります。

生理的飛蚊症と病的飛蚊症は自分では区別できない

生理的飛蚊症と病的飛蚊症は自分では区別できない

編集部編集部

どのような状態になったら、病院へ行くべきでしょうか?

寺井先生寺井先生

自覚的に生理的な飛蚊症と病的な飛蚊症を区別することは困難です。原因によっては緊急性の高いものがありますので、飛蚊症を自覚したらできるだけ早く受診するのが望ましいと言えます。

編集部編集部

ひとまず症状が気になる人は、受診が間違いないと?

寺井先生寺井先生

そうですね。例えば、網膜剥離の前兆だった場合、放置すると手遅れになってしまいます。網膜剥離は痛みのようなはっきりした症状を伴わないので、初期の状態で気付くことは困難です。しかし、発見が早ければ早いほど治療は容易で結果も良好です。診察の結果、病的な飛蚊症が否定できれば、その後は安心して生活できますね。

編集部編集部

そもそも、飛蚊症が起こる原因は何ですか?

寺井先生寺井先生

硝子体中に不均一な部分が生じ、これが眼の中の光の通り道にかかることによります。生理的飛蚊症の原因も単一ではありませんが、頻度が高いものとして「後部硝子体剥離」があります。後部硝子体剥離は、加齢による生理的な変化として硝子体が収縮し、眼球の内張りである網膜から外れることです。後部硝子体剥離が起きると、外れた硝子体の膜が網膜の前方に浮いているような状態になり、この膜が不均一な状態を作り出して症状を引き起こします。一般的には治療の対象になりません。

編集部編集部

他方、病的な飛蚊症は?

寺井先生寺井先生

病的な飛蚊症は、病気による硝子体中の濁りが原因です。糖尿病網膜症や高血圧網膜症、外傷など様々な疾患が要因で起こる硝子体出血や、眼内に炎症が起きて炎症性の細胞などが硝子体中に発生することによる濁りなどが原因です。

生理的飛蚊症は治療しない、病的飛蚊症は原因に合わせた早期治療を

生理的飛蚊症は治療しない、病的飛蚊症は原因に合わせた早期治療を

編集部編集部

飛蚊症に対して、どのような治療をおこなうのでしょうか?

寺井先生寺井先生

病的な飛蚊症に関しては、原因が多数存在し、治療も原因によって異なるので一概には言えません。

編集部編集部

生理的な飛蚊症の場合はいかがでしょうか?

寺井先生寺井先生

加齢による生理的な飛蚊症の場合は、一般的には治療の対象ではありません。かつては手術によって後部硝子体剥離による飛蚊症の治療をしていた時代がありましたが、長期的には視神経が弱るということが判明し、現在は生理的な飛蚊症に対しての硝子体手術はされていません。あらゆる治療について言えることですが、メリットとデメリットを比較してデメリットが上回る場合、その治療はすべきではないと判断できます。このメリット、デメリットは流動的であり、現在でも一部の施設で後部硝子体剥離による飛蚊症をレーザーで治療しています。将来的には生理的飛蚊症に対しても積極的な治療が当然になるかもしれませんね。

編集部編集部

最後に、読者へのメッセージがあれば。

寺井先生寺井先生

もし飛蚊症が出現したら、まずは眼科受診を考慮してください。飛蚊症の原因は多岐にわたりますが、自己判断での鑑別はほぼ不可能です。「このような飛蚊症なら安心で、このような場合は危険」というものではありません。ほとんどの場合、生理的な飛蚊症で問題ないという結果になりますが、わずかながら緊急性の高い疾患が含まれています。この場合は発見が早ければ早いほど治療には有利なので、万が一の可能性を考慮するなら、可能な限り早めに受診するのが理想です。

編集部まとめ

飛蚊症は私たちが生活する中でよく起こる症状のため、軽く捉えがちですが、場合によっては網膜剥離などの深刻な病気の前兆でもあるようです。自分では生理的な飛蚊症なのか、病的な飛蚊症なのかの区別は難しいとのことです。決して自己判断で放置はせず、様子がおかしいと感じたらまずは受診することが大切ですね。

 

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