腰椎椎間板ヘルニアのリハビリの流れについて詳しく教えて!

公開日:2021/04/21  更新日:2021/04/30
腰椎椎間板ヘルニアのリハビリの流れについて詳しく教えて!

下半身の痺れや痛みを伴う「腰椎椎間板(ようついついかんばん)ヘルニア」になってしまったとき、いざ治そうと思ってリハビリに専念しようとしても、正しい方法が分からずに不安になる人も多いかと思います。今回は、実際に医療現場でリハビリに携わり、患者さんの痛みのケアを担う「理学療法士」の澤田さんに、腰椎椎間板ヘルニアのリハビリの流れについて詳しい話を伺いました。

澤田悠介

監修理学療法士
澤田 悠介(師勝整形外科リハビリテーション科 理学療法士)

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トライデントスポーツ医療看護専門学校卒業。春日井整形外科に就職、2016年からスポーツ障害リハビリテーション班のリーダーに就任。2020年4月から同法人の師勝整形外科に異動。臨床では腰椎椎間板ヘルニアを中心とした脊椎疾患、五十肩、変形性膝関節症など幅広い整形外科疾患の患者さんを多く担当。年2回の野球少年メディカルチェックや、豊田合成トレフェルサ(現・ウルフドッグ名古屋)メディカルサポートを担当、障害予防にも精力的に活動している。

腰椎椎間板ヘルニアとは何かを理解する

腰椎椎間板ヘルニアとは何かを理解する

編集部編集部

腰椎椎間板ヘルニアは、何が原因でなるのでしょうか?

澤田悠介澤田さん

腰の真ん中に手を当てた時に少し出っ張った骨があると思います。この骨を腰椎(ようつい)といい、腰椎と腰椎の間に「椎間板(ついかんばん)」と呼ばれる、衝撃を和らげるためのジェル状のクッションがあります。この椎間板に大きな負担がかかると、変形して一部が飛び出てしまい、神経を圧迫して腰椎椎間板ヘルニアが発症します。

編集部編集部

椎間板が飛び出るだなんて、想像するだけで痛そうですね。具体的に、どんな症状がでるのでしょうか?

澤田悠介澤田さん

よくある症状としては、腰からお尻、下半身に痛みや痺れが出ます。症状の出る範囲や強さは個人差が大きいですが、ひどい場合だと感覚がなくなったり、足の力が入らなくなったりすることもあります。

編集部編集部

どんな人が腰椎椎間板ヘルニアになりやすいのか、傾向はありますか?

澤田悠介澤田さん

日本整形外科学会作成の腰椎椎間板ヘルニアのガイドラインでは、女性よりも男性の方が2〜3倍なりやすく、20〜40歳代の発症が多いとされています。また、生活習慣も関係しており、タバコを1日10本以上吸うとヘルニアになる確率が約20%上がるというデータもあります。

腰椎椎間板ヘルニアのリハビリの流れ

腰椎椎間板ヘルニアのリハビリの流れ

編集部編集部

腰椎椎間板ヘルニアのリハビリは、どのようなことをするのでしょうか?

澤田悠介澤田さん

まずは、痛みの原因を把握するための検査をします。その結果を元に、リハビリ内容を組み立てていきます。リハビリの内容は、筋力トレーニングやストレッチ、腰に負担がかかりにくい動作練習など、その人の状態によって様々です。

編集部編集部

リハビリはどんな流れでおこなうのですか?

澤田悠介澤田さん

痛みが強い時期は、内服薬やブロック注射などで痛みに対する治療を最優先におこないます。その際、痛みの出ない範囲でストレッチや運動をおこない、日常生活レベルの維持に努めることも重要なポイントです。そして、痛みが落ち着いてきたら、筋力トレーニングや日常生活で使う動作の練習をおこない、椎間板に負担がかかりにくい身体作りを目指します。リハビリによって椎間板への負担が少なくなると、結果的に症状が改善されていきます。

編集部編集部

主に運動で改善するんですね。手術なしでも治るものなのでしょうか?

澤田悠介澤田さん

ガイドラインによると、手術に至る可能性は20~50%で幅があるとの報告があります。今までに腰椎椎間板ヘルニアと診断された人をたくさん担当してきましたが、個人的には多くの場合が手術なしでも改善していく印象があります。

編集部編集部

手術なしで治る場合も多いのですね。一方で、手術が必要な場合はどのような人ですか?

澤田悠介澤田さん

手術が必要かどうかは症状によって様々です。中には痛みが強く出て、入院後すぐに手術する人もいらっしゃいます。なので、腰に違和感を覚えたら、まずは医師に診断してもらい、その上でリハビリをおこなっていくのが理想的です。

腰椎椎間板ヘルニアの実際のリハビリ内容

腰椎椎間板ヘルニアの実際のリハビリ内容

編集部編集部

運動にもいろいろと種類がありますが、腰椎椎間板ヘルニアにはどんな運動が効果的なのでしょうか?

澤田悠介澤田さん

腰を「反らす」運動が効果的です。腰を反らすことにより、飛び出た椎間板が元の位置に戻ろうとします。この状態になると、椎間板に圧迫されていた神経が開放され、症状が改善することが多いようです。

編集部編集部

腰を反らすことが効果的なのですね。逆に腹筋運動などの腰を曲げる運動はどうなんでしょうか?

澤田悠介澤田さん

腰椎椎間板ヘルニアに腹筋運動などの腰を曲げる運動は、基本的にNGです。腰を曲げておこなう腹筋運動は椎間板に強い負荷がかかってしまうので、症状がより強くなる危険性があります。

編集部編集部

なるほど。予防や症状悪化を防ぐために、日常生活で気をつけた方がいいことはありますか?

澤田悠介澤田さん

先ほど説明したように、腰を曲げる動作はやめた方がいいですね。例えば、「長時間腰を丸めて座っている」、「物を拾うときに腰を曲げて拾う」といった動作は、負担がかかるので日常生活でも注意が必要です。

編集部編集部

そのほかに、気をつけた方がいいことは?

澤田悠介澤田さん

自己流のリハビリは注意が必要かと思います。同じヘルニアでも、人によって体に合う運動・合わない運動が異なり、体に合わない運動だと症状が悪化する可能性も考えられます。症状が改善しない人は自己流ではなく、医師や理学療法士といった専門家に状態を確認してもらうようにしましょう。

編集部まとめ

腰椎椎間板ヘルニアは、多くの人が手術なしで改善することには驚きでした。また、リハビリの流れだけでなく、リハビリ内容や日常生活での注意点なども覚えておきましょう。腰椎椎間板ヘルニアで悩んでいる人は、自分で治そうとするのはなく、まずは近くの病院の理学療法士に相談してみてはいかがでしょうか。