「再生医療」がしわ・たるみにも有効ってホント?

公開日:2021/04/30

最新の技術だけに、言葉としての認知が定まりきっていない印象を受ける「再生医療」。中には、こうした誤認幅を利用した「いかにも再生医療」が含まれているようです。そこで、「CLINIC EMMA the ginza」の田宮先生に、厚生労働省公認の再生医療について詳しく教えていただきました。

田宮 エリー先生

監修医師
田宮 エリー(CLINIC EMMA the ginza 院長)

プロフィールをもっと見る

京都府立医科大学医学部卒業。大手の皮膚科や美容皮膚科クリニックの勤務・院長就任を経た2019年、東京都中央区に「CLINIC EMMA the ginza」開院。「からだの中も外も、こころも、健やかに美しく」をモットーとし、スローエイジングケアの推進に努めている。日本皮膚科学会会員、日本食品安全協会認定「健康食品管理士」。

「きっかけづくり」なのか「細胞の再生」なのか

「きっかけづくり」なのか「細胞の再生」なのか

編集部編集部

最近、スキンケアの分野にも再生医療が登場してきましたよね?

田宮 エリー先生田宮先生

そうですね。一般には、「PRP療法」と呼ばれる血小板を使った再生治療が多いのではないでしょうか。血液の中に含まれる血小板は“傷口をふさぐ”ことで知られていますが、ほかにも、さまざまな働きをもっています。コラーゲンの生成、細胞増殖、血管の修復などなどですね。

編集部編集部

自分の血液を使うのですか?

田宮 エリー先生田宮先生

はい。ご自身の血液を遠心分離機にかけ、上述のような「成長因子」のみ抽出します。元は自分の血液ですから、拒絶反応やアレルギーを防げますし、比較的安全な治療法といえるでしょう。

編集部編集部

先生のクリニックでも扱っているのでしょうか?

田宮 エリー先生田宮先生

当院では、「脂肪由来間葉系幹細胞治療」をご提供しています。「幹細胞」という言葉を聞いたことがあると思うのですが、さまざまな細胞に分化する能力のあることで知られています。その直前に付く「間葉系」は、なにに分化していくかという“系統”だと思ってください。肌細胞の活性化は、この「間葉系」に含まれます。

編集部編集部

冒頭の「脂肪由来」は、自分の脂肪細胞のことですよね?

田宮 エリー先生田宮先生

そうです。ご自身の脂肪から「間葉系」の幹細胞を抽出して培養し、しみやたるみの目立つ部位に戻します。PRP療法の目的が「さまざまな命令を下す指揮官の生成」なのに対し、脂肪由来間葉系幹細胞治療の目的は「元となる細胞そのものを生成すること」です。単純に「皮膚が若返る」と考えていいのではないでしょうか。この後者の治療は、厚生労働省認可の第二種再生医療施設のみ、おこなうことができます。

古くなったスポンジが、自分の力でよみがえる

古くなったスポンジが、自分の力でよみがえる

編集部編集部

具体的に、幹細胞がどう作用するのでしょうか?

田宮 エリー先生田宮先生

肌細胞そのものの数が増えることと、それによってコラーゲンの生成が増強されることです。細胞の修復は、ダメージを受けている部分に集中する傾向があります。なにより、「自分の力でコラーゲンを増やせる」という点が大きいと感じています。

編集部編集部

コラーゲンが生成されると、どうなるのですか?

田宮 エリー先生田宮先生

お肌の内部にある「真皮」は、コラーゲンでできたスポンジのような構造をしています。このスポンジをつくる細胞が十分に働いてくれると、ハリのあるお肌を保てます。しわやたるみは、スポンジが薄くなってきた結果、生じるものと考えてください。

編集部編集部

目的がコラーゲンだとしたら、肌に「入る」化粧水でも同じですよね?

田宮 エリー先生田宮先生

広告で見かける「入る」ですが、注意して聞くと、「コラーゲンが入る」とは言っていません。コラーゲンの経皮吸収は、基本的にあり得ない話です。仮に注射などで注入するにしても、その効果は一時的ですよね。やはり、「自分の力でコラーゲンが増やせる」ことを、治療目的とすべきでしょう。

編集部編集部

幹細胞による再生治療は、真皮以外の効能もありますか?

田宮 エリー先生田宮先生

お肌の表面にある「表皮」のターンオーバーにも効果的です。表皮は真皮と異なり、もともとターンオーバーを繰り返しています。ただし、上に古い角質が乗っていると、新しい細胞が表面にでてきづらいのです。この生まれ変わる力を加速させられれば、若かった頃と同様のお肌が手に入れられるでしょう。

効き目の範囲や、未知な仕組みへの考え方

効き目の範囲や、未知な仕組みへの考え方

編集部編集部

「脂肪由来間葉系幹細胞治療」は、誰でも受けられるのですか?

田宮 エリー先生田宮先生

いいえ。糖尿病などの持病がある方に「禁忌」があり、承諾書に細かく記載しています。また、妊婦さんなど、「わざわざこの時期に治療を受けなくても」という方も、お断りすることがあります。

編集部編集部

効き目はどれくらい続きますか?

田宮 エリー先生田宮先生

私個人の見解としては、繰り返し施術することで、若さをずっと保っていられると信じています。再処置の目安としては、「数年おき」でしょうか。初回より効き目が薄れるということはないものの、すでに“若くなっている”ので、変化を実感しにくい点はあると思います。しかし、あくまで治療として見れば、一定ラインを維持できています。

編集部編集部

しわやたるみの治療で、「スレッド(糸)リフト」を使用した方法もありますよね?

田宮 エリー先生田宮先生

糸リフトによる治療を否定するつもりはありません。再生医療は体の根本に関わるので、「わかりづらい、怖い」と言う患者さんの心理も理解できます。ご自身で納得できる治療方法を選択してください。

編集部編集部

最後に、読者へのメッセージがあれば。

田宮 エリー先生田宮先生

再生医療は新しい治療方法なので、今後、進化し続けていくと思われます。それに応じて、インターネット上の情報は、次々と古くなっていくでしょう。ですから、最終的な判断は、“医師との会話”を通じておこなってください。アップデートされていない情報に惑わされることのないよう、お願いいたします。

編集部まとめ

再生医療にもいろいろな種類があり、まさに新時代の幕開けを迎えているのでしょう。今回ご紹介した「脂肪由来間葉系幹細胞治療」は、その中の一例です。特徴としては、誰もが思い描く再生治療のイメージに近いことです。ただし、現時点の話に過ぎず、さらに好ましくて安全な治療方法が登場する可能性はあります。なおのこと、「生きた情報」に接する必要があるのでしょう。時代や背景が固定される動画や記事は参考までとし、最前線の医師と相談してください。

医院情報

CLINIC EMMA the ginza

CLINIC EMMA the ginza
所在地 〒104‒0061 東京都中央区銀座4‒1 西銀座(NISHIGINZA)B1F
アクセス 東京メトロ丸ノ内線「銀座駅」 直結
有楽町線「銀座駅」 徒歩3分
診療科目 皮膚科、美容皮膚科、美容整形外科、婦人科