銀歯はよくないらしいけど、「金歯」と「セラミック」ならどっちがいいの?

公開日:2021/02/17

最近、あまり見られなくなってきたのが、「金歯を入れている人」です。おそらく、見た目の問題が大きいため、歯と似た色合いの素材を選んでいるのでしょう。ところが、「さかの歯科」の坂野先生は、「機能だけで考えるなら金歯を選ぶ」と言います。金とセラミック、それぞれどんな特徴があるのでしょう。改めて解説していただきました。

坂野先生

監修歯科医師
坂野 泰造(さかの歯科 院長)

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徳島大学歯学部卒業。徳島大学歯学部第一補綴科(現・口腔顎顔面補綴学分野)入局、歯科医院勤務を経た1997年、京都府京都市に「さかの歯科」開院。大学病院での経験を生かし、インプラント治療をはじめとした地域医療に尽くしている。日本補綴歯科学会、日本口腔インプラント学会、日本歯周病学会、国際審美学会の各会員。

金属素材を一通りおさらい

金属素材を一通りおさらい

編集部編集部

時折、銀歯の弊害を耳にすることがあります。

坂野先生坂野先生

個人差はあるものの、銀歯によって金属アレルギーを起こす方がいらっしゃいます。また、銀歯から溶け出す成分が「歯ぐきに黒い着色を起こす」という報告もあります。削った歯の量が多く、銀歯を歯ぐき近くまでかぶせている方に顕著です。

編集部編集部

銀歯と比べ、あまり「金歯」は騒がれていないですよね?

坂野先生坂野先生

金は、ヒトの体にほとんど影響を与えず、「生体との親和性が高い」といわれています。金粉入りの食べ物やお酒なども見かけますよね。加えて、金は柔らかい素材のため、使っているうちに対抗歯との違和感がなくなり、なじんでいきます。歯科医師として、審美性を除いて選ぶとしたら、「金が第一選択肢」ですね。

編集部編集部

ほかの金属素材の選択肢はどうでしょう?

坂野先生坂野先生

2020年6月から、歯科用チタンが保険適用されるようになりました。チタンの親和性も高いのですが、素材としては“ものすごく硬く”、対抗歯を痛めかねません。かみ合わせなどの調整も相当に難しいでしょう。まだ、全体としての症例数が少ない段階なので、私個人としては、もう少し様子を見たいと思っています。

編集部編集部

金属のネックは、どうしても「見た目」ですよね?

坂野先生坂野先生

奥歯ならまだしも、前歯の金属は目立ちます。前歯の見た目を優先し、どうしても保険の範囲で済ませたいのなら、「白いプラスチック樹脂」の一択になります。ただし、素材の耐久性はあまりよくありません。欠けや割れの可能性を考慮しておいてください。

金とセラミック、自費診療同士の素材比較

金とセラミック、自費診療同士の素材比較

編集部編集部

自費でも構わない場合、金歯と並んだ治療選択肢にセラミック素材がありますよね。

坂野先生坂野先生

そうですね。同じセラミックにもいろいろな素材があり、患者さんのニーズや希望を反映しやすいです。また、「CAD/CAM」など、一部の歯に限定して保険が使えるセラミック素材も登場しています。

編集部編集部

そこで本題です。金歯とセラミック素材のどちらがいいのでしょう?

坂野先生坂野先生

機能だけで考えると、「金は100点、セラミックは95点」といったところでしょうか。ただし、場所による見た目の問題が発生しますよね。個人的にですが、最も奥かその1本手前で、なおかつ、見えにくい上の奥歯なら、金を選択します。

編集部編集部

奥歯の一部を除けば、セラミック素材に分があると?

坂野先生坂野先生

患者さんのお考えや費用のこともありますし、一元的に「コレ」とは断言できないのですが、あえて総合評価をするなら、「セラミック素材に分がある」といえるのでしょうか。第一、前歯から小臼歯にかけて「金歯を入れる」ことは、現実的にありえないですよね。ただし、セラミックには「割れる可能性」が常につきまといます。金は柔らかくて曲がるので、割れません。

編集部編集部

一元論では語れないということですね。

坂野先生坂野先生

金にしてもセラミックにしても、それぞれ長所がありますので、話し合って決めていきたいですね。どちらにしても、かなり高レベルな次元で性能を問われています。まさに「100点と95点」の比較です。捕捉ですが、「かむ力」は素材と関係なく、かみ合わせの調整で出していきます。

治療済みの銀歯や銀の詰め物はどうするのか

治療済みの銀歯や銀の詰め物はどうするのか

編集部編集部

新規の治療は参考になりましたが、すでに施術済みの場合、どうしたらいいでしょう?

坂野先生坂野先生

「すでに処置した銀歯や銀の詰め物を、ほかの素材に取り換えてほしい」というご相談・ご依頼は、むしろ推奨いたします。長い時間がたっている施術跡ほど、劣化しているかもしれません。詰め物などに隙間ができて、奥にむし歯などができていても不思議ではないです。

編集部編集部

再処置の場合、保険は適用できるのでしょうか?

坂野先生坂野先生

不具合が見られたら、保険の適用が可能です。ただし、自費素材は、どうやったって自費になります。保険診療が希望ということなら、銀歯を銀歯で再処置することはないと思うので、「白いプラスチック樹脂」か「一部保険適用のCAD/CAM」ですね。

編集部編集部

ちなみに、むし歯や歯周病の定期メインテナンスで、詰め物などの様子も確認してくれるのでしょうか?

坂野先生坂野先生

もちろんです。また、歯の隙間に食べ物が挟まりやすくなってきたとか、歯ぐきが下がってきたなど、自覚を伴うこともあります。遠慮なくご相談ください。

編集部編集部

まずは、メインテナンスからはじめるべきでしょうか?

坂野先生坂野先生

再処置単発のご依頼でも、全く構いません。歯科医師が診れば、初診の方でも、歯の不具合はわかります。医師に気を遣う必要はありませんので、日頃のお悩みやご希望を、ストレートにお申し付けください。それに対処するのが医師の役割です。

編集部編集部

最後に、読者へのメッセージがあれば。

坂野先生坂野先生

できれば、過去の治療歴や自覚の有無を、時系列でメモしてきていただきたいですね。来院してからだと記憶に頼ることになりますので、誤差が生じるかもしれません。また、医師の問診に対し、正直に「わからない」と答えることも、重要な診断材料となります。とにかく「遠慮は無用」ということに尽きるでしょう。

編集部まとめ

機能としてはわずかに「金」が優性、ただし、見た目も含めた総合評価となると「セラミック」に軍配。結論としてはそうなりそうですが、やはり、大ざっぱな総論に過ぎません。大切なのは使う側の納得・理解でしょうから、医師任せにせず、話しあいながらご自身で決断しましょう。

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さかの歯科

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診療科目 歯科