インプラント治療の「抜歯即時」と「即時荷重」ってどう違うの?

公開日:2021/02/13  更新日:2021/02/12

インプラント治療で耳にする、「抜歯即時(ばっしそくじ)」と「即時荷重(そくじかじゅう)」ですが、一体どのように違うのでしょうか。即時という言葉のイメージから、1日で治療が完了するのかも気になるところです。従来のインプラント治療に加え、「抜歯即時」と「即時荷重」の治療のメリットやデメリット、治療の流れについて、「高木デンタルクリニック」の高木先生に聞いてきました。

高木先生

監修歯科医師
高木 有哉(高木デンタルクリニック 院長)

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日本大学歯学部卒業。日本大学大学院歯学研究科歯科補綴学講座卒業。東京都新宿区の川口歯科診療所に勤務。2019年、東京都文京区の「高木デンタルクリニック」院長に就任。一般歯科治療から口腔外科、矯正歯科まで、幅広く診療しており、真心をこめた丁寧な対応を心がけている。歯学博士。ノーベルバイオケア専門医、インビザライン認定医。

最初の手術で歯をつくるかどうかが違い

最初の手術で歯をつくるかどうかが違い

編集部編集部

従来のインプラント治療は、どのような流れでおこなうのでしょうか?

高木先生高木先生

まず抜歯をして、顎の骨の回復を数か月間待ってからインプラントを埋め込みます。しかしこの間、一時的に歯がない状態になります。インプラント手術までの期間は、食事などの日常生活がなにかと不便になりがちです。また、治療が完全に終了するまでに何度も通院するので、それなりの時間を必要とします。

編集部編集部

その一方で、インプラント治療には、「抜歯即時」と「即時荷重」があると聞いたのですが、それぞれどういうものなのですか?

高木先生高木先生

「抜歯即時」は、抜歯してすぐにインプラントを骨に埋め込み、少し期間を空けて人工歯をつくる治療法です。抜歯した当日にインプラントを埋入するため、従来のインプラントよりも、治療期間を短縮することが可能です。「即時荷重」は、歯を抜いてすぐにインプラントを埋めこむところまでは、抜歯即時と一緒です。ただし、異なるのは期間を開けずに、歯も治療当日につくってしまうという点です。

編集部編集部

なるほど。抜歯即時の場合は、抜歯をした日はインプラントを埋めこむだけで、歯は別の日につくるのですね。

高木先生高木先生

その通りです。もちろん、すべての場合で治療ができるわけではないですけどね。即時荷重も含めて、歯が割れたり折れたりしたときに感染症をおこしていない、そして骨に異常がない状態でなければ手術できません。

編集部編集部

抜歯即時は、どのような流れで治療を進めるのでしょうか?

高木先生高木先生

まず、骨に人工歯根を埋めこんだら、歯ぐきの下に入れた状態で一度閉じます。きちんと骨に癒着するまで、上の歯で4〜5か月、下の歯で5〜6か月くらい待ちます。この安全期間を確保した後に再度手術をおこない、連結部分を取りつけ、その上に人工の歯を装着します。人工歯根が癒着してからの方が、手術の成功率は上がるため、ある程度期間を空けています。

歯が外れるリスクが高い即時荷重

歯が外れるリスクが高い即時荷重

編集部編集部

抜歯即時でも、治療に時間がかかってしまうのですね。即時荷重の場合だと、1回で済みそうですが?

高木先生高木先生

たしかに、即時荷重はインプラントの埋めこみから、歯をつくる治療までを、1日で終わらせることができます。さらに、手術も1回で済みますしね。しかし、個人的にはあまり即時荷重はおすすめしません。

編集部編集部

1日で治療が終わるのはメリットのように思えますが、どうしておすすめできないのでしょうか?

高木先生高木先生

通常、人工歯根が骨に癒着するまでには、3〜6か月ほどかかります。つまり、まだ歯根が安定していない状態で上に歯をつくると、非常に不安定で外れることが多いのです。固いものを噛む、ぶつける、歯ぎしりなど、不意なことで簡単に外れてしまいます。また、感染症にかかるリスクも、抜歯即時より高まります。

編集部編集部

それでも、即時荷重を選択する患者さんはいますか?

高木先生高木先生

そうですね。例えば、前歯を欠損した人は、見た目のことを考えて即時荷重を選択する場合があります。また、なにかしらの事情で、「今月中には歯がないとダメだ」という方もいらっしゃいますね。こうした、患者さんにとって緊急性の高い事情がある場合、即時荷重を選ぶ傾向にあります。ただ、即時荷重は、もし歯が外れてしまうと手術も最初からやり直しになってしまうので、やはりおすすめはできません。

即時荷重はアフターケアも大変

即時荷重はアフターケアも大変

編集部編集部

手術後のアフターケアについても教えてください。

高木先生高木先生

定期的な歯科医院でもメインテナンスが必要になります。抜歯即時の場合、1回目の手術後は、2回目の手術までの1か月に一度の来院で問題ないです。ただ、即時荷重の場合だと、1日で治療が完了しても、その後は1週間に一度のメインテナンスが数か月続きます。結局、トータルの通院回数でみると、抜歯即時のほうが少ないんですよね。

編集部編集部

なるほど。即時荷重での治療は、一度に終わっても経過観察で時間がかかるのですね。

高木先生高木先生

そうですね。歯が外れないようにしたり、感染症をおこさないようにしたり、様々な面での注意が必要です。実際に人工歯が取れてしまった場合、次は抜歯即時を選択する人がほとんどです。

編集部編集部

最後に、読者へのメッセージがあれば。

高木先生高木先生

当院では、すべてのメリットとデメリットを開示して、どちらがいいかを選んでいただいています。これを開示せずにドクターがいいと思う治療法をおこなうと、後にトラブルがおきやすいですからね。大切なのは患者さんが結果的になにを望んでいるかどうかです。それを叶えられる方法を提示することが、一番重要だと思っています。

編集部まとめ

抜歯即時は人工歯根が癒着してから人工歯をつくる、即時荷重は1日で人工歯根と人工歯の手術をおこなう治療法でした。1日で終わると聞くと、負担が軽そうですが、実際はその後のトラブルやメインテナンスなど、かえって手間になるケースも多いようです。治療の回数だけで安易に判断するのは、危険かもしれません。医師の説明を十分に聞いた上で、自分に合った治療方法を選択するようにしましょう。

医院情報

高木デンタルクリニック

高木デンタルクリニック
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診療科目 歯科