血尿が出たらすぐに病院へ行くべき? 泌尿器科医が回答

公開日:2020/12/07

血尿は、いわば「体内からの出血」です。漠然とした不安を感じるものの、痛みなどがないと、ついついスルーしてしまうもの。健康診断の潜血検査で陽性反応が出た場合も同様で、なかなか“緊急性”を感じません。そこで、「次に出たら、また考えよう」が通じる話なのかどうか、「ぐみょうじ泌尿器科」の速水先生を取材しました。

速水先生

監修医師
速水 悠太郎(ぐみょうじ泌尿器科 院長)

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関西医科大学医学部卒業。関西医科大学附属枚方病院(現・関西医科大学附属病院)、大阪府済生会野江病院などの勤務を経た2020年、神奈川県横浜市に「ぐみょうじ泌尿器科」開院。幅広い知識と経験から、最適な医療をおこなうよう心掛けている。日本泌尿器科学会認定専門医、日本がん治療認定医機構がん治療認定医。日本排尿機能学会、日本泌尿器腫瘍学会、日本泌尿器内視鏡学会、日本腎泌尿器疾患予防医学研究会の各会員。

色の濃い尿も含めて、疑わしくは検査する

老化と違って「回復が望める」症候群

編集部編集部

血尿を無視するって、好ましくはないですよね?

速水先生速水先生

ありえないですね。日本泌尿器科学会によると、ぼうこうがんの85%は、患者さんの見た目の自覚を契機に発覚するそうです。がんに限らず、健康なヒトは血尿を出しません。

編集部編集部

血尿といっても、量によっては「色」で見分けられない気がします。

速水先生速水先生

そうですね。また、出血と無関係な“濃い色”の尿が出ることも頻繁に起こります。そうした場合も含めて、「気になったら受診」していただいて構いません。例え“1回きり”でも、調べてみる価値があるでしょう。がんの可能性を残したままにすることは、好ましくありません。

編集部編集部

色の濃いほうが、より異常なのでしょうか?

速水先生速水先生

そうとは限りません。量を問わず、血が混じっていた時点で異常です。その意味で、色の自覚がなく、健康診断の尿検査などで「尿潜血」を指摘された場合でも、精密検査だけは受けてください。

編集部編集部

自覚のない「尿潜血」って、どれくらい“危ない”ことなんですか?

速水先生速水先生

おおむね95%は、異常が見られない生理的な現象です。しかし、裏を返せば、5%はなにかしらの疾患が隠れていることになります。20人に1人ということになると、スクリーニングとしては“高い”割合と言えるでしょう。

血尿から疑われる関連疾患と診断方法

血尿から疑われる関連疾患と診断方法

編集部編集部

血尿が出たとき、考えられる病気は?

速水先生速水先生

大きく3つあります。①感染症か、②結石か、③悪性腫瘍ですね。まずは感染症を疑い、検尿の中の菌や白血球の量などで鑑別します。続く結石は、エコー検査で判明できます。これらに該当しないとなると、いよいよがんが疑われますので、精密検査をしていきます。

編集部編集部

各疾患を順に説明してください。まずは感染症からお願いします。

速水先生速水先生

具体的な病名としては、ぼうこう炎腎盂腎炎(じんうじんえん)前立腺炎などです。菌による炎症で組織が傷つき、出血しているものと考えられます。なお、菌の繁殖を放置していると、全身に菌が回る菌血症や敗血症を引き起こしかねません。

編集部編集部

続いて結石です。

速水先生速水先生

どの場所で結石ができたかによって、腎臓結石ぼうこう結石尿管結石にわかれます。出血はいずれの結石でも起こりえますが、激しい痛みを伴うのは尿管結石です。結石は“育つ”こともありますから、やはり、早めの受診が望まれます。

編集部編集部

最後は、悪性腫瘍ですね?

速水先生速水先生

ぼうこうがんや前立腺がんの初期では、痛みや発熱を伴わないことが多いのです。「どこもおかしくないのに血尿が出る」のは、ぼうこうがんの典型症状といえるでしょう。普通に“暮らせてしまう”ため、受診しない限り、悪化していきます。

それぞれの治療方法

それぞれの治療方法

編集部編集部

続けて、各治療方法についてもお願いします。

速水先生速水先生

感染症の原因は菌なので、抗生剤が有効です。血尿に結びつくウイルス性の感染症もありますが、レアケースですね。なお、尿道が短く、ぼうこう炎になりやすい女性の場合、性交渉を通じてパートナーから継続的に感染させられていると、治療しても治りづらいので注意しましょう。場合によっては、夫婦やカップルで一緒にご相談ください。

編集部編集部

結石は、衝撃波などで砕くんですよね?

速水先生速水先生

医師の判断にもよりますが、X線などの画像診断で、結石の直径が「5mm以下」とわかれば、自然な排出を待ちます。この場合、十分な水分摂取と運動による刺激が効果的です。直径が「1cm以上」なら、衝撃波での破壊を試みたり、内視鏡で摘出したりします。

編集部編集部

やはり怖いのはがんです。

速水先生速水先生

尿路系のがんは放射線療法が効きにくいことが多く、ほとんどの場合、手術で治療していきます。手術ができないほどの大きながんに対しては、抗がん剤を用います。前立腺がんに限っていうと、悪性度によっては、ただちに治療をしないケースもあります。増殖や転移を起こしにくい前立腺がんもあるからですね。

編集部編集部

最後に、読者へのメッセージがあれば。

速水先生速水先生

出血は「異常を知らせるサイン」です。とくに体内の出血は、なにが起きているのかわかりづらいですから、すぐにでも受診してください。その一歩が、重篤化を防ぎます。

編集部まとめ

尿に血が混じっているとわかったら、早々に検査をしてもらいましょう。血の量、つまり色の濃さは「問わない」ということでした。考えられる疾患は、感染症か結石か、泌尿器のがんです。「まさか、もしかして」ではなく、すでにそのサインが血尿として出ていることに気づきましょう。

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ぐみょうじ泌尿器科

ぐみょうじ泌尿器科
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診療科目 泌尿器科