レーシック手術を受けた後に白内障手術ができないってホント?

公開日:2020/07/09

日本でも既に一般化したレーシック手術。しかし、一方でレーシック手術が、将来眼のトラブルの要因になるのではないかと、不安に感じている人も多いのではないでしょうか? 今回は、その中でも、以前から噂が絶えないレーシック手術と白内障との関係性について、サピアタワーアイクリニック東京の北澤先生に話を伺いました。

北澤 世志博

監修医師
北澤 世志博(サピアタワーアイクリニック東京 執刀責任者)

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福井大学医学部医学科卒業後、東京医科歯科大学医学部眼科に入局。その後、医療法人ひかり会パーク病院眼科部長や東京医科大学医学部眼科客員講師を歴任後、2019年にサピアタワーアイクリニック東京の執刀責任者に就任。これまで5万件以上のレーシックなどのレーザー屈折矯正手術、8千件以上のICLなどの有水晶体眼内レンズ挿入術をおこなう。日本眼科手術学会の理事を務め、日本眼科学会認定専門医、ICLエキスパートインストラクターなどの資格を有する。

レーシック手術ってどんなもの?

レーシック手術ってどんなもの?

編集部編集部

まず、レーシック手術とはどのようなものなのでしょうか。

北澤先生北澤先生

レーシック手術とは、近視・遠視や乱視を治療する屈折矯正手術のことをいいます。角膜の表面に、フラップとよばれる蓋のような薄い膜をつくり、フラップをめくってから角膜にレーザーを照射し、角膜の形状を変えることによって、屈折率を調整して視力を回復させます。

編集部編集部

レーシックにはどのようなメリットがあるのでしょうか?

北澤先生北澤先生

視力が回復するため、眼鏡やコンタクトレンズに煩わしさを感じている人にとっては、大きなメリットになると思います。また、手術時間が約10分程度と非常に短時間で、しかも術中や術後の痛みが少なく視力の回復も早いのが特徴です。日本では2000年に厚生労働省から認可がおりてから急速に普及して、現在に至っています。

編集部編集部

一方で、レーシックには、どのようなデメリットがあるのでしょうか?

北澤先生北澤先生

術後に出る症状で多いのが、ドライアイです。これは、レーザーを照射する前に、フラップを作製するため、角膜の知覚神経が切断されるためです。特に術後の半年から1年くらいはドライアイの症状が出る可能性が高いということは知っておくと良いでしょう。
また、矯正視力が低下してしまうケースもあります。特に強度近視で角膜切除量が大きい方の場合、レーザーの効果が落ちてくると徐々に視力が低下してきます。再手術によって補正することも可能ですが、レーザーで削った角膜は元に戻すことはできないので、残っている角膜の厚みがなければ、再手術ができないということもあります。また稀ですが、術後に薄くなった角膜が前方に突出してくるケースがあるんです。この合併症は角膜拡張症と言いますが、眼鏡でも見えなくなってしまうのでハードコンタクトレンズで視力を矯正するしか方法がなくなってしまいます。
このほか「ハロー・グレア」と言って、夜間に明かりの周囲に光の輪できるように滲んで見えたり、まぶしく感じたりする症状が出ることがあります。これは角膜の切除径や深さ、瞳孔の大きさなどが関係しますので、全ての人に当てはまる訳ではありませんが、この症状も多く見られるので注意が必要です。しかも、この症状は改善するものではなく慣れを待つしかないので厄介です。
そして、もう一つ重要なのが、将来、白内障になった時に、通常の手術に比べて難易度が上がるという点です。

編集部編集部

レーシックを受けると、どのように白内障に影響するのでしょうか?

北澤先生北澤先生

白内障とは、レンズの役割をしている水晶体が濁ってしまう病気ですので、角膜を手術するレーシックとは、根本的に部位が異なります。レーシックを受けると白内障になりやすくなるという明確な根拠はありませんが、レーシックを受けると眼鏡やコンタクトレンズも装用しなくなってしまうので、紫外線に対する暴露が増えて白内障の進行を早めるのではないかとも言われています。
また、過去にレーシック手術した方が白内障手術を受けて、思ったように視力が回復しなかったという例も見受けられます。レーシック手術と白内障の進行に直接的な関係性があるかどうかは定かではありませんが、レーシック手術には光学特性を大きく変えてしまうというデメリットがあることは認識しておいた方が良いと思います。

レーシックと白内障。知っておきたい2つの手術の関係性

レーシックと白内障、知っておきたい2つの手術の関係性

編集部編集部

では、レーシック手術を受けたら、白内障手術は受けない方が良いのでしょうか?

北澤先生北澤先生

いえ、そういうわけではありません。レーシック手術を受けた方が、白内障手術を受けて、視力を回復するケースは沢山あります。ただし、過去にレーシック手術を受けた方が白内障手術をする場合、通常の白内障手術に比べると、難易度が上がるため、注意が必要になるということです。

編集部編集部

どのような注意が必要なのでしょうか?

北澤先生北澤先生

白内障の手術では、水晶体の濁りを取り除いた上で、「眼内レンズ」と呼ばれる人工のレンズを挿入します。白内障手術の手技自体はレーシックを受けていない方もレーシックを受けた方も全く同じですが、挿入する眼内レンズは、その人の眼のカーブや眼の長さ状態に応じて、度数計算したものを使用します。レーシックを受けた方は、角膜の形状に変化が加えられているため、眼内レンズの度数がずれてしまい白内障手術後にねらい通りに視力が戻らないケースが生じる事例があります。近年、レーシック術後の白内障手術用の計算式が考案され術後の度数ずれも改善してきていますが、やはりレーシックを受けていない人よりは精度が落ちます。

編集部編集部

視力が戻らない場合、どのように対処するのでしょうか?

北澤先生北澤先生

眼鏡をかけて矯正するか、それが難しい場合は、再手術による眼内レンズの交換または、レーシックの再手術をする場合もあります。

編集部編集部

そのようなリスクを回避するためにも、レーシック手術を受けた後に白内障手術をする際に、注意すべき点があれば教えてください。

北澤先生北澤先生

まずは、過去にレーシック手術を受けたことを必ず医師に伝えてください。その上で、レーシック手術前の自分の角膜状態や、レーシック手術時の情報は大切に保管し、白内障手術の際には必ず提示するようにしてください。最近の眼内レンズ度数計算式の精度は上がっていますが、そもそも、そのような測定器を備えている医院は決して多くはないのが現状です。まずは、術後のリスクを抑えるためにも、過去の情報はしっかりと提示し、適切な手術ができる医院を紹介してもらうと良いでしょう。また、白内障手術の経験が多く、かつレーシック、ICLなどの屈折矯正手術の経験も多く持ち合わせている医師が執刀している眼科病院やクリニックを選ぶと良いでしょう。

レーシック手術をする際の医院の選び方

レーシック手術をする際の医院の選び方

編集部編集部

では、次にレーシック手術をする医院を選ぶポイントを教えてください。レーシック手術は医院によって費用が異なりますが、費用面を基準にして医院を選ぶべきなのでしょうか?

北澤先生北澤先生

レーシックは、保険適用外のため、医院によって費用にばらつきがあります。たしかに費用は医院選びの大切なポイントかもしれませんが、生涯に渡り影響を及ぼす手術ですので、費用だけで選ぶのはやはりリスクが高いと言わざるを得ません。

編集部編集部

では、何を基準に医院を選べば良いでしょうか?

北澤先生北澤先生

手術の成否は、適応検査にかかっていると言っても過言ではありません。眼の状態は患者によってバラバラですので、あらゆる角度から眼の状態を把握してくれる医院を選ぶと良いでしょう。また、診察時に分からない事があったら、細かく質問することをオススメします。眼を手術するというのは、誰でも不安なものです。その不安を解消するためにも、質問に対して、親身になって答えてくれるかどうかは非常に重要なポイントだと思います。特に、術後のデメリットやリスクについての説明をしっかり聞いて、その上で手術をおこなうかを決めてもらいたいです。加えて、過去にレーシック手術をした方が周りにいれば、話を聞いてみるのも良いでしょう。

編集部まとめ

レーシック手術と白内障手術は、同じ眼でも手術の対象となる部位が異なるため、レーシック手術が白内障手術に直接的な影響を与えている訳ではないようです。しかし、一方で、レーシック手術は、角膜の形状に変化を与えるため、デメリットやリスクもあることがわかりました。必要以上に将来に不安を感じることはないかもしれませんが、将来白内障になるリスクをしっかりと加味し、信頼できる医師に相談してレーシック手術をおこなうかどうかを決めていくと良いのではないでしょうか。

医院情報

サピアタワーアイクリニック東京

サピアタワーアイクリニック東京
所在地 〒100-0005 東京都千代田区丸の内1丁目7番12号 サピアタワー 7階
アクセス JR線「東京駅」八重洲北口より日本橋口方面に徒歩3分
東京メトロ東西線「大手町駅」(B7出口直結)徒歩1分
診療科目 眼科・ICL手術・レーザー白内障手術