【チチガ】ワキガの臭いがほかの部位からも出る原因や治療法を医師が解説

まず、ワキガの原因について説明します。ワキガは腋臭症（えきしゅうしょう）と呼ばれる病気で、原因となる臭いは、皮膚の中のアポクリン腺から出る汗にあります。汗自体は無臭ですが、肌表面の細菌と触れることで強い臭いを発するのです。このアポクリン腺は腋だけでなく、様々な場所に存在しています。

その通り。アポクリン腺は耳、乳輪、外陰部にもあります。耳からの臭いを感じることはほとんどありませんが、乳輪や外陰部からの臭いに悩んで相談に来る人は多くいらっしゃいます。乳輪からの臭いを「チチガ」、外陰部からの臭いを「すそワキガ」と呼びます。ちなみに、腋臭症は、「アポクリン腺から分泌される汗が原因で強い臭いを発する体質」を指すので、ワキガ同様、チチガやすそワキガも腋臭症という病気になります。

必ずしもそうとは限りませんが、ワキガの症状がある方はアポクリン腺が多いため、チチガやすそワキガが出やすい傾向にあります。基本的に臭いのレベルは、腋の方が強いと思います。乳輪や外陰部に比べて、腋の方が汗をかきやすいですし、アポクリン腺も多いのです。そのため腋ほどの臭いはしないかもしれません。

そうですね。ワキガの手術後に、他の部分も気になると相談に来る人は多くいらっしゃいます。アポクリン腺はホルモンバランスに左右されるため、基本的には第二次性徴期以降の小学校高学年から発症します。ただ、このときに発症しなくても、ホルモンバランスの影響を受けて、出産後にチチガになる女性もいます。

ワキガと同じく、耳垢が湿っている人はチチガやすそワキガの可能性があります。チチガは乳輪というよりは、胸に汗をかくと臭いを感じる方が多く、女性だと下着が黄ばむのを疑問に思い、チチガかもしれないと気づく人もいます。すそワキガはおりものや生理の影響で発する臭いもあるので、自分では気づきにくいと思います。

心配な場合は、膣の部分を避けてガーゼを恥丘部に1日あてて過ごしてみてください。そのガーゼからワキガ特有の臭いがすれば、すそワキガと診断されます。

ワキガと同じく、手術で汗腺を取り除く方法や、ボツリヌス菌を注入し発汗を抑えるボツリヌス療法など、様々にありますが、私のおすすめはミラドライで治療することです。ミラドライは電子レンジと同じマイクロ波を使った治療で、機器を患部に当て皮下脂肪の中にあるアポクリン腺を焼く方法です。肌を切ることなく、臭いの原因となる中の組織だけを除去することができます。

やはり「切除しない」というのは大きいですね。切らずに治療したいという気持ちは腋も同じかもしれませんが、乳輪や外陰部は、腋よりももっとデリケートな部分です。外陰部は手術をするとガーゼをつける必要があるので、お風呂にも入れず日常生活に支障がでますが、ミラドライは手術日からシャワーも浴びることができます。

施術前にきちんと麻酔を行うので、痛みはほとんどありません。手術と異なり、切らないという面でも、術後の痛みは格段に少ないと思いますよ。ワキガと同じように、チチガもすそワキガも治療できる症状です。あまり気に病んでいると心身に良くないので、一度相談してみると気持ちも楽になると思いますよ。