【漫画付き】大人になってから初めてぜんそくを発症することってあるの?

公開日:2020/11/05
【漫画付き】大人になってから初めてぜんそくを発症することってあるの?

子どもの病気と思われがちな“ぜんそく”。「江北ファミリークリニック」の杉村先生によると、大人でもぜんそくを発症することがあるそうです。しかも、その仕組みは花粉症の発症と似ているのだとか。どういうことなのか、詳しいお話を伺ってみました。

杉村久理

監修医師
杉村 久理(江北ファミリークリニック 院長)

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産業医科大学医学部卒業。東京女子医科大学病院救命救急センターに入局。その後、順天堂大学大学院医学研究科公衆衛生学教室研究員、カナダのマギル大学に留学、ほか民間医療機関などで勤務。2014年、東京都足立区に「江北ファミリークリニック」開院。とくに、専門である呼吸器内科領域に力を入れている。医学博士。日本救急医学会専門医、労働衛生コンサルタント、日本産業衛生学会指導医、日本プライマリ・ケア連合学会指導医。

ぜんそくは、アレルギーの原因物質を一定以上浴びることで起こる

ぜんそくは、アレルギーの原因物質を一定以上浴びることで起こる

編集部編集部

成人でもぜんそくを発症することはあるのですか?

杉村久理杉村先生

あります。目安として15歳以上になってから発症するものを「成人気管支ぜんそく」と呼び分けています。ぜんそくの多くはアレルギー反応なので、花粉症と同様、「ならないときはならないし、なるときはなる」ということですね。

編集部編集部

花粉症と似たような仕組みなんですね?

杉村久理杉村先生

はい。ただし成人気管支ぜんそくの場合、アレルギー物質に限らず、冷気や特定の香り、ストレス、感染症などでも起こりえます。感染症を除くと、体質に近いイメージでしょうか。加えて、小児ぜんそくが治りきっていないケースもありますし、一言ではまとめられません。

編集部編集部

そういえば、花粉症の症状には「波」がありますよね?

杉村久理杉村先生

はい。成人気管支ぜんそくの症状にも波はあります。繰り返して発症するようであれば、「今だけ我慢しよう」などとは考えず、根本的な治療を検討してください。また、風邪から発展するケースも少なからずあります。

編集部編集部

風邪ですか? どういう仕組なのでしょう?

杉村久理杉村先生

風邪にかかると粘膜が弱くなるので、冷気や原因物質の影響を受けやすくなるのです。その結果、気道が狭くなる発作を起こしやすいと考えられています。風邪に限らず、ストレスや自律神経の乱れなども、成人気管支ぜんそくの要因です。

医師がおこなう、ぜんそくの見分け方

医師がおこなう、ぜんそくの見分け方

編集部編集部

せきが続くようなら、調べてもらった方が良さそうですね?

杉村久理杉村先生

いいえ、ぜんそくの主たる症状は、息苦しさや呼吸時に音が鳴る「喘鳴(ぜんめい)」で、せきに限りません。せきが主となるぜんそくは「せきぜんそく」といって、別の病気として捉えています。

編集部編集部

ぜんそく=せきだと思っていました。

杉村久理杉村先生

一般的なぜんそくなら気道が狭くなりますから、そのことで「ゼーゼー、ヒューヒュー」という音を伴います。音がしない場合は息苦しさとして現れるのですが、年のせいや疲れやすさなどと混同してしまうかもしれませんね。

編集部編集部

判別が難しそうですね。病院では、どのように診断を付けているのですか?

杉村久理杉村先生

アレルギー性なら血液検査から、菌やウイルスによる感染症なら「たん」の検査から、それぞれわかります。また、数年前から広まってきたのが、吐いた息の中の一酸化窒素の濃度を測定する方法です。ぜんそくによって刺激された好酸球は一酸化窒素を吐き出すため、その量が指標になるのです。

編集部編集部

ストレスが原因の場合、外からの刺激物とは関係ない気がします。

杉村久理杉村先生

ストレスや疲労によって免疫力が下がると、普段は平気な物質でも、刺激を受けてしまうのです。また、ぜんそく薬専用の吸入器を家に忘れただけで、発作が出てしまう患者さんもいます。ぜんそくには、外的要因に限らず、ナイーブな内的要因も大いに関係しているようです。

市販薬には要注意、ぜんそくの正しい対処法

市販薬には要注意、ぜんそくの正しい対処法

編集部編集部

大人ぜんそくとわかった場合、なにに気をつければいいでしょう?

杉村久理杉村先生

アレルギー性であることがわかっているなら、原因となるアレルゲンを遠ざけましょう。また、「頭痛ダイアリー」と同じような「ぜんそくダイアリー」を付けることで、ぜんそくのきっかけが判明するかもしれません。また、市販薬には注意してください。

編集部編集部

意外です、まずは市販薬で様子を見るのはダメなのですか?

杉村久理杉村先生

解熱・鎮痛薬の服用により、ぜんそくの増悪を起こすケースが報告されています。いわゆる「アスピリンぜんそく」で、総合感冒薬、いわゆる風邪薬でも起こりえます。人工呼吸器が必要なほどの重篤な症状になりかねませんので、やはり、医療機関を受診していただきたいですね。

編集部編集部

医院での処方薬なら安全なのでしょうか?

杉村久理杉村先生

何事にも「絶対に安全」とは言いきれませんが、ご本人に向けた処方薬なら、ほぼ安全でしょう。注意したいのは、同じぜんそくをもつ“ほかのご家族に処方したお薬”を使ってしまうことです。原因が異なることもありますので、使い回しはやめてください。

編集部編集部

最後に、読者へのメッセージがあれば。

杉村久理杉村先生

成人気管支ぜんそくには、職業も大きく関係してきます。たとえば工事現場のちり・ほこりや、ペットショップに舞う動物の毛などです。もし「大人はぜんそくになりにくい」という発想をおもちでしたら、いったん捨て去りましょう。花粉症がそうであるように、いつでも、どこでも、起こりえます。

編集部まとめ

アレルギー性のぜんそくは原因物質を浴び続けることで、感染症としてのぜんそくはウイルスや菌に感染することで、体質に近いぜんそくはストレス・冷気・特定の香りなどをきっかけとして、それぞれ起こります。そう考えると、子どもの病気とは限らないでしょう。息苦しさや喘鳴に気づいたら、ぜんそくを疑い、最寄りの医療機関で調べてもらってください。市販薬に頼ると、かえって危険です。

医院情報

江北ファミリークリニック

江北ファミリークリニック
所在地 〒123-0872 東京都足立区江北 5-1-1
アクセス 日暮里・舎人ライナー「江北駅」から徒歩2分
診療科目 内科 小児科 アレルギー科 呼吸器内科 漢方内科 消化器内科 皮膚科