【漫画付き】40歳を過ぎると「目の病気」が増えるらしいけど、何に気をつければいいの?

公開日:2020/01/21  更新日:2020/02/03
【漫画付き】40歳を過ぎると「目の病気」が増えるらしいけど、何に気をつければいいの?

40代後半から始まることの多い老眼。もしかしたら、あらゆる目の不具合を「老眼のせい」にしていませんか。失明に至ってから後悔しても間に合わない目の病気。その内容や予防法、将来への備えなどについて、「うえだ眼科クリニック」の上田先生を取材しました。

監修医師
上田 至亮(うえだ眼科クリニック 院長)

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防衛医科大学校卒業。防衛医科大学校病院眼科医員、自衛隊中央病院眼科医長、荻窪病院眼科部長などを勤めた後の2018年、東京都杉並区内に「うえだ眼科クリニック」を開院。「患者さんを自分の家族だと思う」スタンスの元、日々の診療にあたっている。医学博士。日本眼科学会認定眼科専門医、日本医師会認定産業医、厚労省認定臨床研修指導医、身体障害者認定医。

編集部編集部

中高年の目の病気で、気をつけたいのは何でしょう?

上田先生

厳密には病気ではないですが、どうしても避けられないのが、老眼でしょう。ほか、かかる恐れの高い病気としては、白内障加齢黄斑変性(かれいおうはんへんせい)ドライアイ結膜炎などでしょう。緑内障も怖い病気ですが、中高年特有というわけではなく、若い方でもかかります。

編集部編集部

加齢黄斑変性とは、どのような病気ですか?

上田先生
目の奥の網膜に生じる状態異常です。網膜に新しい血管が伸びてくるのですが、これは非常にもろく出血を起こしやすいのです。この血管からの出血により黄斑の組織にダメージを与えて、「見え」を悪くします。欧米では、失明原因第1位となっている病気ですので、要注意ですね。網膜の修復は、今の治療技術をもってしても困難です。

編集部編集部

これらは、誰にでも起こりえる老化現象なのですか?

上田先生

老化に加え、家族歴が大きく関わっているとされています。たとえば、ご両親が白内障だと、ご本人も白内障にかかりやすいようです。上に挙げなかった網膜剥離(もうまくはくり)網膜裂孔(もうまくれっこう)もなども同様です。

編集部編集部

なぜ年を取ると、病気にかかりやすくなるのでしょう?

上田先生

目の病気に限らないことですが、「活性酸素」が主な原因と考えられています。活性酸素とは、体内に取り込んだ酸素の“燃えかす”のようなもので、体のさまざまな細胞にダメージを与えます。水晶体へのダメージが長年にわたって積み重なると、白内障になるという具合です。

編集部編集部

治療は可能なのでしょうか?

上田先生

元の状態に戻すことを「治療」とするなら、老眼は治療できません。老眼鏡などの使用が前提になります。加齢黄斑変性も、病状の進行を食い止めるまでで、改善はできません。白内障、ドライアイ、結膜炎については治療方法が確立されています。

編集部編集部

そうなると、早期の受診や予防がカギになりそうですね?

上田先生

コレといった予防法はないため、健康診断や特定健診による早期発見を推奨します。あえて言えば、バランスの良い食事と適度な運動が、予防になるでしょうか。たとえば、目尻にある分泌腺が停滞すると、ドライアイを引き起こします。そうならないよう、健康な体を維持し、エイジングケアに努めてください。

遅きに過ぎることはない、思い立ったら受診を

編集部編集部

一般論として、中高年になると、目はどうなっていくのでしょう?

上田先生

老眼の進行により、遠近のピントが合わせづらくなったり、年齢に応じて少しずつ視野が欠けたりする、白内障の進行によりぼんやりと映るなどの症状が起こります。もちろん、様々な疾患による失明のリスクも考えられます。

編集部編集部

高齢者の転倒事故などをよく耳にします。どうすればいいのですか?

上田先生

まずは、老眼鏡を“素直に”作っておくことです。抵抗感があるかもしれませんが、「見え」を確保するに越したことはありません。転倒はもちろん、「6」と「8」の読み違いによるトラブルなど、周囲を巻き込むことも考えられます。メガネや老眼鏡の処方は眼科でも扱っていますので、遠慮なくご相談ください。

編集部編集部

症状がある程度進んでからでも、受診することの意味はありますか?

上田先生

できるだけお役に立ちたいと願っています。検査によってご自身の状態を把握できますし、我慢しない生活のために何ができるのか、一緒に考えていきましょう。

万が一、ロービジョンになってしまったら

編集部編集部

「見え」が悪くなっていくと、どうなるのでしょう?

上田先生

ロービジョン」という、「眼鏡やコンタクトレンズなどの視力矯正具を使っても十分に矯正できず、生活に不都合を感じる状態」まで進行します。日本眼科医会のアンケートによると、不都合が感じられるシーンは、移動31.8 %、情報 17.8 %、家事 16.0 %、食事 13.8 %、仕事 8.8 %、住宅 7.5 %、その他4.8 %となっています。

参照:公益社団法人 日本眼科医会 「中高年からのロービジョンケア」より
https://www.gankaikai.or.jp/health/47/03.html

編集部編集部

治療が難しいとなると、どうすればいいのでしょう?

上田先生

「見え」が改善できない以上、「見えるモノ」を工夫していく必要があるでしょう。たとえば、パソコンやスマホの画面を、「白地に黒文字」ではなく、「黒地に白文字」にするなどです。また、拡大鏡や音声式の時計、火を使わない電磁調理器など、ロービジョン関連のグッズも増えてきました。40代は、マイホームを取得する年代と重なっています。設計や家具選びの際、将来のロービジョンにも配慮してみてはいかがでしょうか。

編集部編集部

ロービジョン対策の一般的なところを教えてください。

上田先生

色使いコントラスト、あるいは照明の明るさなどで見えやすくすること。また、段差や障害物といった危険を取り除くこと。音声によるアシストが受けられるようにすることなどでしょうか。ほかにも、まだまだあると思います。

編集部編集部

最後に、読者へのメッセージがあれば。

上田先生

40代の20人に1人は緑内障といわれています。片目の視野が欠損していても、もう片方の目で補ってくれるため、なかなか気づきにくいでしょう。どのようなご相談でもかまいませんので、ぜひ、「目を検査する機会」を作って定期的に検査をしてみてください。

編集部まとめ

先生のおっしゃるように、「目を検査する口実」を意図的につくることが、目の病気の発見につながります。目は、“替え”が効かないにも関わらず、情報を得る重要な器官です。40歳になったら、場合によっては30代のうちからでも、目の定期検診を始めてみてはいかがでしょうか。また、将来的なロービジョンリスクも、心の隅に留めておきましょう。

医院情報

うえだ眼科クリニック

うえだ眼科クリニック
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診療科目 眼科