【漫画付き】乳がんが見つかったら必ず乳房の手術は必要なの?

乳がんの治療法といえば、乳房の手術をイメージする方が多いと思います。しかし、女性にとって乳房の手術は、精神的負担も大きいですよね。手術以外の効果的な治療法はないのか、桜新町濱岡ブレストクリニックの濱岡先生に話を伺いました。
がん治療で大切なことは命を守ること
編集部
乳がんになった場合、必ず乳房の手術は必要なのでしょうか?
濱岡先生
乳がんに限らず、がん治療で必要なのはがん組織を体内から取り除くことです。乳がんの治療では、手術だけでなくラジオ波でがん細胞を焼く、がん細胞を凍らせる、放射線治療など、さまざまな方法があります。
編集部
乳房を手術しない方法もあるのですね。
濱岡先生
方法としてはあります。ただ、現状では腫瘍を切除する方法が一番主流の治療法です。
編集部
手術しなくていいなら、それが一番いいのではないですか?
濱岡先生
そうとは限りません。ではひとつ質問をしますが、初発のがんを治療するときに最も大切なことはなんだと思いますか?
編集部
えっ……、なんでしょうか。転移させないことや治療が長引かないことでしょうか?
濱岡先生
初発のがん治療で一番大切なのは、「命を守ること」です。治療法はいくつかありますが、命を守ることを最優先して行うことが重要なのです。
乳房手術以外はまだ検証中の段階
編集部
確かにその通りですね。では命を守るためには、どのように乳がんの治療を行えばよいのですか?
濱岡先生
乳房を手術するというのは、乳房にメスを入れて、がんとそのまわりの正常な組織を除去することです。切除した組織を術後に顕微鏡で検査することで、がんがすべて取りきれたかどうか確認することができます。
編集部
ほかの治療法はそうではないのですか?
濱岡先生
例えばラジオ波の場合、乳房に針を刺してがん細胞を焼きます。凍結はがん細胞を凍らす、放射線治療は放射線を浴びせるのです。つまり、がん細胞が見た目上消失しても、切除をするわけではなく体外から顕微鏡で調べることができないので、細胞レベルでがんが消失したかがかわかりづらいのです。
編集部
つまり切除よりも再発の可能性が高いということですね?
濱岡先生
状況によってはその可能性はありますね。必ずしも成果がないとは言いませんが、治療後に転移をしてはじめて完治できなかったと発覚する場合もあるのです。現段階では腫瘍の切除が、最も確実な治療法だと思います。
病状とそのときに合った治療を医師と選択しましょう
編集部
それでも切除以外の方法を望む人はいるのですか?
濱岡先生
もちろんだれもできれば乳房手術はしたくないでしょう。現在検証中ではありますが、乳がんのタイプによっては切除以外の方法が効果的な人もいます。ただその場合も、現在では手術に比較して再発の可能性が高い場合もあることの説明が必要です。
編集部
先生としては乳がんの治療は、手術が最も効果的ですか?
濱岡先生
そうですね。現状では手術が一番確実な治療法です。ただ切除以外の治療法についても臨床実験などが日々行われているので、これから進化する可能性は大いにあります。
編集部
どのような進化でしょうか?
濱岡先生
手術以外の方法が非劣性、つまり同等の効果が得られることが証明されると良いと考えます。再発の可能性が手術と同等であるということが証明されれば、治療の選択肢として幅が広がると思います。
編集部
なるほど。今後はまた変わってくる可能性もあるのですね。
濱岡先生
そうですね。手術も昔は全摘出が望ましかったですが、現在はしこりのある部分だけを取る温存手術も選択されています。今後は状態に応じて手術が不要である場合も増えてくると思いますし、治療法も時代の流れにより変わっていくでしょう。