【漫画付き】アトピー性皮膚炎の人は白内障になりやすい!? これってホント?

視力が低下する目の病気「白内障」。高齢者に多いと言われていますが、原因は加齢だけでなくアトピー性皮膚炎にもあると言われています。いっけん関係なさそうな目の病気と皮膚の病気に、どのような関係があるのでしょうか? オリーブ眼科クリニックの井出光広先生に教えてもらいました。
白内障の原因の半分以上は加齢
編集部
始めに白内障という病気について教えてください。
井出先生
目の中にある水晶体が白く濁り、目が見えづらくなる病気です。水晶体とはカメラでいうレンズの役割。外から入る光の屈折を調整し、網膜に映し出します。レンズが白くなってしまうことにより、光が届きづらくなり、見えづらくなるのです。
編集部
どうして水晶体は白くなるのですか?
井出先生
水晶体はたんぱく質でできています。紫外線などの影響を受け、長い時間をかけて酸化して白くなっていくのです。そのため白内障になる方の半分以上は高齢の方です。
編集部
加齢以外の原因でも、白内障になることはありますか?
井出先生
糖尿病やステロイド剤、目の打撲なども、白内障の原因となります。さらにアトピー性皮膚炎が白内障の原因となることもあるのです。
目への刺激が白内障の原因に
編集部
アトピー性皮膚炎が白内障の原因となる理由を教えてください。
井出先生
アトピー性皮膚炎と白内障が関係あると言われる理由としてはふたつあります。水晶体は元々、皮膚と同じ成分でできています。そのため皮膚と同じように水晶体も変性を起こし、白内障になることがあると言われています。
編集部
そうなのですね。もうひとつはなんですか?
井出先生
アトピー性皮膚炎になると皮膚がかゆく、目のまわりをかきむしってしまうことがありますよね。そうすると慢性的に振動が伝わります。その小さな振動の積み重ねが水晶体にダメージを与え、外傷性の白内障になってしまうのです。
編集部
ではアトピー性皮膚炎でなくても目に強い衝撃が加わると、白内障になることがあるのですか?
井出先生
その通り。先ほども述べた通り、水晶体は打撃に弱いのです。例えば目にボールなどが当たった場合、数週間~数ヶ月をおいて白内障になることもあります。
編集部
つまりアトピー性皮膚炎の場合、高齢でなくても白内障になることがあるということですか?
井出先生
もちろん全員ではありませんが、子どもの頃からアトピー性皮膚炎の人の場合、20~30代で発症する人もいます。
目をかかないことが、一番の予防
編集部
アトピー性皮膚炎が原因で、他になりやすい目の病気はありますか?
井出先生
ひとつは円錐角膜(えんすいかくまく)という病気です。アトピー性皮膚炎の人は角膜が弱く、薄いため、円錐状に形状が変形することがあります。程度が強い場合、ハードコンタクトレンズの装着で、矯正する治療を行います。
編集部
ほかにもかかりやすい病気はありますか?
井出先生
水疱性角膜症(すいほうせいかくまくしょう)です。角膜がダメージを受け、円錐角膜の程度が強いと角膜に水が溜まってしまうことがあります。水を排出できないと黒目の透明度を維持できなくなり、ひどくなると角膜移植が必要となる場合があります。
編集部
アトピー性皮膚炎の人が白内障や他の眼病にならないためには、どうしたらいいですか?
井出先生
なるべく目をかかず、水晶体に刺激を与えないことですね。かゆいとどうしてもかきたくなってしまうので、ひどいときは点眼薬や軟膏のステロイドを使用するとよいでしょう。ただ、ステロイドは乱用すると白内障や緑内障の原因となるので、使用は症状が強いときだけにする、など上手に付き合うことが大切ですね。