目立たない歯列矯正なら、裏側とマウスピースどっちがいい?

歯列矯正の主な進め方には、歯の表側に矯正器具を付ける方法、歯の裏側に矯正器具を付ける方法、透明なマウスピースを使う方法の3つがあります。このうち、目立ちにくいとされているのが、「裏側矯正」と「マウスピース矯正」とされていますが、より目立ちにくいのはどちらなのでしょうか。また、それ以外にはどのような違いがあるのでしょうか。「名古屋ステーション歯科・矯正歯科」の伊藤先生に解説いただきました。

監修医師
伊藤 竜也(名古屋ステーション歯科・矯正歯科 院長)

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愛知学院大学歯学部卒業。三重大学病院歯科口腔外科入局後、中京地区を中心に数々の歯科医院院長、医療法人理事などを歴任する。2018年には、名古屋駅の近くに「名古屋ステーション歯科・矯正歯科」を開院。「あなたの素敵な笑顔を作るための歯並び治療」をモットーとして掲げている。日本口腔外科学会、日本矯正歯科学会の各会員。三重大学病院口腔外科非常勤歯科医。

編集部編集部

裏側矯正とマウスピース矯正を比較したとき、より目立ちにくいのはどちらですか?

伊藤先生

これは「歯のがたつき状態やしゃべり方などによる」という回答になりますね。マウスピースは透明で、より気づかれにくいイメージを持たれると思いますが、お口の状態によってはマウスピースを固定するための「アタッチメント」が目立つ場合もあります。裏側の場合も、口の開け方によっては下の装置が目立ってしまう可能性があります。治療を開始する前に、医師から類似症例の写真を見せてもらって判断するといいでしょう。

編集部編集部

目立ちにくさ以外でも比較をしたいのですが、例えば、「安心して治療を受けられる」のはどちらでしょう?

伊藤先生

想定外のことが起こった場合でも臨機応変に対応できるのは、裏側矯正ですね。なぜなら、矯正器具をその場で調整できるからです。他方、マウスピース矯正では、治療の開始時から終了時までの一連のマウスピースが、一度に作成されてきます。想定の内なら問題ないものの、症状や患者さんの使用頻度によっては治療期間を延ばしかねないのが、マウスピース矯正の注意点といえるでしょう。

編集部編集部

治療の幅広さ、適応度合いはどうですか?

伊藤先生

裏側矯正が優れているのではないでしょうか。いまのところ、マウスピース矯正でできて、裏側矯正でできない治療はありません。ただし、裏側矯正の場合、装置の調整で月に1回を目安として受診し続けていただく必要があります。その点を患者さんがどう判断するかですね。

編集部編集部

定期的な受診ができるかどうかにかかってくると?

伊藤先生

はい。例えば、長期の海外出張などで、数ヶ月受診できないとしたら、マウスピース矯正のほうがいいと思います。逆に、心配なので定期的にチェックしてもらいたいという患者さんなら、あえて裏側矯正を選んでも構いません。

編集部編集部

金属アレルギーはどうでしょう? 裏側矯正の適応外になりませんか?

伊藤先生

マウスピース矯正は金属を使いませんから、もちろん金属アレルギーの心配はありません。裏側でも矯正器具に金合金などを使うことにより、回避することができます。金、つまりゴールドによるアレルギーは、まず起こらないと言っていいでしょう。ただし、歯科医院によって用いる金属が異なる場合もありますので、確認してみてください。

痛み・お手入れ・しゃべりやすさ・治療期間について

編集部編集部

続いて、治療時の痛みが少ないのは?

伊藤先生

難しい質問ですね。痛みは患者さんの主観に左右されることもあるので、何とも言えません。どちらかの方法が「際だって痛い」ということは、ないと思います。

編集部編集部

歯の磨きやすさ、お手入れのしやすさはどうでしょう?

伊藤先生

これは、任意に外せるマウスピース矯正が長けていると思います。裏側矯正の場合、時間をかけたり、歯ブラシ以外のデンタルグッズを使ったりする工夫が求められます。ただし、「任意に外せる」というメリットは、「外したまま治療をサボってしまう」というデメリットにつながりかねませんので、ご注意ください。

編集部編集部

歯の磨きやすさは、むし歯のなりやすさとも関係してきますよね?

伊藤先生

もちろん、お手入れしやすいマウスピース矯正のほうが、むし歯にかかりにくいと思います。しかしその反面、受診機会が遠のいて、むし歯の発見を遅らせてしまうことも考えられるでしょう。どちらの方法で進めるにしても、定期的な受診だけは続けてください。

編集部編集部

付け心地や、しゃべりやすさについてもお願いします。

伊藤先生

裏側矯正は舌にあたる部分が多いので、ある程度の違和感を伴います。しゃべりやすさは、慣れてしまえば、いずれの方法でも同等です。あえて言えば、取り外しのできるマウスピースのほうがしゃべりやすいようです。

編集部編集部

治療期間が短いのはどちらでしょう?

伊藤先生

前歯を並べるのか、奥歯のかみ合わせを作るのか等、症状により異なりますが、抜歯を伴う治療の場合、裏側矯正のほうが短期で終わると思います。裏側矯正は、歯の一つひとつに対して適切な力を加えるといった調整ができるからです。マウスピース矯正は全体を動かす「集団移動」。対する裏側矯正はマン・ツー・マンの「個別移動」といったイメージです。

気になる費用についても徹底検証

編集部編集部

それぞれの費用相場を教えてください。

伊藤先生

症状にもよりますが、マウスピース矯正の費用相場は、部分矯正を除いた場合、上下顎の歯列込みで60万円から100万円といったところでしょうか。裏側矯正の費用相場は、目立つ上の歯のみに適応し、下の歯は表側の矯正装置を使った前提で、70万円から150万円くらい。上下顎とも裏側矯正をするなら、それ以上かかります。いずれも、自由診療の費用です。

編集部編集部

費用の点で注意したいことは?

伊藤先生

歯科医院により、調整費用や治療後の観察料が治療費に含まれている場合と、別に必要な場合があります。治療を申し込む前の段階で、しっかり確認してください。

編集部編集部

もし先生が受けるとしたら、どちらの方法を選びますか?

伊藤先生

究極の質問ですね。抜歯を伴うような「大きな動きを伴うケース」だったら裏側矯正。「調整レベルの小さな動きで済むケース」だったらマウスピース矯正。たぶん、そうすると思います。

編集部まとめ

矯正治療を検討する際、「目立ちにくさ」は大きな判断材料となるものの、それ以外にもさまざまな観点がありそうです。また、歯を大きく動かす必要のある場合、裏側矯正が第一選択肢となることに注意しましょう。いずれにしても、医師から詳しい説明を受けるとともに、過去症例の写真なども見せてもらい、納得がいったうえで進めてください。

医院情報

名古屋ステーション歯科・矯正歯科

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診療科目 歯科・矯正歯科