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タイミングが重要!人工妊娠中絶手術の方法と手術にかかる時間

 更新日:2023/03/27

赤ちゃんを望む人がいる一方で、さまざまな理由からやむを得ず妊娠の継続を諦める人がいます。ただ、人工妊娠中絶の手術ができるデッドラインが法律で決められており、それまでに決断する必要があります。

しかも、妊娠週数によって手術の方法や手術にかかる時間が大きく違ってくるため、タイミングによって身体的や経済的な負担も違ってきます。

そこで、人工妊娠中絶ができるタイミングや手術の方法、手術にかかる時間などについて、Medical DOC編集部がお届けします。

この記事の監修医師
中林 稔 (三楽病院 産婦人科部長)

人工妊娠中絶手術ができるタイミング

胎児は、母親のお腹の中で成長し、十分に育ってから生まれてくるのが正常な妊娠とされています。しかし、さまざまな理由で早く生まれてくる赤ちゃんもいるため、赤ちゃんが母親のお腹の外に出ても生きていけるかどうかを妊娠週数で定義づけされています。

赤ちゃんが母親のお腹の外に出ても生きていける妊娠週数は、国によって異なります。日本では、妊娠22週0日からが「早産」とされており、妊娠22週(妊娠21週6日)以前は「流産」としています。そのため、妊娠中絶ができるのは、妊娠22週未満までとなります。

人工妊娠中絶と分娩予定日

人工妊娠中絶ができるかどうかはもちろん、妊娠経過に対して胎児の発育が順調かどうかを見るためには、分娩予定日がとても重要になってきます。性交日や基礎体温、人工授精や体外受精をした日などがわかっている場合、その日を妊娠2週0日と考えます。性交日などがわからなければ、28日~30日型の月経周期で、最後に月経が開始した日がわかる場合、最終月経初日を0週0日と考えて分娩予定日を計算します。

いずれもわからないケースや日にちがあいまいなケースでは、超音波検査で胎児の大きさや頭の大きさを計測することで正確な分娩予定日を割り出すことが可能です。妊娠8~10週ごろは、CRL(頭殿長:赤ちゃんの頭のてっぺんからお尻の突出部までの長さ)から判断します。妊娠週数が進むと、胎児が大きくなるためCRLを確認することが難しくなりますが、その代わり、BPD(大横径:頭蓋骨外側から反対側の内側までの長さ)で妊娠週数を求めることができます。

人工妊娠中絶手術の流れ

やむを得ない理由から人工妊娠中絶を希望する場合、さまざまな検査を行ってから手術になるケースが多いようです。一般的な流れは次の通りです。

診察

最終月経や月経周期、妊娠経験や中絶経験の有無などに加え、アレルギーの有無や持病の有無、既往歴、薬の副作用の有無などの一般的な問診が行われます。その後、超音波検査で胎児の状態や正確な週数を確認されます。

手術前検査

人工妊娠中絶では、血液型、エイズ、B型肝炎、C型肝炎、貧血の有無などを確認するため血液検査や、子宮頸部癌やクラミジア感染症などの内診検査が行われます。安全に手術を行えるよういずれの患者さんにも行うのが一般的です。この手術前検査費用はだいたい15,000円前後かかります。手術費用には含まれないため、初診時には多めにお金を持っていきましょう。

問診と検査が終わったら、手術日を決定し、予約をします。人工妊娠手術を行うタイミングによっては、入院となることもあります。手術日が決まれば、当日までにしておかなければならないことは特にありませんが、手術予定時間の数時間前から絶飲食になることが多いです。

手術当日

病院によりますが、来院すると人工妊娠中絶手術に備えて子宮頸管を広げる術前処置が行われ、その後、妊娠週数にあった方法で手術を行います。手術後、超音波検査が行われ、子宮内の出血の有無や収縮状況、遺残の有無などを確認します。

日帰り手術の場合、数時間休んで麻酔が切れれば帰宅することが可能です。入院が必要な手術では、体調等が回復するまでの2~3日間は入院となるようです。

手術後検診

手術後、炎症や出血がしばらく続くため、抗生物質や子宮収縮剤などを服用しながら子宮の回復を待ちます。手術後の受診日までの期間は病院によって異なりますが、手術後の炎症や出血状態をチェックするための手術後検診のため、手術翌日以降から1週間後くらいを目安に来院するよう案内されることが多いようです。

人工妊娠中絶の方法と手術にかかる時間

人工妊娠中絶の方法は、大きく2つにわけることができます。ターニングポイントとなるのは、妊娠12週で、12週未満と12週以降では中絶手術の方法が大きく異なり、手術にかかる時間にも大きな差があります。

妊娠12週未満

妊娠初期である12週未満は、子宮内容除去術による手術が行われます。子宮内容除去術とは、子宮内容物を除去しやすいよう、子宮口を手術前に拡張し、静脈麻酔をした状態で、子宮内容物を取り除く方法です。子宮内容物をかき出す掻爬法(そうはほう)と、子宮内容物を吸引機で吸い出す吸引法があります。

いずれの手術であっても、手術にかかる時間は10~15分程度で、体への負担が少ないのが特徴です。痛みや出血も少ないといわれており、手術後の体調に問題がなく、麻酔がしっかりと切れていれば、手術後数時間で帰宅できます。

妊娠12週以降~22週未満

妊娠12週以降は中期中絶といわれています。妊娠初期のような手術ではなく、陣痛促進剤などの薬剤を使って分娩のように人工的に陣痛を起こし、出産形式で中絶するのが一般的です。陣痛が起こるまでの時間に個人差があるため、何時間というような明確な時間があるわけではありませんが、早い人であれば薬剤を使ったその日のうちに子宮内容物が取り出されます。

しかし、子宮収縮の発現までに時間がかかった場合、子宮内容物が取り出されるまでの時間も長くなります。また、分娩と同じくらい身体に負担がかかるため、通常でも2~5日間の入院となることが多く、手術費用だけでなく、入院費用も必要となります。身体への負担だけでなく、経済的な負担も大きくなる傾向があるため、人工妊娠中絶を検討しているのであれば、早いタイミングで行うほうがよいといわれています。

人工妊娠中絶による負担が少ないと考えられる時期

時間をかけて出産するかどうかを検討することも大切ですが、人工妊娠中絶を行う気持ちが強い場合は、手術にかかる時間が短くて、身体への負担が比較的軽いとされる妊娠12週未満に手術を行いたいものです。ただ、妊娠週数が早ければ早いほどよいというわけでもありません。

妥当といわれている手術のタイミングは妊娠6週~9週

ベストなタイミングは状況によって異なりますが、一般的には、子宮頚管が比較的やわらかく、子宮の大きさもある程度大きくなっている妊娠6週~9週ごろに人工妊娠手術を受けるのが妥当だといわれています。

妊娠初期の手術では、子宮頚管の拡張の処置を行う病院がほとんどです。しかし、初産婦の場合、妊娠6週未満では子宮頚管が硬いことが多く、無理に拡張しようとすると子宮頚管を傷つけてしまうリスクがあります。また、子宮が小さいため、子宮内容物が確認しづらく、子宮に内容物を残してしまう可能性も高くなります。

10週以降であれば子宮も大きくなり、子宮頚管の硬さもやわらいでいますが、胎児が大きくなるため、子宮内容除去術はできても胎児が大きい分難しくなります。難しい手術になると手術時間も長くなり、身体にも大きな負担がかかりやすくなるため、妊娠6週~9週ごろがよいといわれています。

手術時間が短い時期に決断したい中絶手術

妊娠をしてもさまざまな理由から人工妊娠中絶を検討する人がいます。日本の場合、法律で中絶手術は妊娠22週未満であればできるといわれていますが、妊娠週数を重ねるほど、人の形に近づいてくるため、精神的にもつらくなりやすい傾向があり、身体的にも経済的にも負担が大きくなりやすいです。

妊娠初期であれば、子宮内容物を除去する手術が行えるため、手術にかかる時間が短く、身体への負担も中期中絶よりは少なくてすくケースがほとんどです。人工妊娠中絶をいるのであれば、手術時間がタイミングで行うのがよいかもしれません。

中林 稔 産婦人科部長 三楽病院 産婦人科部長監修ドクターのコメント
まずは妊娠したら病院やクリニックにかかりましょう。やむを得ず中絶手術を受けられる場合はパートナーの方とゆっくり話し合ったうえで、適切な時期に受けられることをお勧め致します。

監修ドクター:中林 稔 医師 三楽病院 産婦人科部長

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出典:https://www.sanraku.or.jp/

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